事件のあった『すき家』の店舗。山本将寛容疑者は夜間帯責任者だった

《検温、心音を測る際に下着の下から実施する。この行為はセクハラではない》

 同意書と題する紙を見せられた女性は「どういう意味?」と不思議に思ったという。

 バイト面接中に体温と心音の検査が必要だと思い込ませてわいせつな行為におよんだとして千葉県警千葉北署は8月10日、大手牛丼チェーン店『すき家』の県内店舗で夜間帯の責任者だった同県八千代市居住の山本将寛容疑者(41)を準強制わいせつの疑いで逮捕した。

 県警によると、事件は6月21日に発生。県内に住むA子さん(当時51)がバイト面接で同店を訪れたときのこと。

「A子さんは以前この店で働いていたことがあり、山本容疑者と顔見知りだった。事件前日に夕食をとるため来店したところ、“人手が足りず困っているのでバイトに入ってほしい”と請われ翌日、面接を受けることに。約束通り店に行ったA子さんはまず店内で面接を受けた。そこで示されたのが『同意書』と書かれた紙だった」(捜査関係者)

 心の整理がつかないまま更衣室に通されたA子さんは、部屋に入った途端、身体を触られたという。

約30分にわたるワイセツ身体検査

「午後8時21分ころから約30分のあいだの犯行。A子さんは突然の出来事で、怖くて声を出せなかったようだ」(前出の捜査関係者)

 冷静になって考えれば、医師でもない山本容疑者が検温や心音をチェックするのはおかしい。

 A子さんは後日、別の従業員に顛末を伝え、会社が知ることに。山本容疑者は6月末に解雇処分となった。

「社として事態を重く受け止め、逮捕前に解雇する判断となりました。もちろん、本人からも話を聞いています。社員個人がアルバイト応募者の健康診断をすることは絶対にありませんし、セクハラの同意書をとることもありません」

 とすき家の広報担当者。

 会社が警察に届け出たのが捜査のきっかけ。山本容疑者は身体を触ったことは認めながら、触った場所については一部否認している。

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 2016年に採用されて以降、同じ店舗で働いてきた容疑者。自宅は3LDKの賃貸アパートで家賃は月約7万〜8万円。妻子と約2年前に引っ越してきたというが、近所付き合いはほとんどなかった。

そういえばエプロン姿の時も…

「すき家の社員をしていたのも知りませんでした。そういえばエプロン姿のときがありましたね。すれ違うときはわざと逆方向に顔を背けて挨拶せず、それを徹底していたので変わった人だなと思っていたんです。年ごろの娘さんがひとりいるのに恥ずかしいことをしましたね」

 と同じアパートの住人男性。

 近隣住民によると、部屋の外まで夫婦喧嘩の声が漏れ、決まって夫側が劣勢だった。夫婦で出かけるときも妻のあとをトコトコついていく感じ。

「帰宅するときケーキの箱をよくぶら下げていました。家族への手土産か、しょっちゅうだったのでかなりケーキ好きの一家なんだなと思っていました」(前出の住人)

 妻子に気配りするマイホームパパの一方、冬場の雪かきなど住民が協力し合う場面では知らんぷりだったという。

 容疑者は家族に事件をどう言い訳しているのだろうか。自宅のインタホンで取材を申し込むと、女性の小声で「あっ」などと反応があったきり、二度とつながることはなかった−−。

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捜査を進める千葉県警千葉北署