練習後、取材の準備に向かう羽生。画面越しのファンにも手を振る(羽生のYouTubeより)

 8月10日に羽生結弦の地元・仙台にある「アイスリンク仙台」で行われたのは、公開練習イベント『SharePractice』だ。

「7日に開設された羽生選手の公式YouTubeチャンネル『HANYU YUZURU』でもライブ配信され、約10万人が視聴。チャット欄には世界各国の言語で、羽生選手への応援の声があふれていました。アーカイブも残され、270万回以上再生されています。基本的に、YouTubeの撮影や編集は自ら行うと話していましたが、さすがに配信は外部の企業にサポートを依頼していたそうです」(スポーツ紙記者、以下同)

 プロになり新調したジャージ姿で登場した羽生。その練習は2時間ほどに及んだ。

「1時間ほどストレッチや陸上でのジャンプなどのアップをすると、いよいよ氷上に。Mrs. GREEN APPLEの『僕のこと』や、back numberの『水平線』などをかけて調整していました。最後には、'18年の平昌五輪で2度目の王者となったプログラム『SEIMEI』をノーミスで滑り切り、リンクでの1時間ほどの練習を終えました。もはや“公開練習”の域を超越した時間でしたね」

公開練習が行われた「アイスリンク仙台」には羽生ファンの姿もチラホラ見受けられた

当日に“全社の個別取材を受ける”と知らされて

 YouTube配信、10万人同時視聴など異例だらけの公開練習だったが、ほかにも異例なことがあった。

「約2時間のハードな練習の後、メディア全体に対する取材対応だけでなく、羽生選手自らの要望で全社の個別取材に応じたのです。通常は事前に申し込んだ数社のみということが多いのですが、当日に“全社の個別取材を受ける”と知らされました。取材は各社5分で25社、休憩なども含めて2時間半ほどとなりました

 長時間の取材にもかかわらず、こんなエピソードも。

羽生選手に今後の抱負を書いてもらおうと色紙を用意した複数の媒体に対し、そこに書く言葉もそれぞれ変える気遣いを見せていたのです

 ファンにもメディアにも“神対応”だった羽生。これには、プロ転向後の意識の変化が影響しているようで……。

「アマチュア時代は、競技自体のファンやほかの選手のファンも含めて、試合に観客やメディアが集まっていました。しかし、プロ転向後は“自分が商品”になります。羽生選手の周囲のスタッフはそれを考慮し、注目度が高い今のうちにファンやメディアをより巻き込んでいきたいという考えがあるのです」(フィギュアスケート関係者)

 羽生自身も、その意図を酌んでいる様子。

「羽生選手は、自分自身やファンはもちろん、すべての人に対して“理想の羽生結弦”でありたい思いが強い人。そのため、周囲の意図も察知し、プロとしての意識が芽ざしているのでしょう」(同・フィギュアスケート関係者)

 年内の活動は決まりつつあるが、次はどう人々を喜ばせてくれるのだろうか。

 
中学1年のあどけない羽生結弦と田中刑事('07年『全日本ノービス選手権』公式パンフレットより)
2月15日、公式練習に参加した羽生結弦。途中『オペラ座の怪人』の音楽をかける場面も(JMPA代表撮影・2022年北京五輪)

 

 

 

会場に姿を現した羽生結弦選手。右手に見えるのがティッシュケー(JMPA代表撮影)