準優勝の山口県代表・下関国際高校の古賀康誠選手、グローブは白かった(『バーチャル高校野球』より)

「宮城の皆さん、東北の皆さん、おめでとうございます。100年開かなかった扉が開いて、多くの人の顔が浮かびました」

 8月22日に行われた第104回全国高等学校野球選手権大会の決勝で、宮城県代表の仙台育英高校が優勝。春夏通じて東北勢として初となる甲子園での栄冠に、仙台育英高校の須江航監督も涙を湛えながら万感の思いを語ったのだった。

「今年の夏の甲子園は、コロナ禍の影響で3年ぶりとなる有観客開催だったため、待ちわびていたファンも多かったのでしょう。4日連続でチケットが完売することも。そんな注目度の高い今大会で、投手5人を使い分ける“全員野球”で見事優勝旗を手にした仙台育英高校には、“甲子園の歴史を変えた”との声も多く聞かれます」(スポーツ紙記者)

 平成の怪物と呼ばれた松坂大輔や、ハンカチ王子こと斎藤佑樹のような1人のエースに頼るのではなく、複数人の投手による継投で試合を作るのが現在の高校野球のトレンドとなっている。今大会でも多くの高校がその戦略を採用していたのだが、実は高校野球の投手の間で密かに流行しているアイテムがある。

“白色っぽいグローブ”を着用している投手がたくさんいたんですよ。これまでグローブの色といえば黒色や茶色が主流だったのですが、体感的には半数ほどの投手が薄い色のグローブを使っていましたね。SNS上でも《今年の甲子園白系のグローブめちゃくちゃ多い》《あの色流行ってるのかな》と話題になりました」(同・スポーツ紙記者)

白色系グローブがトレンドのワケ

いったいなぜ、白色系のグローブが主流になりつつあるのだろうか。大阪府内の野球用品店『太陽スポーツ』のスタッフ・伊東直紀さんに話を聞いた。

理由の1つに、熱中症対策が考えられます。2年ほど前から近年の猛暑への対策として、従来の黒色スパイクだけでなく、白色スパイクの着用も許可され、今では多くの高校が白色を採用しています。グローブでも熱がこもりにくい色が流行りはじめたということでしょう」

もう1つの理由として、高校球児たちのある特性が関係しているのではと話す。

「プロ野球選手や強豪校の選手が使っている野球道具が“いいもの”として認識され、球児たちの間で流行するというケースはこれまで何度もありました。白色系のグローブは何年も前から売られていましたが、ここ2、3年で大手スポーツメーカーが大きく展開し始め、そのスタイリッシュな見た目に憧れた球児たちがマネをしたとも考えられます」(伊東さん)

 実際に『太陽スポーツ』でも店頭に並ぶグローブの約4割が白色系となっており、その人気は右肩上がりだという。

薄い色のグローブは汚れやすく、手入れが大変なんですが、今年の甲子園であれだけ流行っているのを目にすると、来年は白色系のグローブがより増えるかもしれませんね」(伊東さん)

 グローブの色が来年の見どころの1つになるかも!?

 
大阪府代表・大阪桐蔭高校の川原嗣貴選手(『バーチャル高校野球』より)

 

東京都代表・二松学舎大学附属高校の辻大雅選手(『バーチャル高校野球』より)
島根県代表・浜田高校の波田瑛介選手(『バーチャル高校野球』より)

 

福井県代表・敦賀気比高校の上加世田頼希選手(『バーチャル高校野球』より)