「(妻役の)吉高由里子さんとは今回が初共演。バラエティー番組ではゲストとしてお会いしたことがあったんですが、芝居をするのが初めてだったので、すごく楽しみでした。本番の集中力がすごいんです。もうスイッチが入る音が聞こえるくらい(笑)。
でも、普段現場ではみなさんがイメージするような明るく天真爛漫な雰囲気で、とても自然体。何より主役だからいちばん大変なわけで、サポートというまでは違うかもしれないけれど、同じ役者としていい作品、思い出をつくれればと思いながらやっていましたね」
舞台は100年前の大正時代。男尊女卑の風潮が色濃い世の中に、筆一本で結婚制度や社会道徳に真正面から異議を唱えた女性解放運動家・伊藤野枝(吉高)の人生を描いた『風よあらしよ』。『きれいのくに』以来、1年5か月ぶりのドラマ出演となる稲垣吾郎は、野枝の最初のパートナーとなる翻訳家・思想家の辻潤を熱演している。
今年は'87年に芸能界入りをして35年という節目の年。自分にとってこの年月はどう感じているのか聞いてみた。
「35という数字を聞くと、すごい重みを感じます。でも、野枝が生きた大正時代からいまは100年たっているって思うと、35年なんて一瞬じゃないですか。長い歴史と比べるのは変かもしれないけど、時の流れを僕はそんなふうに見たりしますね」
長年芸能界にいて思うこととは?
35年で変わった点、変わっていない部分を聞くとこんな答えが。
「僕は基本的に過去のことをあまり考えないようにして生きてきているんですよ。本当は振り返って反省したりもしなくてはいけないんでしょうけど、常に前向きなので。いつも鈍感力でやっています(笑)。
記憶力はいいので何を聞かれても覚えていますよ。確かに、環境も変わったし、もちろんできることが増えてきたり、変化したところもあります。でも、過去を振り返らないとか根本的な部分は昔と同じだなって思います」
逆に35年たったことで改めて驚いたことが。
「自分で言うことじゃないかもしれないけど、35年間同じ仕事やっているっていうのはすごいよね。一般的な仕事でいうと定年近いからね(笑)。まぁ、僕たちは定年がないからすてきな仕事だなって思いますけど。
長年やってきて思うのが、現場に年下の方が増えてきているんですが、みんな本当に演技がうまい。スタッフも含めて芸能界のレベルが上がっている気がします。そういう人たちと共演することによって、僕自身も初心に戻りますし新鮮な気持ちにもなれる。そういった意味では吉高さんとか、今回の共演者やスタッフたちとのいい出会いがあって、刺激をもらいましたし楽しい時間を過ごせました」
もしタイムスリップするなら?
「大正時代っていうのもいいですけど、自分が生まれたころとかもいいかもね。僕は1973年生まれなんですけど、高度経済成長期が終わって、僕は第2次ベビーブームに生まれて、やっぱり活気があったろうし、その空気感って興味がある。生まれていたけど記憶のない時代の日本を、この目で見てみたいっていうのはありますね」
9月4日スタート
プレミアムドラマ『風よあらしよ』
NHK BSプレミアム・BS4K
日曜夜10時〜