年の差婚といえば、年若い嫁をゲットしてご機嫌な男性のにやけ顔が浮かぶ人も多いはず。ところが、さにあらず。酸いも甘いもかみ分けた大人の女性が、人生のパートナーとして年下夫を選ぶケースが増えている。その筆頭といえるのが、年下夫との2度の離婚を経験した夫婦問題研究家の岡野あつこさん。初婚で5歳年下、50代での再婚で24歳年下を選んだ岡野さんの目に、芸能界や政界の勝ち組女性が選んだ年下夫はどう見えるのか。各界の年下夫をジャッジしてもらった!
三原じゅん子ら政界の姉さん女房
政界では、年下夫を従えている女性議員が目立つ。例えば、24歳年下夫を自分の事務所の所長にしている三原じゅん子。現夫は三原にとって3度目の結婚相手だ。
「その年下夫は三原さんの参院選の選挙スタッフとして勤めていた男性。仕事仲間から交際に発展しました。彼女の秘書になって、同棲して、交際2か月で結婚。2回の離婚を経て、ついに政治家としての自分を輝かせるためのサポート役を見つけたってことね」(岡野さん、以下同)
それは正解、と岡野さん。
「前の結婚相手は、レーサーやお笑い芸人。彼女が夫を輝かせるためのサポート役に回っていた。政治家としての彼女のサポートをしてくれる年下夫を見つけたのは、とてもいいことだと思います」
三原のブログによれば、24歳年下夫は料理上手。
《仕事終わって横浜へ戻り、我が家に帰って待っていたのは、、、》と書き出されたブログでは、お椀に盛りつけられた夕食の写真をアップ。
《冷え性の私を気遣って生姜たっぷり、そして私の大好きな鹿児島の麦味噌の豚汁》などを準備してくれていたという。アラ還の働く女性にとって健康を気遣う料理を準備して待つ夫、大当たり!
最近では夫婦での活動も目立つ金子恵美&宮崎謙介夫婦。こちらは3歳差という僅差の年下夫だが、結婚1年目にして宮崎の不倫1泊旅行が判明。金子の寛大な心で許されたにもかかわらず、4年後に再び不倫が発覚。こんな下半身ゆるゆるの年下夫はどうなのか。
「危ういわよね。“世間が認める金子恵美より、私のほうがイイ女よ!!”みたいな女が寄ってきちゃうんですよ」
実際、岡野さんも前の夫(24歳下)と結婚した途端、似た経験をした。
「彼はモテたので女が次々連絡してきました。私の名前がある程度知られているので、結婚が広まったとたん“あんなババアなら勝てる”みたいな女が猛攻撃ですよ。さすがに精神的にこたえましたね」
そんな危機が芸能人夫婦にはもっとあるという。
「金子さんはまじめだし、宮崎さんとは“絶対に離婚しない”と宣言しています。おしどり夫婦を売りにすると、幸せじゃない女はぶっ壊したくなる。宮崎さんみたいな人は誰にでも優しいから、勘違い女も出てくると思う。結婚がハズレとは言わないけど、金子さんも努力しなきゃね」
「若いエキスを浴びて頑張れる」
浮気の不安は、モテる年下夫を持った年上妻ならではの共通の悩みだろう。年下夫をゲットしても安心してはいけない。これが鉄則だと岡野さんは言う。
「うちの叔母も7歳年下の男と一緒になったんですけど、叔母は夫に素顔を見せたことがなかった。彼より早く起きて化粧して、必ず遅く寝て化粧を落としていた。私も前の結婚では、24歳下の夫のために努力しました。10キロダイエットして、若い子が着るブランドの服を着た。今思えばバカみたいだけど、そういうのが必要なのよ」
そして重要なのがお互いの仕事へのリスペクト。
「政界の女性は上昇志向が強いから、年下男のパワーをどんどん吸い取る。若さのエキスを浴びて頑張れるんです。まったく違うジャンルの仕事をする男もアリだけど、仕事と志が同じでリスペクトがあれば相乗効果でのし上がれる。私の場合、彼の仕事に口出しをしてプライドを傷つけてしまい、離婚は彼から切り出されました。そこらへんは気をつける必要があります」
政界の年下夫は、同志としての結束力で“アリ”。ただし、妻は常に女を忘れず、夫へのハニートラップには十分注意をといったところか。
演技派の年下夫をゲットできた訳
芸能界に目を向けると、小雪×松山ケンイチ(8歳年下)、水川あさみ×窪田正孝(5歳年下)、菊地凛子×染谷将太(11歳年下)など、若手で演技力を評価されている俳優がこぞって年上の先輩女優を選んでいる。
「若い子にとって、年上のお姉さんはとにかく新鮮なの。芸能界だと1ファンの気持ちになって、その人の生き方とかこだわりに憧れちゃう。お芝居なんかでも教わるものがあるとか、この人のこういう演技がいいなあ、って。男同士だとライバルになるから教えてくれないのよね」
その点、年上女優は“教えたがり”が多い。特に可愛い後輩俳優には手取り足取り教えてくれるだろう。
「松山さんも窪田さんも結婚後、どんどん役者として良くなっている」
妻が自分より先に世の中に出て成功していることで、自分も早くそこに行きたいと気持ちが駆り立てられる。
「菊地凛子さんは世界の大舞台で活躍する方。そういう一本芯の通った人にアドバイスをもらえるのはすごいことだし、成功への道が開ける。異性からのアドバイスは同性とは違うバイアスがあるから、素直に聞きやすい。海外でも評価の高い年上女房をもらうなんて、染谷くんもすてきよ」
結婚前、菊地は飲み仲間で大先輩の桃井かおりに「オトコは年下に限る!」とアドバイスをもらっていたそう。
「年下からもらうパワーって、ハンパじゃないの。私もずっと年下が好き。昔、ある男性に“岡野さん、若いときは年上と付き合ってお金をかけてもらう。自分がお金を稼げるようになったら若い男に走ればいいんだよ”って言われたけど、全然守らなかった(笑)。桃井さんも年下男のパワーをよくご存じなんでしょうね」
若い男性が欲しいものを持っている
岡野さんによれば、年下夫をゲットする女性は“あるもの”を持っていると言う。
「年下の男からモテるのは、お金・美貌・成功運のどれかを持つ女です。つまり、若い男が欲しくてたまらないものを持っている女です。例えば、若い子に負けない美貌。若くてきれいなのは当たり前だけど、年とってきれいなのはスゴイじゃない」
そして若い女子にはない理解力・包容力がある。
「若い女の子は男性の不満や不安を理解しないよね。年上の女は自分のことを理解してくれて、いろんなチャレンジも止めない。嫉妬しない。本当は嫉妬深くても、それを見せない。年下男は大人の女性に憧れるから、そういう“大人力”にグッとくる」
そして、成功した女性が年下夫を引き寄せる最大の理由が“成功運”だ。
「野心ある男性なら、みんな上を目指す。成功した年上女性は幸運の女神のようなもの。あげまんにあやかりたいって思う人も多い。私のところにも、お金目当てじゃなくて、運狙いで来る人がいます(笑)。そこまでわかっていての結婚なら“アリ”」
あゆ、宇多田、聖子に求めるもの
音楽業界では、浜崎あゆみの第2子の父親と噂されるバックダンサーが20歳年下。正確には「年下夫」ではなく、年下のパートナーだが……。
「あゆぐらい人気を極めてしまうと、言うことを聞いてくれる人がいい。普通は浜崎あゆみなんか、恐れ多くて声かけられないでしょ。一般人はそばに来なくて、身のほど知らずだけが寄って来る。あゆのほうだってハードルを乗り越えてくる男性のほうがかわいいのかも」
いわゆる高嶺の花か。
「自分のことじゃなくて、自分のお金とか人脈が好きだとしても、愛に飢えてるからだまされてしまう女性は多い。あゆもそういう傾向があるのかしら……」
同じく歌姫・宇多田ヒカルも、ロンドン滞在中に8歳年下のイタリア人ウエイターと出会って電撃結婚している。相手の年下夫は“彼女が何者かまったく知らなかった”と語っていたが、知らなかったがゆえに、あっさりハードルを越えたのだろうか。
“傷つくぐらいなら、最初から年下男と付き合ってはダメ”というのは岡野さんの矜持だ。
「年下夫を持つなら、女のほうも意識を変えていかないと。“愛されている”とか、“私は若く見えるから”とか、そんなのは妄想よ。そういう考えでは自分が傷つくだけ」
冷静に与えるものと与えられるものを見定められる目が、年下夫を持つ女性には求められるということだ。
「年下夫の中には、自分が持っていないものを得ていい気になる男もいる。若い女に走ったり、自分の実力だと過信したり。感謝ができて、恩返しができる人なら、格下の年下夫もいいのかもしれませんね」
熊谷に貴理子ら“妻だけ熟年”離婚
そして、気をつけなければいけないのが、年の差婚につきもののライフステージの違い。人生の経験を重ね、豊かで静かな晩年を迎えようとしている年上の妻と、野心満々でこれから上に上がろうとしている年下夫の価値観がぶつかり合うことだ。
熊谷真実は、18歳年下夫と還暦離婚した際、テレビ番組で《私が還暦迎えた頃、彼は男盛り。私が70になったら、80になったらっていう景色が見えなかった》と発言し、年齢差を理由に挙げた。熊谷にその“景色”を見せられなかった夫との決別とはいえ、還暦での離婚は熊谷にもこたえただろう。
また、岡野さんと同じ24歳年下のバーテンダーの夫とバツイチ婚した磯野貴理子は、約7年で離婚。理由は、年下夫の「自分の子どもが欲しい」という希望に沿ったからだと報道された。
「磯野さんは覚悟していたから受け入れられたのだと思います。年下夫の身勝手な心変わりと一概には言えません。既に価値観が定まった熟年女性とは違い、まだ若い男性は気持ちが変わることもある。そんなことより、泥沼離婚ではなく、スパッと年下夫を送り出した磯野さんには、年上妻の美学を感じました」
今度こそ理想の年下夫のゲットを目指してほしい、とエールを送る岡野さんだが、自身の再婚は?
「最近は、国際ロマンス詐欺の相手とやりとりしていて、面白かったってくらいかな(笑)。これからは海外に年下男性との出会いを求めるのもいいかなと考えています」
取材・文/ガンガーラ田津美