過去の“性加害”スキャンダルをきっかけに、世間を騒がせている俳優・香川照之。本人が抱えていた仕事にも影響が生じているが、さらに「未発表の段階ではあったものの、彼は10月期の『日曜劇場』にもキャスティングされていただけに、TBSは“大きな割りを食った”」(芸能プロ関係者)という。
騒動の発端は、8月24日発売の「週刊新潮」(新潮社)により、香川が2019年7月に東京・銀座の高級クラブでホステス女性のブラジャーを剥ぎ取って、その胸を直に揉むなどしていたと伝えられたこと。この件が物議を醸す中、9月1日には「週刊文春」(文藝春秋)が、18年1月期の連ドラ『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』(TBS系)の懇親会で、香川が女性スタッフを殴るなどしていたことも報じられ、批判が強まっていった。
テレビ朝日は”やむを得ず”の判断か
その影響で、香川が毎週金曜の朝にMCを務めていた情報番組『THE TIME,』(TBS系)は“出演取り止め”という対応を取り、彼をCM起用していた複数社が契約終了を発表するなど、続々と仕事が消えている。
一方、肝心の俳優業に関しては、出演中の連続ドラマ『六本木クラス』を放送するテレビ朝日が9月1日、「香川さんの被害者女性に対する行為はあってはならないこと」としつつ、「香川さん本人が深い反省と謝罪の気持ちを表明されており、所属事務所からは、被害者女性からお許しを得たと聞いております。そうした状況を勘案し、総合的に判断して番組の収録・放送を継続することにしています」と発表した。
「韓国ドラマ『梨泰院クラス』(Netflix)を日本版にリメークした『六本木クラス』で、香川は主人公・宮部新(竹内涼真)と敵対する長屋ホールディングス会長・長屋茂を演じています。ドラマは全13話の放送が予定されていて、1日夜の放送で第9話を迎えました。
最終回まであと数話ですし、今さら香川を降板させて代役を立てたり、彼の出演シーンを編集したりするのも難しく、ここに来て放送を中止するわけにもいかないのでしょう。視聴者やスポンサーからのクレームはあるかもしれませんが、テレ朝的にも“やむを得ず”の判断なのでは」(スポーツ紙記者)
テレ朝も辛いだろうが、それ以上の大混乱が生じているとみられるのがTBSだ。TBSはすでに、『THE TIME,』から香川が外れることとなって、代わりに同局アナウンサー・江藤愛、杉山真也、宇賀神メグを出演させると発表。実はその裏で、局の“看板”的なドラマ枠「日曜劇場」をめぐる対応も迫られていたという。
ヒット作の多いTBSの「日曜劇場」だが、その中でも、堺雅人主演で13年と20年に放送された連ドラ『半沢直樹』シリーズは大ヒット。香川も大和田暁役で出演し、その“怪演”が話題になった。
ほかにも『99.9』シリーズや、『小さな巨人』、『集団左遷!!』、『日本沈没-希望のひと-』など、『日曜劇場』で放送された連ドラに多数出演してきた香川。同枠では今、綾野剛主演の『オールドルーキー』が放送されており、10月からは山崎賢人が主演を務める『アトムの童』がスタート。
現状、山崎以外には松下洸平、岸井ゆきの、ハナコ・岡部大、ドランクドラゴン・塚地武雅、戸田菜穂、皆川猿時、でんでん、風間杜夫といった出演者が発表されているが……。
TBSの損害は数千万円規模か
「実は、香川も『アトムの童』に“ラスボス”的な重要な役柄でキャスティングされており、その情報が解禁される前に、本人の“セクハラスキャンダル”が報じられてしまったんです。テレ朝の『六本木クラス』と違って、『アトムの童(こ)』はまだ放送開始していませんから、さっさと降板させるのかと思われましたが……。どうやら香川の出演シーンも撮影が始まっていたとみられ、TBSもどう決断すべきか迷っていたといいます」(テレビ局関係者)
最初に「新潮」報道が出た時点では、被害に遭ったホステスも香川を訴えようとしている様子ではなかったため、TBSを含む各関係者は“様子見”していた。しかし、その後も香川に関するネガティブな報道は続き、「文春」が『99.9』スタッフへの暴行を伝えたことが“トドメ”となったようだ。
「TBSはまず、香川の『THE TIME,』出演を取り止めて、世間の反応を窺っていたのでは。情報番組の出演者としては相応しくなくとも、ドラマならあるいは……という気持ちもあったかもしれません。しかし、『六本木クラス』の収録・放送の継続を決めたテレ朝に対しても世間では賛否分かれましたし、結局、情報解禁前で傷が浅く済むうちに『アトムの童』からも香川を降板させることに決めたようです」(同・前)
『日曜劇場』を放送するTBSに「『アトムの童』に香川が出演予定だったのか」「今回のスキャンダルが理由で降板が決定したのか」などを問い合わせると、
「番組の制作過程については、従来お答えしていません」
との回答だった。
今の流れで香川の『アトムの童』出演を発表すれば、世間の反感を買うのは目に見えている。そういう意味では賢明な決断を下したTBSだが、だからといってノーダメージというわけではない。
「来月にはドラマの放送が始まるのに、これから香川クラスの代役を探すのはかなり苦労することでしょう。すでに取り終えていたシーンを再撮影するにも、他キャストのスケジュールを調整してもらわないといけませんし、当然、お金もかかります。
しかも、日本の民放テレビ番組では一般的にタレントの事務所と“出演者の責任で降板になった場合、損害賠償金を支払う”などといった契約を交わしていません。ということは、『アトムの童』にしても『THE TIME,』にしても、結果的に割を食うのはTBSなんです。どの程度撮影が進んでいたかによりますが、局の損害は最大で数千万円規模に及ぶ可能性もあるといいます」(前出・芸能プロ関係者)
現在、次々に仕事を失っている香川だが、『六本木クラス』終了後は俳優業からも遠ざかってしまうのか。いつかまたTBSに起用してもらえたら、香川は同局に一生頭が上がらないだろう。