「多大なるご迷惑をおかけしておりますことを重ね重ねお詫び申し上げます。(中略)今の私の生の声は、その意味では説得性がありません。さまざまな不信感や不快感を視聴者のみなさんに与えてしまうと思います。したがって、私が愛する『THE TIME,』に司会として出演することはふさわしくないと判断いたしました」
9月2日、TBS系の情報番組『THE TIME,』の金曜レギュラーだった香川照之(56)は、前日に収録したVTR映像で出演。謝罪と併せて降板に至った心境を明かした。
出演カットはしない『六本木クラス』
「8月24日発売の『週刊新潮』で、過去に銀座のクラブで接客にあたった女性にセクハラ行為をしたことが記事になり大問題に。その翌々日に『THE TIME,』の中で事実を認めて生謝罪をしつつ “これまでどおり挑んでいきたい”と出演継続の意思を示していました。しかし、新たなセクハラや暴言の数々が報道され、一転して降板が決定しました」(スポーツ紙記者)
騒動の波紋は、香川が出演していたCMにも及ぶことに。
「報道直後、クライアント各社は経緯を見守る姿勢を打ち出していましたが、世論に押されてか、真っ先にトヨタがプロモーション契約の年内終了を表明。9月2日までに香川さんと契約していた7社中、6社が放送の見合わせや契約満了を発表しました」(広告代理店関係者)
そんな降板ラッシュの中、現在出演している木曜ドラマ『六本木クラス』(テレビ朝日系)はというと、
「テレビ朝日はメディアの取材に対して“総合的に判断して、番組の収録・放送を継続することにしています”と発表。実際に、報道後の9月1日に放送された第9話も出演シーンのカットなどは見られませんでした。
もっとも、このドラマでの香川さんの役柄は竹内涼真さんが演じる主人公の“最大の敵”ともいえる存在。重要な役ですし、物語も終盤に差しかかる段階ですから、いまさら代役を立てるのも難しいでしょうね」(制作会社関係者)
歌舞伎界で過ごす日々は屈辱の連続
しかし、今後のドラマの起用に関しては影響が出始めている。
「10月からTBS系でスタートする山崎賢人さん主演の日曜劇場『アトムの童』に重要な役で出演予定だったんです。すでに撮影も始まっていたそうですが、今回の報道で降板が決定したといいます。日曜劇場といえば『半沢直樹』をはじめ、『99・9』シリーズ、『日本沈没-希望のひと-』など、香川さんとガッチリとタッグを組んでいた枠ですからね。事態の大きさがうかがえます」(同・制作会社関係者)
テレビやCMの世界では締め出されつつあるようだが、彼にはまだ歌舞伎という活動領域がある。
「香川さんは俳優として成功を収めていた46歳のときに、父の市川猿翁さんと同じ歌舞伎役者の道に進むため市川中車を襲名。澤瀉屋の当主である市川猿之助さんと、香川さんの長男である市川團子さんと記者会見に臨み、現代劇と歌舞伎役者を両立する意思を示しています」(前出・スポーツ紙記者)
今回の一件は、梨園でも大きく受け止められている。
「猿之助さんは監督不行き届きとして関係各所に謝罪行脚の真っただ中。猿之助さんは香川さんより10歳年下ですが、歌舞伎の世界では香川さんの先輩で後見人的な立場ですからね」(梨園関係者)
梨園に入った時期が遅い香川にとって、歌舞伎界で過ごす日々は屈辱の連続だった。
「梨園は家柄や芸歴で上下関係が厳しく決まっている世界。テレビや映画で数多くの実績を残している香川さんでも、新参者として先輩や大名跡の方々には頭が上がらないほどなんです。歌舞伎の稽古場では猿之助さんはもちろん、市川海老蔵さんや松本幸四郎さんといった年下に対しても敬語を使わなければいけませんし、稽古中も演技の指導を受けたら従わなくてはいけません」(同・梨園関係者)
古くから梨園に伝わる慣習も香川のプライドを傷つけたという。
今後の映像業界での処遇
「公演前、格下の役者は目上の役者に必ず楽屋まで挨拶に行くのですが、振り向かずに対応されることもざら。機嫌が悪ければ無視されるほど、ぞんざいな扱いを受けます。また、香川さんは猿翁さんの息子という恵まれた立場でもありますから、家柄に恵まれないお弟子さんからすると嫉妬の対象。
彼らからも無視されたり楽屋の荷物が隠されたりとイジメに近い扱いを受けていました。そのような環境で積み重ねたストレスが、お酒を飲んだときに爆発していたのかもしれませんね」(同・梨園関係者)
梨園の中でも今回の件は、さすがに“猿之助でも守りきれないのでは”という声が日に日に高まっているようだ。
「澤瀉屋を背負って立つ猿之助さんからすれば、将来、名跡を継ぐであろう團子さんの父である香川さんを見捨てることは心情としてしにくいでしょう。しかし、あくまで大事なのは芸の継承ですから香川さんの都合は二の次。今後の状況によっては、梨園追放も現実味を帯びてくると思います」(同・梨園関係者)
歌舞伎界からも見放されたら、それこそ居場所を失ってしまうが、今後、映像業界での処遇はどうなるのか。
「被害者と香川さんの間ではすでに解決済みの話なので、ほとぼりがさめたらオファーしようと思っている人たちは多いそうです。とはいえ、しばらくはおとなしくして反省の態度を見せるしかありませんね」(前出・制作会社関係者)
歌舞伎に挑戦して10年を迎えた香川。節目の年の大失態に、今何を思うのか──。