3年ぶりの有観客開催で行われた日本テレビのチャリティー番組『24時間テレビ 愛は地球を救う』。放送の前日、人気女優があるチャリティー活動をスタートさせていた。
「広瀬すずさんが8月26日にウクライナの復興支援を目的としたクラウドファンディングを開始したんです。リターンのアイテムであるポストカードの作成費用は広瀬さんと所属事務所が負担。決済手数料を除いたすべての金額を寄付するというものです」(スポーツ紙記者)
開始から1週間で3000人を超える支援者が集まり、早くも目標額の約3倍となる880万円近くが集まっている状況だ。
「10代のころからチャリティー活動を行っており、'17年にはWEF(世界経済フォーラム)が主催するエッセイコンテストの審査員を務めたり、同年の3・11チャリティーオークションでは私物のバッグを提供しています」(ネットニュース編集者)
寄付増加の背景に“東日本大震災と新型コロナ”
チャリティー精神の原点は‘11年に起こった東日本大震災のようだ。‘16年の3月11日には、
《何もできないかもしれませんが、どんなことでも何かできること探し続けたいと思います》
とツイートし、ファンを中心に話題を集めた。
「新型コロナウイルスの感染が拡大した一昨年には、母校の小学校に消毒液を寄付していましたし、'16年の東日本大震災についてのツイート以降は、積極的にチャリティー活動を行っています」(前出・ネットニュース編集者)
令和に入り、チャリティー活動を行う若い世代の著名人が増加している。寄付や社会貢献活動のコンサルティングやサポートをしている『パブリックリソース財団』代表の岸本幸子さんは、東日本大震災と新型コロナの影響が大きいと語る。
「東日本大震災以来、苦境にある方をボランティアに行くのではなくてお金で支援する寄付という動きが定着しました。それに新型コロナが大きく拍車をかけた気がします。コロナ禍以降、著名人による寄付も増えました。さらに毎年のように全国各地で大規模な自然災害が起きていることも、寄付が増加している背景の1つです。'21年2月9日付の官報には、公益のために私財(500万円以上)を寄付した者を対象とする紺綬褒章の授与者として、中居正広さんや香取慎吾さん、浜崎あゆみさん、西島隆弘さん、YOSHIKIさんらの名前が掲載されています」
寄付をする手段が多様化
これまでアーティストやスポーツ選手などの著名人は、社会的なメッセージの発信をためらったり、「売名行為」と言われるのを恐れて寄付することを躊躇するような状況が続いていた。
「パブリックリソース財団でサポートした例では、4人組バンドのsumikaが『Dress Farm 2022基金』を設置したことがありました。無料視聴可能な新曲4曲と未発表ライブ映像4曲に対して、視聴したユーザーが自ら設定した金額を寄付としていただき、医療機関や音楽ライブ事業にかかわる専門スタッフに支援するというものです。彼らが寄付することで“かっこいいものなんだ”というロールモデルができ、ファンに向かって呼びかけたことで、これまで寄付をしたことがなかった人たちが行動し、寄付者層の拡大が起きたことが素晴らしいと思います」(岸本さん)
社会をとりまくさまざまな問題や、寄付をする手段が多様化したことも理由のようだ。
「ミレニアル世代やZ世代の若い人たちは、社会への関心や貢献意識が強く、社会課題を解決できるような働き方やお金の使い方に関心を寄せています。そんな社会的背景に加えて、広瀬すずさんなど若い著名人が寄付活動を行うことで、ロールモデルが増えてきました。また、地球環境問題や格差の拡大など将来への危機感から行動に移す方もいます。デジタルネイティブなので、クラウドファンディングやポイント寄付など、寄付のハードルが下がったのも大きな要因でしょう」(岸本さん)
クラファンのサイト内で発表されたメッセージでは、
《みなさんも困っている人を助ける一歩にしていただければと思います》
と思いを綴った広瀬。日本を代表する若手女優は、その志も一流のようだ。