「俺なんて、なんにもしていないですよ。まわりの力を借りているだけ。それでも、撮影が終わると“駐在ロスです”とか“駐在の現場がホームグラウンドです”と、言ってくれる共演者やスタッフがいて。みんな同じ気持ちだと思うと、すごくうれしいよね」
寺島進『駐在刑事』シリーズへの思い
自身が主演するドラマ『駐在刑事』シリーズへの思いを語ってくれた寺島進(58)。数々の作品に出演し、名バイプレーヤーとして愛される寺島にとって連続ドラマ初主演作となったシリーズが『ホームドラマチャンネル韓流・時代劇・国内ドラマ』で一挙放送される。
'14年の2時間ドラマからスタートし、 '18年に連続ドラマ化。今年1月から2月までSeason3が放送された。6作のスペシャルドラマに、3シーズン目まで放送が続く理由を、
「見やすさとわかりやすさ。そして、映像の美しさだと思うんです。それが、年配の方から、ちっちゃい子どもまで受け入れてくれているってことじゃないかな。“日本一美しい連続ドラマにする”っていうのが目標で、それを実現できている自信もある。レギュラーで出演しているキャストもスタッフも、これまでほぼ変わってないからチームワークもいいんですよ」
かつて警視庁捜査一課の敏腕刑事だった江波敦史が奥多摩の駐在となり、事件を解決していく人情とユーモアあふれるヒューマンサスペンス作品。時に刑事としての鋭さを見せるが、日頃は“駐在さん”と親しまれる気さくで明るく元気な江波の姿と、寺島本人が重なる。
「あんまり考えたことないですけどね。役者って、ある種、生きざまが出ちゃうと思うんですよ。東京の下町(深川)に生まれ育って、近所付き合いとかふつうにある中で過ごしてきました。だから、江波は自然体でやらせてもらってます。制服の着方なんかもそうですけど、堅苦しい感じにならないようにということは、意識していますね」
撮影現場である奥多摩を訪れると、太陽や風などの自然や、共演者からエネルギーをもらえると語る。
「Season3で親子の話があるんですけど、その回で映し出される奥多摩の星空がすごくきれいで。見どころ満載の作品ですけど、あの星空はぜひ見ていただきたいですね」
この奥多摩には、寺島にとって特別な“恩人であり、先輩”の故・松田優作さんが眠る西多摩霊園がある。
「昔はね、結構、バイクで行ってましたよ。命日に訪ねるときもありますし、『駐在』の撮影が早く終わって、日のあるうちに行ったこともあります」
高校卒業後、殺陣や危険なアクションシーンでのスタントマンの仕事をメインにしていた寺島。そんな彼の才能を見いだした松田さんがメガホンを取った『ア・ホーマンス』で映画デビューを飾った。
そして、北野武監督作品へ出演。以降、さまざまなドラマや映画で強い印象を残してきた。その寺島も今年11月で59歳に。来年、還暦を迎える。
「年齢はあんまり意識しないですね。精神年齢は気にするけど。昔から、子どもみたいなところがあるから。もう少しで~んと、しっかりしなきゃとは思います。まだまだ甘いですよ。
勉強しないといけないことがたくさんある。コロナ禍になって、家でいろいろな作品を見たんですけど、まだ見ていないものがたくさんあるなと思いました。
それと同時に、駐在の共演者やスタッフに早く会いたいとすごく感じましたね」
幾多の刑事役を演じてきた中でも、特別な作品。「ちょっと大げさかもわからないけど」と、続ける。
「例えば、俺が亡くなったら棺の中に駐在の衣装やら小道具やら全部入れてもらいたいの。
江波のいる水根駐在所は、奥多摩警察署にいる和泉(藤井美菜)に引き継いでもらって、警視庁捜査一課管理官の加倉井(北村有起哉)が左遷されて奥多摩警察署にくる。
そのくらいロングに続くと思う自信のあるドラマです。だから、ずっとやり続けていきたいし、思い入れが深いですね」
過去に忘れられない失敗を経験している江波。そんな失敗はある?
「20代後半で、アメリカ合衆国にひとり旅したんです。大好きな矢沢永吉さんの歌に『トラベリン・バス』っていう、アメリカをバス旅する曲があって、それに憧れて。
長距離を移動するグレイハウンドバスというのに乗ってニューヨークからロサンゼルスまで移動していたとき、朝、目覚めたらタバコが吸いたくなって。バスの後ろにあるトイレで吸っていたら、運転手に来いって言われてね。
テキサスのど真ん中で放り出されて。日本の感覚だとイエローカードかなと思ったんだけど、1発でレッドカード(笑)。1日2便ある次のバスに乗れて、なんとか移動できました」
9月18日『駐在刑事』全話(夕方6時30分~)
9月19日『駐在刑事Season2』全話(夕方6時30分~)
9月28日より『駐在刑事Season3』の放送がスタート
(毎週水・木曜 深夜3時~ほか)/
『駐在刑事スペシャル』今秋、テレビ東京系にて放送予定
(撮影/佐藤靖彦)