ジリジリと焼けつく日差しが肌を焼くなか、手に汗握る接戦が繰り広げられた夏の甲子園。高校球児たちが日本一を目指し、競い合う。
誰もが真剣にグラウンドを見つめるなか、さりげなく取り出した“タバコ”を吸い始めた男性がいた。それは8月18日、九州学院(熊本)と聖光学院(福島)の一戦が行われている最中のことだった。
母校の校長宛てに謝罪の電話
「アルプススタンドで観戦中だった熊本県議の井手順雄氏が、加熱式タバコを吸っていたことが発覚したのです。そればかりか、禁止されている缶チューハイを持ち込み、飲酒していたことまで明らかになりました。球場は指定された喫煙所以外は禁煙。缶や瓶の持ち込みも禁止されています」(全国紙社会部記者)
井手議員の母校である九州学院の夏の甲子園出場は、2015年以来、実に7年ぶり9回目。同校のOBである井手議員にとっては、さぞ喜ばしいことだったはずだが……。
九州学院に話を聞くと、同校の事務局長は、
「井手議員の近くにいたチアダンス部の生徒が“加熱式タバコのニオイがする”と言うので、同行していたチアダンス部の顧問や本校の教員が注意した、と聞いています。報告では複数の教員が注意したということですから、少なくとも2回は本校の教師から注意を受けていたはずです」
井手議員は9月12日、テレビ局などの取材に対して「1回、注意されただけ」などと述べ、飲酒も否定。それが一転、同日午後には飲酒を認めて謝罪したのだ。どうせバレない……そんな気持ちがあったのだろう。
「本校の同窓生ということですから、禁煙の場所で喫煙をしたという行為については大変残念に思っています。9月12日は振替休日で学校がお休みでしたから、13日の午前中に、井手議員から本校の校長宛てに謝罪の電話がありました。内容については私も聞いていませんが、大変反省されていたとのことでした」(九州学院の事務局長)
「辞めさせるべきだ!」
この問題について、九州学院は文書を発表。その中で《今後、改められて、井手順雄議員が、県会議員としてますます県民のためにご尽力くださり、また母校であります本学院のご支援を賜れば幸いです》と結んでいる。穏便に……と考えているようだけど、井手議員のルール違反には、怒りの声が相次ぐ。
「9月14日の午前までで、総計431件の苦情を電話やメールでいただいております。苦情の内容としては“議員として行動が不適切でけしからん”“議員としての資格がない、辞職させるべきだ”“熊本県民として恥ずかしい”などの声がありました」(県議会事務局)
井手議員は1999年に県議会議員として初当選し、現在6期目。ベテラン議員として模範となり、熊本県を引っ張っていく存在のはずだった。今後の処分について、井手議員が所属する自民党熊本県連はどう考えているのか。
「9月12日から13日で30件ほど“県議としてあるまじき振る舞いだ”など、批判のお電話をいただきました。13日には、県連として井手議員にどのような指導をしていくか、幹部による話し合いが行われました。数日中には何かしらの発表ができると思います」(自民党熊本県連の事務局長)
井手議員は9月12日に議会運営委員と自民党県連の副会長を辞任する意向を示し、議員辞職については否定した。自民党熊本県連もあくまで“指導”という言い方だったが、このまま“火消し”されるのか。
「県議会の事務局や自民党熊本県連だけでなく、ほかの政党にも“井手を辞めさせるべきだ! 頑張ってほしい”といった電話が多数きているようです。県議の中からも井手議員の辞職を求める声があがっており、主要会派らと共同して追求していく動きもあるようです」(県議会関係者)
さらに井手のぶお後援会事務所のフェイスブックには、多くの厳しいコメントが書き込まれて大炎上!
『最低!』
『総会でも皆様の前で喫煙してみては?』
『全国区で喫煙党を立ち上げてはどうでしょうか?』
『全国区になれてよかったね』
コメント欄は“総ツッコミ状態”となったため、すでに閉鎖されている。
反響の大きさを思い知り、自民党に居座ることは難しいと考えたのだろうか。16日朝、熊本県議会で開かれた自民県議団の議員総会で井手議員は、「ケジメをつけたいという思いで離党届を提出した」と述べたという。
9月13日、九州学院OBであるヤクルトの村上宗隆が、シーズン55号となる本塁打を放ち、58年ぶりに王貞治氏が持つ日本人選手最多記録に並んだ。同じ九州学院OBである井手議員は、後輩の活躍をどのような気持ちで見ていたのか――。