クラウドファンディング(以下、クラファン)で487万円を集め、日本一周企画に挑戦中の少年革命家ゆたぼん(13)へのバッシングが過熱する一方だ。
「北海道根室市内を走行中、目の前を走っていた車がフラフラと蛇行運転する異変に気付きながら約20分間も撮影を続けていたんです。その後、深い茂みに車が転落した後も救出する様子を撮影し続けたことから、その対応を巡りバッシングを受けることになりました。その後も滋賀県で“スタディ”した報告が『警察にお世話になりました』という、内容とはほぼ関係のないタイトルの“釣り動画”になっていたりと、動画やSNSを更新するたびに炎上している状態です」(ネットニュース編集者)
“不登校の子に直接会って、元気と勇気を与えたい”と資金を集めたものの、不登校の子に会った回数よりも問題行動を起こしている回数のほうが多いように思えるゆたぼん。支援した人をアンチ扱いし、一方的に返金をするなどクラファンの規約違反にあたる行動も問題視されている。
そこで資金を集めたクラファン運営会社『CAMPFIRE』に、規約違反をするとペナルティはあるのか? といった質問を送ったところ、以下のような回答が届いた。
「規約違反の疑いのあるプロジェクトにつきましては規約の抵触が確認でき次第、注意喚起も含め対応させていただいております。ペナルティにつきましてもサービスの利用規約に則り、適宜対応を行っております」
ゆたぼんパパ・中村幸也氏にも批判
トラブルが起こった際、代理で交渉するなどの対応はあるのか? という質問には、
「前提としてリターンに伴う責任はプロジェクトオーナーさまにあるため、基本的には二者間でご解決いただくようご案内しておりますが、状況に応じて弊社が事実確認をさせていただく場合もございます」(『CAMPFIRE』担当者)
不登校を前面に押し出しているゆたぼんだが、「同世代の男の子に声をかけてほしそうにしていた」といった目撃情報もあり、《本当は学校に行きたいのでは?》《親の金もうけの道具にされてかわいそう》と、ネット上では父親・中村幸也氏への批判も増えている。
彼らの親子関係は、専門家からどのように見えているのか。19年間にわたり児童相談所へ勤務していた、家族問題カウンセラーの山脇由貴子さんに話を聞いた。
「親が子どもを学校に通わせない、金もうけの道具にするというのは、いずれも児童虐待に該当します。7日間以上欠席した子どもについては教育委員会への報告も義務付けられています。その場合は児童虐待として児童相談所に連絡が行き、児童相談所が子どもの安否確認、意思確認を行います」
――“本当は学校に行きたい”子どもが出す、SOSや兆候などはありますか?
「(目撃情報の)同年代の子どもをうらやましそうに見ているということ以外は、親とずっと一緒だと発見は難しいと思います。子どもの意思が分からず、無理に連れまわされている危険はあると言えるでしょう。親に支配されている兆候としては、親のことを怖がる、顔色をうかがう、親の様子を気にしているなどがあげられます」(山脇さん)
車中泊は児童虐待に該当する
――日本一周の期間中は連日のように車中泊をしたり、深夜の温浴施設で目撃情報などもあります。このような生活は、子どもの成長にどんな影響がありますか?
「不安定な生活環境、不規則な生活は成長に影響を与える場合があり、身体の発育が遅れる、栄養バランスの崩れによって病気になりやすいなどは考えられます。車中泊は児童虐待に該当すると言えますので、児童相談所が保護する対象となります。また直接的な同年代との関わりがないこと、父以外との人間関係がないということは、将来的に人と関わる力が育たず、対人関係で支障を来たすことと言えます」(山脇さん)
――YouTubeを始めてからネット上で多くのバッシングを受けていますが、愛情以上にバッシングを多く受けて育つと、どのような影響が考えられますか?
「自己評価が下がり、自己否定感を抱くようになり、重症化すると希死念慮(自殺願望)を抱いたり、自分を傷つけたりすることも考えられます。また、対人不安、対人恐怖も起こり得ます。父が暴言や誹謗中傷から守ってくれなかったという思いは、深刻なダメージを心に与えるので、その影響でさらに自己否定感は高まります。また暴言を吐くことへの抵抗感がなくなり、直接的コミュニケーションでも人に平気で暴言を吐くようになり、人から嫌われ、孤立化する可能性もあります。十分、児童相談所が介入するべき家庭だと思います」(山脇さん)
児相は「教委と学校と対策を検討」
専門家も警鐘を鳴らすゆたぼん親子の家庭環境だが、彼らが住むエリアを管轄する沖縄県コザ児童相談所にも話を聞いてみた。
「ゆたぼんさんに関してはYouTubeを開始された直後から多数の相談が寄せられており、その都度、ゆたぼんさんが住む市の教育委員会や在籍する学校と情報を共有し、対策を検討させていただいています。コザ児童相談所が直接、親御さんにお会いした事例は私のほうでは把握していませんが、学校のほうが対応されているかと思います」
家庭内暴力や児童ポルノなど、直接的な被害でないと行政は介入しづらいのか? という質問には、
「現在(日本一周企画で)連日、炎上しているというのは今回の問い合わせで知ったので、これから検討させていただきます。ただ、どのような調査をしているかはこちらからは開示できません」(コザ児童相談所)
とのことだった。不登校の子どもたちに元気と勇気を与えるために始めた日本一周が、ゆたぼん自身を苦しめている行動になっていなければいいが……。