9月19日、依然として猛威をふるい続けている大型台風14号。各都道府県の交通機関、また各種イベントの開催に影響を与えている中で、9月18日に福岡県福岡市の『福岡ペイペイドーム』コンサートを強行したのが矢沢永吉だ。
矢沢サイドは前日の17日時点で、最終的は判断は当日としながらも、《『矢沢さん!中止しないでください!』『開催して下さい!』というお声がものすごい数のメールが届いております。》と、強行開催の正当性をアピール。
続けて、チケット購入者へのお願いとして、参加を断念するファンに対しての返金手続きをするとしつつ、参加希望者に対しては、
《ご来場いただく方は、ご自身の判断で必ず安全を確保できる方、帰路につける方のみご来場ください。決してご無理なされず、ご自身で判断してください》
参加条件として、終了後に自力で帰宅できるファンのみとするアナウンス。つまりはコンサート参加は“自己責任”としたのだった。
「今回のツアー『MY WAY』は、50周年記念ツアーともあって矢沢さんの集大成のようなもの。届いたとされるメールのように、楽しみにしていた熱心なファンが開催希望するのは当然。開催するとなれば、それは帰路の有無を考えずに参加するでしょう。
他アーティストが泣く泣く開催中止にする中で、“コンサートはやるけど、帰れなくなっても矢沢のせいじゃないよ”というのは、主催者対応としてどうなのか(苦笑)」(レコード会社関係者)
実際、同日に『マリンメッセ福岡』で公演を控えていた小田和正は、公式HPで《何よりもお客様の安全第一を最優先に考えました結果》として中止を決断。理由はやはり“交通手段の確保が困難である”とのことからだ。
コンサート終了後には“帰宅難民”の姿も
「くれぐれも気をつけて帰ってね~!」台風下のコンサートが終了した19時すぎ、ファンに向かってそう呼びかけたという矢沢。周辺の地下鉄やバス等の公共交通機関は軒並み運休だけに、「わずかに運行していたタクシー乗り場には行列が作られていたみたいですね」とは、ウェブニュース媒体・ライター。
「中にはタクシーを諦めて、市内のホテルまで徒歩で向かうファンや、屋根がある場所で立ち往生する“帰宅難民”も少なからず見られた模様。救いだったのは、コンサート終了時点での福岡市内は、思ったほどの雨風に晒されていなかったことでしょうか。
一方で、コンサート参加者と思われるファンのSNSでは、“もう最高”“賛否両論色々あったけど心の底から参戦して良かった”と満足げに、矢沢さんの英断に感謝する声も見受けられます。当日の会場内はほぼ満席だったみたいですね」
結果として、幸いなことに台風被害に巻き込まれたファンはいなかったようだが、ネット上ではやはりコンサート強行した矢沢への風当たりは強い。
一つ間違えたら人災だった
《矢沢永吉の自己責任発言も大概無責任だなって思ったけどファンの振る舞いも全然ロックじゃない》
《たまたま何も無かったからいいけど、一つ間違えたら人災だったわけで、それで「ロックだろ?」って言われてもなあ》
「コンサートに参加するのはファンだけではありませんからね」とは前出のレコード関係者。
「会場設営や来場者の整備など、大勢のスタッフやアルバイトがいてこそ成り立つわけで、来場者に“自己責任”を強いるのならば、主催側が運行バスを出したり、たとえば終了後のドームを避難所として使えるように調整したりと、まずは安全の確保を最優先とすべきでした。
以前に『SUMMER SONIC』でのコロナ禍での“声出し”をめぐって、L'Arc~en~Ciel・HYDEさんの対応が賞賛されましたが、ファンの安全と安心を考慮した、責任ある大人の言動だったと思います」
50年以上にわたって“ロック”を貫いてきた矢沢だが、今回ばかりは“伝説”とはならなそうだ。