防災意識の高まりから、ストック食品を多めに買いだめして備える家庭も増えている。しかし買ったはいいが、気づいたときには賞味期限切れで、ゴミ箱へ……となっては、お金のムダ。まずはストック食品をきちんと管理できているか、下記のリストでチェック。
ストック食品を無駄なく使い切る!
「ストック食品といっても、管理できないほど買い込んでは有効活用できません」
というのは、食品保存アドバイザーの島本美由紀さん。長期保存可能な缶詰やインスタント食品も、戸棚の奥にしまい込んでしまえば、“たんすの肥やし”ならぬ“戸棚の肥やし”に。
「またしょうゆや料理酒など、割安だと思って大容量のものを買ってしまうと、使い切れなかったときに逆に割高に。わが家は2人家族なので、調味料は通常サイズを選び使用分に加えてストック1本と決めています」
このほか、ストック食品の買い方で注意したいのが、
「目新しい缶詰などを、“試しに買ってみようかな”と手を出すと、結局食べないことが多い。ストック食品は冒険をせず、普段の食卓にも出せるものを選びましょう」
保存場所が分散しているために、食べそびれるケースも。戸棚の上や下、食器棚など、あちこちに置くと管理しきれなくなるので、保存場所は、2か所ほどにとどめたい。
「冷蔵庫に近い場所に保存すれば、献立が立てやすいです。ただし、流しの下はNG。湿度が高く温度変化が激しいので、食品の保存には適していません」
ストック食品の適所・適量を決めたら、あとは期限を管理。そこで実践したいのが『貼るだけ保存術』だ。シールやマスキングテープで期限をラベリングすれば、いつまでに消費すればいいか一目瞭然。ポイントは、賞味期限と開封日だ。
「賞味期限は食品の底面など見にくい位置に印字されていることが多く、見逃しがち。側面や上部などにラベリングで消味期限を書きましょう」
また、意外と忘れがちなのが、調味料やジャム、ソース類の開封日。
「調味料には、開封した日付を書きます。記載されている賞味期限にかかわらず、1~2か月を目安に使い切って」
どんなに安く買っても、使い切らなければお金を捨てているのと同じ。
食品ストック、ムダにしてない?[チェックリスト]
■同じ食材の買い置きが3つ以上ある
■ストックの収納場所が3か所以上に分散している
■いつ開封したかわからない食品や食材がある
■ストック食品の見直しを1年以上していない
■目新しい食品を見つけるとつい買ってしまう
■調味料を最後まで使い切れないことが多い
■いつから冷凍しているかわからない食品がある
1つでも当てはまった人は、食費をムダにしている可能性あり!
「ストック保存がうまくなると、必然的に食費もコンパクトに」と島本さん。ラベルシールをフル活用して、食費のムダをSTOP!
『貼るだけ!』気づけば“期限切れ”しやすい3食材の保存テク
食品管理が苦手な人でも大丈夫。3つのルールさえ守れば、あっという間に保存上手に!
〈1〉インスタント食品は賞味期限を目立つ場所に
ストック食品の定番であるカップ麺などのインスタント食品だが、賞味期限は約半年~8か月程度と意外と短い。
「インスタントラーメンは賞味期限が1、2週間過ぎるくらいなら、食べられないこともありません。ただし、1か月以上過ぎると油が酸化し、お湯を注いでも麺に芯が残ってしまうことがあるので早めに消費を」(島本さん、以下同)
うっかり食べ忘れを防ぐため、インスタント食品には、目立つ場所に賞味期限をラベリング。ストックを補充する際も、期限が近いものを手前に置くなどの工夫を。
消費期限と賞味期限の違いって?
混同されがちな消費期限と賞味期限の違い。消費期限は、安全に食べられる期限のことで、これを越えたら食べないほうがよいとされる期限。お弁当やサンドイッチなど、傷みやすい食品に表示される。
一方、賞味期限は、美味しさの品質が保たれる期限。期限を越えてもすぐに食べられなくなるわけではない。スナック菓子や缶詰などに表示される。ただし、どちらも正しく保存していた場合の期限。開封後は、できるだけ早めに食べること。
〈2〉冷凍食品はラベリングと二重保存で使い切る
コロッケやシューマイなど、市販されている冷凍食品も、一度開けたら2週間以内に食べ切ること。
「家庭用の冷凍室はマイナス18度くらいと、業務用に比べて温度が高く設定されています。さらにドアを開け閉めするたびに庫内温度が上がって劣化が進みます。『冷凍室に入れておけば大丈夫』と過信せず、しっかり管理を」
市販の冷凍食品は、フリーザーバッグに入れて二重保存し、開封日を必ずラベリング。二重にすることで冷凍室内でのニオイ移りを防ぎ、味の劣化を防ぐ。
「下味冷凍など手作りの料理は、調理した日と内容をラベリングして、フリーザーバッグに入れて保存しましょう」
ストック食品も「衣替え」が大切
食費のムダを徹底的になくすためにもストック食品は定期的な見直しが肝心。
「おすすめは季節ごとの見直しです。春夏秋冬で家庭の食卓は変わるので、そのタイミングでストック食品も棚卸しして、中身を確認。賞味期限が近いものは積極的に消費するなど、回転させることを意識しましょう。クローゼットの衣替えをする時期になったら、食品の『衣替え』も思い出してくださいね」
衣替えの際のストック見直しで、『これって中身はなんだっけ?』『賞味期限を見逃しそう』というものがあれば、しっかりラベリングしておくと安心。外箱から出したレトルト食品や、フリーザーバッグに入れた作り置き食品などは、中身がわかりにくくて消費が先延ばしになりがちだ。
「家族の誰が見てもわかりやすいように、目の位置を意識してラベリングしましょう」
〈3〉瓶&チューブ調味料は開封日を書いて冷蔵か冷凍を
調味料は、開封すると劣化が始まるのでラベルには開封した日付を書く。マヨネーズなら冷蔵庫で1か月、ウスターソースなら3か月くらいで使い切るのが理想。使用頻度の低い調味料に関しては、冷凍室で保存したほうが品質を保てる。
「豆板醤やチリソースなど、普段使わない調味料は、開封日を記入したら冷凍室へ。塩分が多いのでカチカチに固まらず、料理するとき困るということもありません。ただしプラスチック容器や瓶は割れるおそれがあるため、冷凍する場合は中身が8割以下になってからに。私は日常使いするみそも、品質保持のために冷凍保存しています」
みそは冷蔵保存だと2〜3か月のところ、冷凍保存だと1年ほどもつので実践したい。
防災やエコにお役立ち!「ロングライフ紙パック」も活用を
近年話題のロングライフ紙パックは、特殊な技術で作られた紙パックのこと。牛乳や豆腐、ヨーグルトなどの冷蔵保存が必須だった食品が、常温のまま3か月~半年くらい保存可能に。使用後のパックはリサイクルできるので環境にも優しい。
「別名『紙の缶詰』と呼ばれるロングライフ紙パックは、かさばらず収納しやすいので、防災用として常備しているご家庭も増えています」
いつものストック食品に追加すればさらにムダが減らせそう!