安田大サーカスのクロちゃん(45)が番組内でキレた。9月21日放送の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)でのことだ。
クロちゃん『水ダウ』にキレるもお約束
お化け屋敷に連行され、箱から落ち武者メイクで首だけ出すという状況で助けを求める、というのが与えられた役目だったが、誰にも助けてもらえない事態に。おなじみのソプラノボイスで叫び続けたあげく、ドッキリ企画だと知らされたクロちゃんは、
「わかるよ! こんないかれたことするの『水曜日』しかないじゃん」
と、怒りをあらわにして、
「警鐘鳴らしますよ、マジで」「日本ヤバいって」などと、ふだんより強めに抗議した。
とはいえ、これ自体は「騒動」と呼ぶほどのことではない。本人も番組もわかったうえでやっているという、いつものお約束だ。
ただ、お約束は飽きられやすいが、この人の場合、意外と長持ちしている。どこまでが演出なのか、素とキャラの区別がつきにくいからだろう。
つまり、安全なのか危険なのか、正体不明的な存在。いわば「騒動」を起こしそうなのに、あくまで番組の中だけで「騒動」を起こすという稀有な芸人だ。
ではなぜ、彼がそういう存在になれたかといえば「キモさ」と「賢さ」を併せ持っているからだ。「キモさ」はある種の芸人にとって必要な要素だが、それを自在にコントロールできる「賢さ」がないと成功はしない。初期のタモリにせよ、江頭2:50にせよ、アンガールズの田中卓志にせよ、である。
アンガールズ・田中卓志も注視していた
その中のひとり、田中がクロちゃんについて予言めいた発言をしていた。2015年の正月番組『有吉VSミジメちゃん今年幸せになってほしい人大賞』(フジテレビ系)の中で、自分のポジションを脅かしそうな芸人を聞かれ、
「今、クロちゃんが怖いんですよ。恐ろしい。(略)いちばん気持ち悪いでしょ」
と、回答。「もう牙城全部崩されるというか。(略)オレも気持ち悪いけど、心底気持ち悪いというとクロちゃんなんですよ」と、脅威を語っていたのだ。
その2年後、クロちゃんは『水曜日のダウンタウン』で虚言癖がバレ、クズキャラとして浮上。また、別の医療番組で注意された食生活の改善についても、守っているフリをしていたことが明るみになった。
さらに、ショックを受けたとして泣いた女医に対し「泣きマネする女もいるから」と、クズ発言。想像の上を行くリアクションでブレイクを果たした。
それ以降『水曜日のダウンタウン』では彼にアイドルグループ『豆柴の大群』をプロデュースさせたり、彼を軸に恋愛リアリティーショーのパロディーをやらせたりと、フル活用。彼のほうも、その流れに喜んで乗っかっていった印象がある。安田大サーカスがHIROの病気などでグループ活動をしにくくなっており、渡りに船だったのだろう。
最近では「エンタメ界のヒール役だと思う著名人ランキング」で2連覇を達成。2位以下にホリエモンやガーシーといった顔ぶれがいることから、
「ボクが入ってなかったら、ほんとうに悪い人たちばかりだよ、このランキング」
と、苦笑してみせた。確かに、彼は世の中を巻き込むような騒動とは無縁なのだ。
ただ、こんなクロちゃんをエンタメにできるのは『水曜日のダウンタウン』だけ。もし、この番組がなくなってもうまく立ち回れるのか、気になるところだ。ここはぜひ『水曜日のダウンタウン』が終了します、というドッキリを仕掛けてみてほしい。