10月5日より開演のミュージカル『吾輩は狸である』にて、主演を務める赤西礼保(34)。元『KAT-TUN』の赤西仁(38)の弟で、俳優・歌手として活躍中だ。全国をまわって2000枚のアルバムを手売りしたこともあり、そんなストイックな一面を持つ一方で、インタビュー中は人懐っこい笑顔を絶やさなかった彼に、今作への意気込みなどを聞いた。
赤西礼保、主演舞台への意気込み
「ミュージカルに出演するのは4年ぶりで、かなり入念に準備をしましたね。稽古場が遠かったこともあり、近くに部屋を借りて1か月近く住み込みのような状態で稽古に取り組みました。
主演なので台詞の多さももちろんですが、それに加えて歌唱もあり、そこまでしないとこの物語やお客さんと向き合えないと思ったんです」
そのストイックさの背景には、俳優としてのこだわりがある。
「狸の役を演じるのですが、役であっても人間が狸になるって物理的に無理じゃないですか。だから、難しいことは考えず、その役を懸命に“生きる”ことに集中しました。そうしていれば、お客さんはだんだん僕のことを狸に見えてくるはずなんですよ。
“狸になろうなろう”という意識ではなく、“この役としてとりあえず100%生きよう”っていうことに徹しました」
過去には、一足先に芸能界でスタートとなった兄と比較されてしまい、悩んだこともあったが、幼いころから現在でも良好な関係を築けているという。
赤西仁とは関係良好
「今回のミュージカルに関しては自分からは報告してなくて。“決まったんだね”“お互い頑張ろう”っていうのは連絡し合いました。
やっぱり彼はアメリカにいて離れているんですけど、家族ですし、お互い芸能生活も長くやっていることもあって、気持ちとして以心伝心している仲ではあると思っています。最近は全然会えてはいませんね、俺のこと覚えてるかな……たぶん覚えてるとは思うんですけど(笑)」
自らの実力だけを頼りに、主演という重圧にも挑んだ今作。台本も擦り切れるほど読みこなした。
「よく“台本は擦り切れるくらい読め”って言われてたんですけど、毎日読んでたら、自然にボロボロになっちゃって。でも、単純に台本を読んでいるだけでこの作品は面白いんですよね。
狸が人間になったり、人間が狸になったりと、物語としてはファンタジー要素が織り込まれていますが。『ロミオとジュリエット』のパロディーも含まれていたり、他の有名作品へのオマージュもあったりして、いろんな角度から楽しむことができると思います。
僕自身が作品のファンですし、この世界観を自分の力で表現しなければという責任感も大きいですね」
10代から芸能の世界に足を踏み入れ、ひたすらに目の前の仕事に力を注いできたからこそ今がある。
「小さいころからアンサンブルをやらせて頂いたり、車で全国を周りながらアーティスト活動も行なったりして。今までの活動の中でちょっとずつ色んな経験をして、歳を重ねていって、今ここにいる。
お仕事をしていると一期一会の出会いも多いんです。そういう出会いを一つ一つ大事にして、作品を噛みしめながら本番を迎えたいと思っています」
兄の背中だけを追いかけていたころの彼はもういない。自らの道を歩み始めた赤西の今後に注目だ。