ガーシー議員こと東谷義和氏(YouTubeチャンネルより)と、NHK党・立花孝志党首

ガーシーがもし辞めたとしても、NHK党の(比例代表)2位の山本太郎が繰り上げ当選になりますので、NHK党自体の議席数は変わらないんですよね。党としては痛くもかゆくもない

 10月3日の参議院本会議後に、YouTubeチャンネルにて動画を投稿したNHK党(以下、N党)の立花孝志党首。国会を欠席し続ける“ガーシー”こと東谷義和参院議員に対して、参院運営委員会から帰国、登院の要請が届いたことを明かした。

 そして自ら憲法58条にある《院内の秩序を乱した議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする》との規定を持ち出しては、ガーシーが除名される可能性にも言及。

「実際に除名するとは思えない」との見解を示しつつも、もしも可決された場合は「最高裁まで争う」とガーシー議員を擁護する構えを見せた立花氏。一方で、冒頭の“繰り上げ当選”も仕組みも示唆したのだった。

 先の参議院選でN党から出馬して見事、比例区にて当選したガーシー。よって辞職や除名にせよ、彼が議員を辞めた際には次点につけていた山本太郎氏が繰り上げ当選となる。立花氏にしてみれば、顔は変わろうとも議席は変わらないために「痛くも痒くもない」わけだ。

 かく言う立花氏も、2019年の参院選で比例区にて当選するも、わずか3か月で埼玉選挙区の補欠選挙へ出馬。この失職に伴って、現在はN党政調会長を務める浜田聡氏が繰り上げ当選を果たしている。“繰り上げ”は策略の一つのようだ。

立花氏「ガーシーは怖い」

 参院選を取り上げた情報番組ディレクターは、ガーシーと立花氏は「一枚岩とは言えなかった気がします」と2人の関係性に疑問を持っていたという。

「当選後にも、公約として掲げていた“暴露がない”とガーシーに対する不満を隠しませんし、その人物像にしても“すぐキレる”“怖い”と評しています。信頼しあっているというよりも、互いに利用して、利用されての関係が透けて見えました」

 8月の会見では、国会に出席しないことに関しては庇いつつも、「政治の世界に全く関係のない芸能人の中でおさまってとどまるのであれば、ぶっちゃけ党としてかばいようがない」と、議員の仕事ぶりに“ダメ出し”もしていた立花氏。

 新たな暴露の場として9月1日に有料サロン『GASYLE』(ガシル)を発足するも、やはり政界というよりも芸能界の話題が中心のようだ。しかも退会時の返金に関するトラブルを訴える声も出始めているガーシー。

「立花さんにしてみれば、他党議員らのスキャンダルを期待するも、待てども一向に出てこない。すでに議席確保と政党要件を満たす目的は果たしているわけで、扱いにくいガーシーよりも山本太郎氏が議席に座った方が何かと都合が良いのかもしれません。

 ただ、ガーシーにも辞職するのではなく離党する、という“切り札”もある。立花さんも迂闊にモノを言えない部分もあると思います」(前出・ディレクター)

 万一にもガーシーが離党すれば、N党は貴重な議席を1つ失うことになる。比例区で同党トップの29万票を集めた“稼ぎ頭”がいなくなることで、政党としてダメージを受けることも考えられる。実際、ネット上では、

もしガーシーが議員辞職はしないで離党を選択したら、政党要件を満たせなくなって党の政党交付金が止まるってことがあるのか

 国政政党としての存続も危ぶむ声も聞こえているがーー。

政党要件はすでに満たしている

「結論から言えば、問題はないと思います」とは全国紙・政治部記者。

 総務省によると【政党交付金の交付対象となる政党】の要件として、【所属国会議員が5人以上】【所属国会議員が1人以上、かつ、次のいずれかの選挙における全国を通じた得票率が2%以上のもの】とある。

「先の参院選で、N党の比例区での得票率は2%を超えています。東谷氏がいたからと見るのはもっともですが、加えて選挙区においても自民党の候補者49人を大きく上回る73人を送り出して、こちらも2%超えを実現しているんです。

 結果論ですが、N党は東谷氏に頼らずとも国民から国政政党として認められていたということ。これも立花党首の型破りの策略がもたらした戦果でしょう」(前出・記者)

 N党には、立花氏の繰り上げで議席に着いた浜田氏も健在。同氏が任期満了を迎える2025年の改選までに、新たな“目玉”候補者を立てる算段というところか。

 そして、ガーシーはすでに「逃げ場」を失っているとの向きもある。

 冒頭で立花氏が講じたように、参院が実際にガーシー議員の「除名」に動いていると仮定した場合、「このケースでは、さらに細かく言うと国会法第124条の方が適用されると思います」とは政治評論家の有馬晴海氏。

議員が正当な理由がなくて召集日から七日以内に召集に応じないため、又は正当な理由がなくて会議又は委員会に欠席したため、(略)故なく出席しない者は、議長が、これを懲罰委員会に付する。》

登院しか議員を続ける道はない

 議員が不祥事を起こした際によく耳にする「議員辞職勧告決議案」のように、「辞職を勧める」といった要請ではなく、議院から強制的に議員職を解かれる法律があるようだ。

「当選しているにもかかわらず、自ら“登院しない”と議員の仕事と資格を放棄しているわけです。これが“正当な理由ではない”に当てはまり、辞職勧告の議論もなく辞めさせるという方向に向かうのだと思います。

 つまりは離党するしないは全く関係なく、議員剥奪される、除名される可能性があるということです」(有馬氏)

 ガーシーが無所属の議員として除名されたとしても、その“後釜”に収まるのはやはりN党からの繰り上げ当選とのこと。なるほど、「痛くもかゆくもない」。

 前出の政治部記者は「もしも全てが立花氏の“策略”だとしたら」と、その“政治家”ぶりに舌を巻く。

「そもそも“除名”という仮定を持ち出したのは、参院ではなく立花党首。どこか世論を誘導しているような、それでいて東谷氏を擁護して“恨み”を買わないように立ち振る舞い、あとは参院が動くのを待っているような……。

 2人の間にどんな決め事があるかは計りかねますが、東谷氏が議員を続けるにはもう登院するしか術がない。でも、それこそが立花党首が困ることのように思えるのですが(苦笑)」

 10月4日、自身のインスタグラムを更新して《オレにしかできひん政治家のカタチ見せたるわ!》と、なおも議員ぶっていたガーシー。センセイの知らない内にタイムリミットは迫っている、のか。

 
泥酔しているような女性を抱える小栗旬(東谷義和氏のTwitterより)

 

 

両脇に女性と囲まれてダブルピースをする小栗旬(東谷義和氏のTwitterより)
ガーシーがYouTubeにアップしたマイファスHiroと交際相手だったA子さん(プライバシー保護のため一部を編集部で加工)

 

ガーシーがYouTubeにアップしたマイファスHiroと交際相手だったA子さん(プライバシー保護のため一部を編集部で加工)