テレビ、YouTube、CM業界などの放送作家として、数々のコンテンツを作り出してきた澤井直人(32)。今、ほかの誰よりも「人間」に興味がある平成生まれの彼が「今、話を聞きたい!」と思う有名人と対談する、好奇心と勢いだらけのインタビュー企画『令和にんげん対談』が始動!
第3回のゲストは、俳優の中尾明慶(34)。この夏、話題となったドラマ『六本木クラス』(テレビ朝日系)に主要キャストとして出演し、10月から情報番組『プチブランチ』(10月3日からTBSで放映開始した『王様のブランチ』の姉妹番組。月〜木曜の9時55分~10時25分に放映)のMCに大抜擢!
自身のYouTubeも定期的に更新し、精力的に活躍中の中尾を「理想のパパ」と語る澤井。世間からの好感度が高く支持されている中尾だが、その秘訣とは!?
澤井直人(以下、澤井)「今日はお忙しい中ありがとうございます! これからプチブランチの収録ですか?」
中尾明慶(以下、中尾)「はい、ちょうど今日(対談日)の夕方に撮影があります!」
ほっと一息ついてもらえるような雰囲気づくり
澤井「『WATER BOYS』、『ROOKIES』、『ドラゴン桜』をはじめ、20年以上前から数々の作品に出演されてきた中尾さんが、情報番組のMCを担当されるのはかなり新鮮です。ご自身の心境はいかがですか?」
中尾「もちろん情報番組のMCは初めてなので、自分に務まるのかどうかと不安はありますが、新しいジャンルの仕事は刺激になります! それに他の俳優さんと比べたら、バラエティの出演経験も多いほうだと思いますね。
今思えば、13歳で『金八先生』に出演した直後から『王様のブランチ』、『はなまるマーケット』、『さんま御殿』など……、若いうちから作品以外にバラエティ番組に出演させていただく機会が多かったです。なので『プチブランチ』のお話を頂いた時も、挑戦してみようという気持ちが大きかったです」
澤井「これまでと畑の違う仕事はテンションが上がるものですか?」
中尾「そうですね、ただの好奇心ですけど(笑)」
澤井「いやいやその前向きさが羨ましいです! じゃあ今は結構、意気込みも強いですか?」
中尾「あ、そこは肩の力を抜いて自然体でいきたいなと(笑)。朝10時台の早い時間帯から意気込んだMCが喋っていたら、視聴者の方々も疲れてしまうじゃないですか。きっと旦那さんやお子さんの送り迎えを終えた主婦の方々が多く観ていらっしゃると思うので、ほっと一息ついてもらえるような雰囲気づくりをしていけたらなと」
澤井「なるほど~。ちゃんと視聴者さんのことまで気が回っているのは、裏方からしてもありがたいです!」
中尾「まあやってみないとわからないですけどね、来週には降ろされてるかもしれないですし(笑)」
「撮影の合間に竹内君が……」
澤井「本業でも相変わらず活躍されていますよね。7月期には話題の『六本木クラス』にも出演され、とても楽しく拝見していました」
中尾「ありがとうございます! もともと梨泰院クラスがめちゃくちゃ好きで、オファーを頂いたときは『よっしゃあ!!』って声が出ました(笑)。ただ演じる時は、本家の『梨泰院クラス』の作風を真似するということはなかったですね。
今では漫画原作の作品も多いですし、あまり元ネタのキャラクターに引っ張られないよう意識しています。むしろ自分が好きな作品だと『誰がどの役を演じるのか』というキャスティングのほうが気になったり」
澤井「たしかに気になりますよね。中尾さんが演じられた内山亮太は『元チンピラながら純朴で男気のある役柄』というイメージですが、実際に演じられてどうでしたか?」
中尾「チンピラの役なので、当然カメラの前では怖い雰囲気を出すんですけど、撮影現場の空気は柔らかくしたかったんですよ。作品ではシリアスなシーンが多かったので、現場の雰囲気がピリピリしたら嫌だなーと。
監督からも『共演者がひと息つけるようなムードメーカー的な役割』をそれとなく任されていました。なのでオンエア上カットされようが、場が和むようなアドリブを入れたりしてました」
澤井「そういう方がいてくれるとめっちゃ助かりますね。たまに企画会議で静まり返っていると、僕も少しソワソワします(苦笑)」
中尾「現場全体のことを考えた方が、自分にも返ってくるし、絶対良い作品が作れるので」
澤井「ぜひ中尾さんと現場でご一緒したい(笑)。じゃあ六本木クラスでは、共演者とも仲の良い現場だったんですか?」
中尾「和気あいあいとした現場でしたよ。竹内(涼真)君なんか、僕が休憩時間に昼飯を食ってると、誰かから場所を聞きつけて同席してくるんですよ。しかもメイクやスタイリスト、マネージャーさんとかを一斉に引き連れて。
そうなると年齢的にもキャリア的にも僕が先輩だから全員に奢らなきゃいけなくて、『もう来んなよ!』みたいなツッコミは入れました(笑)。それぐらいほがらかで楽しい現場でした」
YouTubeは子どもとの思い出づくり
澤井「10月期にも月9『PICU』に出演され、もうひっきりなしですね。こちらは小児科医を題材にしたドラマということで、六本木クラスとはまた雰囲気が違う気がしますが…」
中尾「子どもの生死を扱うという、とてもセンシティブなテーマに挑戦している作品なので、また雰囲気は全然違いますね。ドラマでありながらドキュメント風なリアルさもありますし、実際に小児科医の施設を見学させて頂いたので、良い緊張感を持って臨んでいます」
澤井「しかも今回は寡黙な役柄なんですね」
中尾「そこだけが心配なんですよ、現場で黙ってられるかが心配で(笑)」
澤井「中尾さんは沖縄県浦添市を盛り上げるラジオ番組『ゆんたくラフテーナイト※』にもゲスト出演されたり、幅広いお仕事をやられていますよね。これからバラエティにドラマと大忙しですが、YouTubeも定期的に配信されていて精力的に活動されているなあと」
※人気youtubeチャンネル「岡田を追え!!」に出演している岡田康太がパーソナリティーを担当。岡田康太の事務所の社長である伊波恒樹(株式会社パッチューネ・浦添市出身)も一緒にパーソナリティーをつとめる。
中尾「いやいや、YouTubeは本当に遊びというか。仕事のという感覚は全くなくて、限りなく日常に近いですね」
澤井「割とお子さんも頻繁に登場されているので、妻とほっこりしながら見てます。僕は子供が1歳なんですけど、中尾さんの息子さんは9歳ですよね」
中尾「そうですね。子どもが9歳になると一緒に遠出もできるので。たまに1年前ぐらいの動画を見返すと、『あの時ドライブしたよな~』みたいに当時を思い出せるので、そういう意味ではYouTubeが思い出づくりにもなりますね」
澤井「思い出づくりは良いですね~! 釣りや旅行などの動画も挙げられていますし、かなり家族サービスもされている印象で、僕からしたら理想のパパです(苦笑)」
中尾「いやいや、本当にそんなことないです!(笑)。 頻繁に出かけるのは、むしろ僕が家にいるのが耐えられないからなんですよ。基本的に休みの日はどこかしらに出かけてます。動物園とかディズニーランドも、息子より僕のほうが楽しんでいる可能性があります」
澤井「ご自身がまず楽しんでいるんですね(笑)」
中尾「もう午前中から車内でスタンバってます! ディズニーに行くときは、妻と息子の準備が遅いとソワソワしちゃいますよ。アトラクションの待ち時間が見れるアプリとか見て『どんどん待ち時間増えてるじゃん!』って機嫌が悪くなって、妻にツッコまれるみたいなこともしょっちゅうですね。定番のいざこざみたいになってます(笑)」
思いついたらすぐ行動するタイプ
澤井「YouTubeでドライブの動画をあげてる回で似たような光景をみました(笑)。僕の周りの放送作家は独身の方がほとんどなので、家族のエピソードを聞くと親近感が湧きます」
中尾「たしかに僕も、身近で同世代のパパ友はいないですね。ただ、子どもの学校のイベント帰りに、同級生のパパ達とご飯を食べることはありますね」
澤井「え、そうなんですか! パパ会のなかに中尾さんが混ざっているんですか!?」
中尾「一回だけ、同級生のパパやその子どもたちと、カラオケや鬼ごっこもしました。運動会終わりに、他のパパに『ご飯でもどうですか?』と誘ってもらって。ご飯の後にカラオケにも行く流れになったんですが、 待ち時間が1時間ほどあったので、その間に公園で皆さんと鬼ごっこをしました(笑)。普段は出来ない会話ができて新鮮でしたよ」
澤井「中尾さんとプライベートで鬼ごっこできる世界線があるなんて(笑)」
澤井「仕事も忙しく、家庭もある中で、ご自身の趣味やプライベートの時間はどう作られているんですか」
中尾「僕は結構、収録の合間の空き時間とか、仕事終わりにふらっとサウナとか行ってますよ」
澤井「そういえばインスタに『しきじ』(静岡市にある24時間営業のサウナ施設。愛好家の聖地としても知られる)に行かれている写真も見ました! 僕もサウナが大好きでサウナ関連の番組をいくつか担当していた時期があって」
中尾「『しきじ』はすごかったですね。おじさんがびっしり整列している感じで、さすが聖地というだけありました! 近場でも人が少ない夜間に通っていますね。最近はゴルフの打ちっぱなしにハマっているので収録の合間に行ったり、休日は釣りに出かけたり。割と思いついたらすぐ行動するタイプかもしれないです」
澤井「僕の周りでもゴルフ始める人多いですね」
中尾「ちょうど今月、ラウンドデビューしようと友達たちと話してて。もう最近はサウナ、ゴルフ、釣り。完全におっさんですよ(笑)」
澤井「いやいや(笑) ご自身の趣味もちゃんと両立されているのが羨ましいです」
趣味の時間を作るには、妻のご機嫌とりが1番大事!?
中尾「子どもが9歳になると余裕も出来てきて、自分の趣味の時間も作りやすいですよ。ただ1番大事なのが、妻の機嫌をとることです(笑)。どの家庭もそうだと思いますが、例えば釣りに出かけるなら、その数日前から家事を手伝ったり、あらかじめ伝えて調整して。
当日もちゃんと子どもを学校に送った後に出かけて、帰ってきたら一緒に子どもとお風呂に入りました! 自分ばかり満喫するのは良くないので、ちゃんと家庭の空気作りも大事にしています」
澤井「素晴らしすぎる(笑)。今後の参考にします(笑)」
中尾「ただ自分も昔は、子育てとか家庭のことで散々失敗しましたよ。夫婦喧嘩もするし、自分の機嫌で子どもを叱ったり……。子どもが1歳の頃なんか右も左もわからない状態で、ほぼなにもしてなかったですから。今思えば本当に反省してますよ」
澤井「そうおっしゃられると心強いです。先日ウチも家族全員が高熱になってしまって、もう子どもがめちゃくちゃ心配で。子どもが小さいと予期せぬ出来事も起こるのでテンパってばかりです」
中尾「僕の場合は、妻の仕事復帰が早かったので、息子と2人の時間が長かったですね。それこそ子どもが1歳ぐらいの頃は、ミルクを温めて、温度は大丈夫か調べて、ようやく飲まそうとしたら“全然飲まないじゃん”みたいな。本当に大変でしたね。
今でも忘れないのですが、初めて息子と2人でお留守番している時に気を張りつめすぎて、妻が帰ってきた瞬間に高熱が出たんです。それぐらい子育てってしんどいですからね。今では息子も成長し、僕も少しは経験値が上がった気がします(笑)」
澤井「子育ても年齢とともに慣れていくものなのですね……。ご自身で『こういうパパでありたい』と理想像も変わっていくものですか」
中尾「僕の父親がいわゆる昭和感のある怖い人だったんですよね。そのおかげで自分はまともに成長できましたし、父親としてある程度の威厳は必要かなと思ってます。ただ一方で、子どもがなんでも話してくれるような父親でもありたい。普通は親に言いづらいことでも相談してくれるような懐の深い親父になれたらなあと。その理想像に近づくためにどうすれば良いかは、プチブランチで勉強させていただきます!」
澤井「僕もプチブランチを観て学ばせてもらいます(笑)。本日はお忙しい中ありがとうございました!」
中尾「ありがとうございました!」
構成・文/佐藤隼秀 撮影/山田智絵