2022年10月期の連続ドラマが各局で続々とスタートしている中、フジテレビ系では10日から、「月9」枠で『PICU 小児集中治療室』(吉沢亮主演)が、また、24日からは「月10」枠で『エルピス−希望、あるいは災い−』(長澤まさみ主演)が放送を開始する。
フジの“看板枠”である「月9」枠で放送される『PICU』は、そのタイトル通り、難病などで集中治療を必要とする小児患者を専門に治療を行うPICU(小児集中治療室)が舞台の医療ドラマ。主人公の小児科医・志子田武四郎を演じる吉沢のほか、TEAM NACS・安田顕、木村文乃、大竹しのぶなどが出演する。
長澤まさみ、連ドラ主演は4年半ぶり
「同枠で放送された『監察医 朝顔』シリーズの制作陣が手がけるオリジナルドラマで、人気イケメン俳優の吉沢を主演に起用。ほかにも有名どころや実力派の共演者が揃っていることもあり、高視聴率を期待されている注目作です」(テレビ誌ライター)
一方、『エルピス』が放送される「月10」枠は、昨年10月期に新設されたばかりの“期待枠”で、来年1月期には草なぎ剛主演の新ドラマも予定されている。
『エルピス』は、スキャンダルにより失脚したアナウンサー・浅川恵那(長澤)が、若手ディレクター・岸本拓朗(眞栄田郷敦)や報道局のエース記者・斎藤正一(鈴木亮平)とともに、連続殺人事件の真相解明に挑む“社会派エンターテインメント”となっている。
「人気女優の長澤が連ドラ主演を務めるのは4年半ぶりとあって、やはり注目度の高い作品。業界内からは、TBSの“ヒット枠”こと『日曜劇場』枠で10月16日にスタートする『アトムの童』(山崎賢人主演)と競い合うレベルで話題になるのでは……との声も聞こえてきます」(芸能プロ関係者)
ドラマ界の超大物の“鶴の一声”で
ちなみに、今年7月期のゴールデン・プライム帯の連ドラは、各局とも軒並み不調で、全話世帯平均視聴率が2ケタ台に達したのは、それこそ「日曜劇場」枠で放送された『オールドルーキー』(綾野剛主演)の10.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、テレビ朝日系「水曜午後9時」枠の『刑事7人』シーズン8(東山紀之主演)の10.2%のみ。
そのため、10月期の盛り上がりに期待がかかる中、特に“有望”とされる『PICU』と『エルピス』はいずれもフジのドラマということで、局内部の士気も高まっているかと思いきや……。
「2作品とも、他ならぬフジ上層部のダメ出しをなんとか回避し、制作にこぎつけたそうです。実は夏前の人事で、かつてトレンディドラマで名を馳せたプロデューサーが現場復帰。彼の影響で、フジドラマの制作スタッフの士気はダダ下がりなのだとか」(スポーツ紙記者)
そのプロデューサーとは、フジテレビジョン常務取締役のX氏。90年代に『東京ラブストーリー』や『101回目のプロポーズ』、『ひとつ屋根の下』などのヒット作を次々と生み出し、社会現象を作り出した人物だ。
そんな“ドラマ界の超大物”であるX氏は、近年、番組制作や編成から離れていたが、今年6月の人事で編成に復帰し、現場に“口出し”できる立場に戻っていたのだ。
「『PICU』や『エルピス』に限らず、それまでに企画されていた段階の作品に、X氏のダメ出しが入ったそう。同氏の“鶴の一声”で消滅してしまった企画も多数あるといいます」(同・前)
「みな辟易している」
なお、X氏がヒットさせた『東京ラブストーリー』なども「月9」枠のドラマで、当時は“月9=トレンディドラマ”のイメージが浸透。しかしその後、「月9」枠が衰退してしまった時期もあった。
「近年の『月9』枠は、『監察医 朝顔』など医療モノを中心とした職業系ドラマ枠に移行したことで、息を吹き返した印象。ただ、X氏は“こういう作品はいらない”“職業ドラマばかりやってないで、もっと恋愛ドラマを増やすべき”という考えのようで、『PICU』も一時は企画消滅の危機に追い込まれていたみたいです。また、『エルピス』にしても“せっかく長澤まさみが出るのだから、こんな地味な内容にするな!”と、まったくお気に召さない様子だったそうです」(前出・ライター)
こうしたことが続出しているため、現職のプロデューサー陣は「みな辟易している」(同・前)という。
「昔のX氏はたしかに偉大だったと思いますが、その感覚が今に通用するか、どうかは別の話。例えば、90年代に人気があったフジの料理バラエティ『料理の鉄人』が、12年10月に『アイアンシェフ』として復活したのですが、同番組はX氏の肝いりでスタートしたものでした。しかし視聴率は振るわず、わずか半年後の13年3月には放送を終了しています」(前出・スポーツ記者)
バラエティとドラマはまた違うとはいえ、どちらの現場スタッフも、上層部の介入には思うところがありそうだ。