10月16日スタートの『アトムの童』(TBS系)は、ゲーム業界を舞台にしたドラマ。山崎賢人(28)は日曜劇場初主演でドラマへの期待が高まっていたが……。
「香川照之さん(56)が性加害報道を受けて降板。山崎さんが演じる天才ゲームクリエイターの前に立ちはだかるラスボスとして出演するはずでしたが、オダギリジョーさん(46)が代役を務めることに」(テレビ誌ライター)
ラスボス俳優ランキング
『半沢直樹』(TBS系)や『六本木クラス』(テレビ朝日系)などで悪役には定評のある香川が出ないのは痛手になりそうだが、テレビ評論家の吉田潮氏の考えは違う。
「オダギリさんが代役になったことで、むしろ楽しみです。“日本の昭和のおじさん”というわかりやすいキャラだった香川さんと違い、オダギリさんは権力とか権威にはこだわりがなくて、常識も社会性もありそうですよね。実はそのほうが厄介だったりする。新鮮味のあるラスボスになると思いますよ」
香川のテレビ復帰はしばらくなさそうで、空席となったラスボス枠の争奪戦が始まるはず。そこで新たな悪役俳優として期待されるのは誰なのか。20~60代の男女1000人にアンケートを実施!
1位 竹中直人(66)104票
「何でもこなす演技派で、迫力もありそう」(54歳女性)
演技力は折り紙付き。凄みのある演技や迫力を挙げる声が多かったが、ミステリアスなイメージも追い風に。
「独特なたたずまいで、ラスボスにも合いそうなので」(58歳女性)
相葉雅紀主演の『ようこそ、わが家へ』(フジテレビ系)で見せたクセの強い悪役や、組員を理不尽に叱りつける『極主夫道』(日本テレビ系)のヤクザ役が強い印象を残したようだ。
「竹中さんの魅力は“顔の迫力”。凄みが出るという意味で“ポスト香川”に値すると判断したんでしょうね。一方でコメディアンの印象も強く、“つかみどころがない”というイメージにつながっているのでしょう」(吉田氏)
2位 吉田鋼太郎(63)87票
貫禄がある、重厚感があるという指摘もあれば、逆のイメージを持つ人も。
「声がよくてスマートなカッコよさがある。すてきなラスボスになりそう!」(44歳女性)
ダンディーな悪役ということでは一番かも。
「いい人のふりをして、実は悪いという役が似合っている」(37歳女性)
「三枚目で、ユーモアのある演技もできそうだから」(54歳女性)
舞台経験も豊富な俳優なので、裏表のある人物造形はお手の物だろう。
「吉田さんはずっと悪役ばかりやっていたんですよ。'13年にフジテレビ系で放送された『カラマーゾフの兄弟』では底意地の悪い父親を演じていました。そこからテレビ朝日系の『おっさんずラブ』のブレイクで“かわいいおじさん”にシフトしたんです。
視聴者が求める重厚感や貫禄はたしかに持ち合わせていますが、わざわざ悪役に戻る必要もないかと思います」(吉田氏)
3位 市川猿之助(46)67票
「『半沢直樹』の第2シリーズでの“詫びろ~、詫びろ~、詫びろ~”8連発シーンのイメージから、ポスト香川照之は猿之助が一番相応しいでしょう」(57歳男性)
香川と同じ歌舞伎役者ということも好材料に。
「歌舞伎役者の押し出しの強さがあり、上品でいて下世話な感じが悪役的」(65歳男性)
歌舞伎でもドラマでも、クセのある役どころが多い。
「猿之助さんは亀治郎時代からすでに気持ちの悪い悪役をやっていました。迫力や貫禄だけでない、薄気味悪さも持ち合わせているんですよ。悪役のオファーはこれからも来ると思います。ポスト香川の一番手と言ってもいいと思いますね」(吉田氏)
4位 遠藤憲一(61)64票
多かったのは、「顔にコワモテ感がある」「いかつい」というコメント。圧倒的な“顔面力”が支持されている。
「顔がいかつくて迫力がある」(40歳女性)
「顔に凄みがあり、悪役に向いてそう」(50歳女性)
眼力とコワモテの風貌で40代までは悪役として引っ張りだこだった。
「北野武監督の『その男、凶暴につき』にも出演してコワモテのイメージが定着しました。'09年にテレビ東京系の『湯けむりスナイパー』で連ドラ初主演を果たしてイメチェン。コミカルな演技や人情味のある役もこなすようになり、仕事の幅が広がっています」(前出・テレビ誌ライター)
'20年に『竜の道 二つの顔の復讐者』(フジテレビ系)で久々に本格的な悪役を演じると、昔のエンケンを知らない若い人の間では戸惑いの声も。
5位 古田新太(56)60票
「いかつい顔が見る人を圧倒するし、にらまれたらかなりの迫力がある」(67歳男性)
やはりこちらも“顔面力”が支持を集めた理由らしい。
「朝ドラでは『あまちゃん』で芸能プロデューサーの“ふとまき”こと荒牧太一、『とと姉ちゃん』では主人公と対立する電化製品メーカー社長の赤羽根憲宗を演じました。『半沢直樹』の東京中央銀行副頭取・三笠洋一郎は、“中ボス”的な役柄でしたね」(前出・テレビ誌ライター)
「破天荒な役者のイメージ」(67歳女性)
「不気味でほかとは違う雰囲気を出しそう」(60歳女性)
えたいの知れなさが悪役に向いているのかも。
6位 唐沢寿明(59)51票
もともとはさわやかなトレンディー俳優だったが、『白い巨塔』(フジテレビ系)の冷酷な財前教授を演じたことで悪役イメージが定着した。一見優しそうだけど実は怖い、という意見が多数。
「昔からいる俳優さんで人気が高く、爽やかなのにボスのイメージがあるから」(45歳女性)
トレンディー路線から、“ラスボス”へイメチェンもできそう?
「ランキングで、唐沢さん以外は個性派じゃないですか。二枚目でトレンディー系って基本的にいい人の役しかやらないんです。だから唐沢さんの悪役って、新鮮でいいと思います」(吉田氏)
7位 小日向文世(68)44票
「演技派で、ニコニコしながら腹黒い役もこなすから」(38歳女性)
映画『アウトレイジ ビヨンド』では、裏で暴力団とつながる悪徳刑事役だった。『コンフィデンスマンJP』のリチャードでは、ジェントルマンを装った詐欺師を演じた。
「微笑んでいるような顔で人がよさそうにも見えるし、裏があるようにも見える」(57歳女性)
「無の表情がうまいので、冷徹なラスボスが似合うと思う」(54歳女性)
卓越した演技力と人当たりのよさで、ソフトな悪役像を見せてくれる。
8位 柄本明(73)42票
日本を代表する演技派俳優だけに、悪役としても存在感がある。
「悪徳政治家のイメージにピッタリ」(60歳男性)
『半沢直樹』での豪腕幹事長・箕部啓治の怪演が記憶に新しい。
「土下座のやり方をわざとゆっくり説明し“さ、やってみなさい”と穏やかに促したかと思えば“こわっぱーっ、はよやれええっ!”と怒声を浴びせる。緩急自在の脅しが、いかにも悪い政治家という感じで、恐怖を感じさせましたね」(前出・テレビ誌ライター)
9位タイ 佐野史郎(67)34票
ドラマ『ずっとあなたが好きだった』(TBS系)の強烈なマザコンキャラが、いまだ尾を引いているらしい。
「冬彦さんのイメージが強いから」(34歳女性)
「狂気の演技がずば抜けている」(50歳男性)
30年前のドラマだし、悪役とはちょっと違うような……。
9位タイ 高嶋政伸(55)34票
「昔は好青年の役のイメージが強かったが、今はアクの強い役や一癖ある役も演じていて、思いもよらないラスボスが期待できる」(52歳男性)
「最近悪役をやっているとこしか見ないし、似合ってるから」(44歳女性)
『TWO WEEKS』(フジテレビ系)では人殺しの悪徳実業家を演じていた。以前より悪人役が増えているのは確かだが、私生活でのゴタゴタがイメージの変化に影響している可能性も。
ランキングベスト10にはいずれ劣らぬ名優が並んだが、この中で最も“ポスト香川”に近いのは誰なのか。改めて吉田氏に聞いてみた。
「すでに悪役をやっている人たちが多い印象なので、竹中さんや吉田さんには、新鮮味がない気がしますね。5位までは、みなさん悪役からスタートしているんですよ。キャリアを経ていい人の役に転向したのに、またわざわざ悪役をやるのか疑問です」
ラスボスには大きく分けて2種類あるのだという。
「極道のラスボスか、企業モノのラスボスか。前者は法律などにはとらわれず、後者は経済犯罪はするけれども人殺しや窃盗はしない。香川さんがやってきた役は後者ですね。企業のお偉いさんで、利己的で傲慢。そんな役柄は40代50代の役者だったら誰でもできます。話題になるためには、決めゼリフやわかりやすい見せ場が重要になるのでは」
オダギリは香川より10歳若く、世代交代の期待も。
「若手では、菅田将暉さん(29)や山田孝之さん(38)は将来的に期待できますね。現時点でも確実な演技力を持っていますし、20年後はいいラスボスになりそうです」
悪役が魅力的なのは、あくまで演技上でのこと。ランクインした俳優のみなさん、私生活では品行方正に!