乾燥が進む秋。シワやくすみなど肌ダメージが一気に進む!「高価な化粧品やエステより日々のケアがいちばん肝心」と口をそろえるのは、若見え女医4人。自宅でタダで、気づいたときにできるお手軽ケアを披露してくれた。
Tゾーン洗顔と簡単エクサでしっとり&たるみのない肌に!
■美女医〈1〉桐生有紀先生
「美容に時間もお金もかけたくないという気持ち、よくわかります。私もずぼらタイプです」と笑う桐生有紀先生。
肌のすすぎ、洗いは最小限におさえる
桐生先生が美容で心がけているのは日焼けをしない、肌をこすらない、乾燥させないの3つ。洗顔法はとてもシンプルだ。
「顔全体は水で軽く洗う程度に。Tゾーンだけ、泡のベビーソープでしっかりと洗います。簡単ですが、肌の水分量をはかると、このくらいでちょうどいい。朝晩と10年以上続けてきて、この洗顔法で私のケアは間違いないと思っています」(桐生先生、以下同)
しっかり洗うことよりも、洗いすぎないことが大事。
「顔を洗い終わったら、20分以内に保湿します。まず顔全体にローションをおさえ込むように塗って、目元から頬、口角にかけてワセリンかクリームを塗って終わりです」
摩擦は、肌たるみ、シワ、シミにつながるとのことで、マッサージなどはいっさいしないといった徹底ぶり。
マスクの下でこっそり老け顔ケア
新型コロナ感染症でマスク生活も長くなり、口元にシワが寄った、口角が下がった、フェイスラインが崩れてきたという声が多く上がっている。「顔老化」が進んでいるのだ。特にほうれい線を気にする人が増えている。
「ほうれい線対策、シェイプアップ対策には今回紹介するペットボトルを使ったエクササイズが有効です。簡単なように見えて、かなり運動感があります。うれしいことに自然と腹筋も締まってくびれ効果もあるんです」
最初はペコペコと空のペットボトルをくわえて吸って吐いてを繰り返す。慣れてきたらペットボトルに水を100ml入れて、唇だけで10秒間持ち上げる。これもできるようになったら、水の量を増やしていく。500mlの水入りボトルを持ち上げられるようになれば、小顔効果も表れるはずだ。
「さらに、私がマスクの下でこっそりやっているのが、ベロ回し。舌で歯の表面を舐めまわすようにグルグルと1周したら、今度は反対回しをして、10~20周行います。顔の表情筋も鍛えられるのでおすすめです」
マスク生活で、たるんだ老け顔になったと気にするなら、家にある空のペットボトルと、マスク下のエクササイズで、若見え小顔をかなえよう!
小顔になる!ペットボトルペコペコエクサ
頬は筋力不足になると重力に負けて下がってしまう。これがほうれい線やフェイスラインの崩れの原因。「口輪筋」のエクササイズで、たるみ解消、小顔効果もばっちり。
【ペットボトルペコペコエクサ】
(1)ペットボトルをしっかりくわえる
背筋を伸ばして、空のペットボトル(500ml)を唇だけでくわえ、お尻を締める。
(2)しっかり吸う
思い切り頬をへこませながら、ボトルがつぶれるくらい、中の空気を吸い込む。
(3)思いっ切り吐く
息をしっかり吐き返し、つぶれたボトルをふくらませる。1日に何回行ってもOK。
勝どき駅前皮ふ科クリニック院長。専門は形成外科・美容外科。皮膚のトラブルやアンチエイジングなど、ささいなことでも相談にのってもらえるクリニックとして知られる。老若男女が内側と外側の両方からきれいになるための診療を行っている。
血流改善が美の近道!頭皮と顔を温めてなめらかな肌に
■美女医〈2〉馬渕知子先生
「肌の老化を防ぐには、血液の流れをよくして肌の細胞に十分な酸素や水分を送り、新陳代謝を上げることが大切。私は血流をよくする生活を心がけています」と、アンチエイジング医療が専門である馬渕知子先生。
血流をよくして肌に酸素を送る
血管の、温めると伸び冷やすと縮む性質を利用し、身体を温めたり冷やしたりすると、血の巡りががぜんよくなる。
「私も入浴時に、手足に冷水、温水を交互にかけたり、ホットタオルで目元や顔を温めたりしています。とても簡単ですが、これで細胞のターンオーバーが進みます」(馬渕先生、以下同)
そして最近注目しているのが「ヒートショックプロテイン入浴」だ。「週に2回ほど、通常よりも熱めの40~42度のお湯につかることで、自己回復力が高まり、免疫力アップやダメージを受けた細胞を修復する働きなどが現れます」
馬渕先生の実践する手軽な食事法も紹介したい。それは「ゆで卵」を朝食やおやつ代わりに食べること。
「卵は肌の組成に必要なタンパク源であり、美肌の源。私は仕事場にゆで卵を持参して小腹がすいたら食べるようにしています。お手軽なのでぜひ取り入れてみて」
★内側から美しく!〈3大おすすめ栄養素〉★
(1)タンパク質
多く含まれるのは乳製品・卵・肉・魚・大豆類。コラーゲンは魚の皮に多く含まれているので、皮まで食べること。シラスやシシャモならとりやすいので、おすすめ。
(2)亜鉛
肌の新陳代謝を活発にして肌のターンオーバーをサポート。気軽にとれるのはナッツ類で松の実やカシューナッツ、アーモンドなど。おやつにミックスナッツで補給して。
(3)鉄分
不足すると貧血になり、シミが増えたり、肌のハリが失われる。赤身の肉や緑黄色野菜を積極的にとろう。小松菜やホウレン草にポン酢をかけて食べると効率よく吸収できる。
肌が乾燥していると高級クリームも無駄に
さらに“年齢的にそろそろ高級クリームに頼らざるをえないかも”と思っているなら、その購入ちょっと待って。
「高価な化粧品やクリームを、もったいないと少しずつ使うより、安くても肌にあった化粧水をたっぷり使うほうがおすすめ。洗顔後に化粧水をつけて、乾いてきたら、またつけてを繰り返して」
と、自らもプチプラ化粧水を愛用しているという馬渕先生。化粧水が十分に肌にしみ込んでから、少量の乳液かクリームでふたをするのが鉄則。
「最初の化粧水が不足していると、クリームは肌に吸収されにくく、高機能のクリームであっても結局は無駄になってしまいます」
年齢にかかわらず、化粧品は質より量。秋冬の肌の乾燥対策は、化粧水から始まると覚えておこう。
顔も身体も〈血流改善メソッド〉
肌の細胞を活性させるには酸素が必要であり、小ジワやクマ、シミなどの肌トラブルは血流の悪さが原因。全身の血流をよくするために、まずはトライを。
★日常に取り入れたい!血流改善メソッド★
(1)朝シャワーで頭皮刺激
寝起きは、ずっと外気に当たっている首から上は冷えている。朝は頭から熱めのシャワーを浴びて頭皮マッサージを2分行う。
(2)朝晩のホットタオル
タオルをレンチンして、目や首すじを30秒~1分温める。くまの解消にも効果的。
(3)毛細血管まで刺激を
湯船のお湯と、シャワーの水を交互に数回かけると、血の巡りがよくなる。
マブチメディカルクリニック院長、食糧学院副学院長。東京調理製菓専門学校校長。専門は分子栄養学やアンチエイジング医療だが、多面的な知識を応用し、アイドルグループをはじめスポーツ選手まで、幅広い分野でサポートを行っている。
「ながら」で鍛えて、たるみを解消!
■美女医〈3〉白石美緒先生
あのマツコ・デラックスが『マツコ会議』(日本テレビ系)で「もう一度会いたい」と指名した女医で、『ミセスSDGs2021』のファイナリストとして、その美貌と存在感で注目されている白石美緒先生。
膝を伸ばして、歩き姿もカッコよく
そんな白石先生が、若見えのため日頃いちばん気をつけているのが「姿勢と、カッコよく歩くこと」だと言う。確かに立ち姿、歩く姿で若く見えたり老けて見えたりするので、体形だけでなく気をつけたいポイント。
「きれいに見せるだけでなく、まっすぐに立つ、膝を伸ばして歩くだけでも立派なエクササイズで、小さな積み重ねが体形維持には大切です」(白石先生、以下同)
ジムに通って、しっかり時間をとって筋トレやストレッチをするのは面倒なので、もっぱら「ながらエクサ」を実践しているそう。
「テレビを見ながら。歯を磨きながら。ドライヤーをかけながら。いつでもできますから。イスを使うと、身体が安定して、太ももや腕に負荷がかけられるので、仕事中や家でもよく行っています」
回数は15回程度。無理せずに、10日、1か月、1年と、積み重ねの効果を狙って。
立ち姿も美しくなるイスエクササイズ
テレビを見ながらでもできる体幹を鍛えるスクワットで姿勢美人に。仕事の合間には逆腕立て伏せで広背筋(背中)と上腕三頭筋(二の腕)を鍛えて後ろ姿に自信を。毎日コツコツ続けることが大切。
イスエクサ〈1〉【ブルガリアンスクワット】
片脚をイスにのせ、太ももが伸びていることを感じながら膝を曲げてスクワット。片脚25回ずつ左右行う。
イスエクサ〈2〉【逆腕立て伏せ】
(1)イスに浅く座った状態から、イスに手をつきお尻を前方に移動させ、空間で身体を保持。片脚を上げる。
(2)背骨を真っすぐに保ちながら、両肘を曲げる。上げる脚をかえて15回繰り返す。
暖房はつけない。部屋でもダウンを着用
「私の顔をよく見て」と言う白石先生を、まじまじ見てびっくり。シミどころかほくろもない。
「幼少期から学校に行くとき、母に日焼け止めクリームを塗られていたんです。子どもだったし、白くなるからイヤだったんだけど、今は親に感謝してます」
紫外線対策だけでなく、乾燥対策も徹底している。
「冬でも暖房をつけず、部屋の中でもダウンジャケットやフリースを着ています。犬を飼うようになってから、室温を17度くらいにしていますが、空気がより乾燥するのでなるべく暖房は使わないような生活をしています」
そして“これこそ0円美容法”として話してくれたのが「一緒にいるときは常に、夫に褒めてもらう」とのこと。
「夫はラテン系の人なので、きれいだとか、素晴らしいとか、言い続けてくれて……(笑)。確実に効果を実感しています」
褒められると、幸せホルモンのセロトニン、ドーパミン、オキシトシンという脳内物質が分泌され、美容にもよい影響が。褒められれば褒められるほどきれいになるという。どんなに高級な化粧品よりも、褒められ効果に勝るものはないと白石先生。とはいえ、パートナーに強要もできないので、まずは自分で自分を褒めてみよう!
東京皮膚科形成外科の他、エレナクリニックをメインに、AZACLIなど、都内の複数の美容クリニック勤務。専門は美容外科、整形外科、麻酔科、ペインクリニック。20年前から患者として美容クリニックに通い始め、自分が試してよいと思う治療を提案している。
「何も使わない」湯シャン&肌断食で究極の0円美容
■美女医〈4〉山口麻子先生
50代にしてしっかりとしたボリューム、黒く艶のある健康な髪をしている山口麻子先生。その洗髪法は「湯シャン」。もう10年以上シャンプーを使わず、お湯だけで髪を洗っている。
黒髪を保てば面倒な白髪染めも必要なし
「中高年の女性たちは髪が細くハリがない、薄くなったという悩みを抱えています。シャンプーに含まれる界面活性剤を髪に擦り込むのはよくないと、湯シャンにかえたところ、毛が明らかに太くなり今でも白髪染めはしていません」(山口先生、以下同)
しかし、べたつきやにおい、かゆみは気にならないのか。
「髪のべたつきはシャンプーの刺激で皮脂が過剰に出るからです。頭皮のにおいは皮脂が酸化したもので、皮脂が減れば気にならないし、かゆみも感じません」
皮脂は湯シャンにしたらすぐに減るわけではなく徐々に整う。髪がべたつきにくい秋から冬にかけて湯シャンを始めてみるのが最適で、まさに今が理想的! 高いシャンプーもリンスも必要なくなる! 健康な髪になって、面倒でお金もかかることをしなくてすむなら、こんなうれしいことはない。
髪も黒く太く!湯シャンメソッド
シャンプーの洗浄力はお風呂用洗剤に匹敵するほど強力。毛穴を傷めるシャンプーと決別すれば、「毛が太くなり、艶が出て、抜け毛が減り、元気な髪になります」と山口先生。
★元気な髪を育てる!湯シャンメソッド★
(1)シャンプー、リンスは使わず洗髪
ブラッシングを100回以上してから、お湯だけで頭皮からしっかり洗髪する。
(2)背泳ぎ状態で髪をほぐす
セミロング以上なら、湯船に髪をひたしてもみ洗いをすると汚れがよく落ちる。
ファンデに頼らない素肌をつくる
シャンプーを使わない山口先生は、ファンデーションも使わないし、化粧水やクリームも使わない。しかし、完全なスッピンには抵抗を感じるし、基礎化粧をやめれば老化が促進しそう。まねをするのは、ちょっとハードルが高い。
「まずリキッドファンデーションをやめて、クレンジング剤なしでも落ちるパウダーファンデーションにかえてみてはいかがでしょう。毛穴の開きや肌の赤みが改善されます」
ポイントは純石けん(成分表示に「脂肪酸ナトリウム」や「脂肪酸カリウム」と書かれている)で落とせるファンデを選ぶこと。そうすれば洗顔で洗いすぎて、肌にダメージを与えることがなくなる。外出するときには日焼け止めを塗るが、これは水で落とせるものを選んでいるそう。
「私は洗顔後も化粧品を使いません。肌が本来持っている保湿成分を落とさなければ、肌はおのずとうるおいます。顔に乾燥を感じて何か塗らずにいられないのは、肌が傷んでいるからです。これもかれこれ10年以上続けていますが、肌トラブルはほとんどありません」
お金もかけずに美肌になるならぜひ試してみたいもの。何もつけずに肌を美しくするコスメファスティング(肌断食)に挑戦し続けている山口先生のスッピン肌を、私たちも目指したい。
コスメファスティングでわかるセルフ肌診断
肌本来の保湿力を確かめるため、まずは3日間試してみて。肌に相当なつっぱりを感じるならダメージ肌のサインです。
(1)化粧品は石けんで落とせるものを選ぶ
リキッドファンデはやめる。クレンジング剤なしで落とせるパウダーファンデにする。
(2)洗顔料も無添加石けんで
洗顔は、純石けんで20秒以内、すすぎを含めて1分以内が目安。
(3)肌がつっぱらなければそのまま
洗顔後にカサつくなら、小豆2分の1個分のワセリンを手のひらでのばして、押しづけをする。
これだけ塗っていればOK!ワセリン選びポイント
どうしても肌のつっぱりや乾燥を感じるならワセリン1点だけ投入を。その際、純度が高く透明なものを選んで。おすすめは「サンホワイトP-1」。値段も1000円前後と超プチプラ。
白金ビューティフルエイジングクリニック院長。ファンデーションに頼らない素肌づくりを提唱し、自らもファンデーションやシャンプーを使わない美容法を実践中。素肌でいられる快適さと幸せを届ける「素肌ルネサンス」YouTubeにて好評配信中。
取材・文/水口陽子 イラスト/赤松かおり