奥村啓志容疑者の自宅マンション

 

「怖いっ! そんな凶暴な人が同じところに住んでいたなんて……」

 容疑者の同じマンションの女性住民は恐怖で一瞬、震えあがった。

 警視庁は4日、東京都墨田区の会社員・奥村啓志(ひろゆき)容疑者(33)が、男性(当時33)に熱湯をかけて重症を負わせたとして、傷害の疑いで逮捕した。

「奥村容疑者は8月27日の午前4時から午後2時ごろにかけて、都内港区のホテルの浴室で、男性を四つんばいの格好にさせて、備え付けの電気ケトルの熱湯を服の上から十数回にわたってかけた。顔の皮膚が剥がれるなど全治3か月ほどの治療を要する状態だったようです」(全国紙社会部記者)

 男性は午後2時ごろホテルを出たあと、意識朦朧とした状態で6時間後にJR川崎駅に到着。翌日の午前2時ごろ駅構内のベンチで仰向けになっているところを警備員に発見されて、病院に搬送された。以降、6日間にわたって集中治療室で治療を施されて、ようやく一命をとりとめた。

 容疑者はいったいなぜ卑劣極まりない行為をしたのかーー。

「男性はかつて容疑者と同じ大学院に通っていて、先輩後輩の関係だった。3か月前、男性は容疑者に仕事上のトラブルを相談。容疑者はその後、“トラブル解決のため、反社から200万円を借りて立て替えた”とウソをついて、男性に金を要求していたようです。そのほか250万円も騙しとった恐喝の疑いもあります。事件当日も“借金の支払いが足りないから”といって男性をホテルに呼び出していたのです」(同・社会部記者)

 警察の取り調べに対して、奥村容疑者は容疑を素直に認めているという。

 容疑者は三菱UFJ銀行の子会社である『三菱UFJインフォメーションテクノロジー』の社員だった。同社の広報担当者は、

「中途採用で、2020年10月から弊社に勤務していました。人材育成の部署に所属していて、主に社員研修の運営を担当していた。特段、問題のない勤務態度の社員だったんですけど……」

 と口ごもった。

 この事件については“特に業務とは関係のない個人的な事件”としながらも、

「社会的な影響がある問題ですので、10月4日付けで懲戒解雇処分としました」(同・広報担当者)

 奥村容疑者が住んでいたのは、墨田区にある8階建てマンション。1LDKで家賃は月11万円ほどだが、築40年のため、周囲の相場よりは比較的安めだ。

 冒頭の住民女性によると、

「身長170センチほどで、少しふっくらしていて、眼鏡をかけていました。いつも黒い自転車を乗っていた」

会社に行く時もラフな格好で…

 覚えていることはその程度で、印象は薄かったという。別の住民男性は3、4年前から毎朝8時ごろ見かけていた。

「この人(容疑者)が会社に出かけるときかな。でも、スーツ姿ではなくて、ラフな格好だったよ。こちらが“おはよう”と声をかけると、“おはようございます”と挨拶を返してくれていたね。でもその程度で、世間話や立ち話をする間柄ではなかった。しかし、こんな酷いことをする人間には見えなかった。おとなしい感じだったんだけどね……」

 このマンションの間取りは単身者には少し広いため、家族で住んでいる人が多いようだが、

「彼(容疑者)が誰かと一緒いることは一度も目にしたことがない。一人暮らしだったんじゃないかなぁ」(同・住民男性)

 至って普通の人間だった容疑者がなぜここまで残忍になれたのか。犯行理由については、今後の捜査で明らかになっていくことだろう。

奥村啓志容疑者の自宅マンション。玄関は不気味なほど殺風景だ
奥村啓志容疑者の自宅マンション

 

 

 

 

奥村啓志容疑者が使用していた自転車
奥村啓志容疑者の勤務先『三菱UFJインフォメーションテクノロジー』