11月30日に椎名林檎初のリミックスアルバム『百薬の長』がリリース予定だ。
「石野卓球さんや岡村靖幸さん、STUTSさんなど、人気アーティスト総勢12組が参加する作品です。通常版と、特典がついた限定版の2種類が発売されます」(音楽ライター)
しかし、限定版に付属する特典グッズへの批判の声が相次いでいる。
グッズが命取りに…!?
「アクリルカードケース、マスクとマスクケースのセット、巾着ポーチがついています。そのうち、アクリルカードケースが“ヘルプマーク”に酷似していること、マスクケースに“赤十字マーク”のような柄があることが問題になっているのです」(同・音楽ライター)
ヘルプマークとは、'12年に東京都独自の取り組みとして始まり、現在では全国の自治体に広まったものだ。東京都福祉保健局のサイトでは、次のように説明されている。
《義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう、作成したマークです》
不特定多数の人々が似たマークのグッズを身に着けることで、本来助けを必要とするときにそれが伝わらない恐れがある。実際にヘルプマークを着用している人からも、厳しい意見が飛んでいる。
「ヘルプマークがヘルプマークとして機能しないのは僕たち支援を必要とする人にとって命取りです」
「ヘルプマーク自体やっと浸透してきたかきていないかというところなのに、こういう物を出されると、ただのアクセサリー扱いを助長します。ヘルプマーク使用者(僕もです)は本当に配慮を必要としているんです。これは販売しないで」
では、赤十字マークとはどんなものなのか。日本赤十字社に聞いてみた。
赤十字標章(赤十字マーク)の役割
「白系統の背景に、赤系統の十字が描かれた『赤十字標章(赤十字マーク)』は本来、戦争や紛争などで傷ついた人々とその人たちを救護する軍の衛生部隊や赤十字の救護員・施設等を識別するためのマークです。
紛争地域等でこの赤十字標章を掲げている病院や救護員などには絶対に攻撃を加えてはならないと、国際的な取り決め(ジュネーブ条約)によって厳格に定められております。
また、『赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律』につきましても名称等や使用に関して規定がございます」(日本赤十字社広報室)
日本赤十字社の『赤十字標章パンフレット』でその規定を確認すると、赤十字マークは赤十字社と自衛隊の衛生部隊など、法律に基づいて認められている組織だけが使用できる。そのため、一般の病院や商品等に付けることは法律等により禁止されている。
世の中でよく見られる間違ったマークの使用例としては、《市販のTシャツ、トレーナー、バッグ等》《会社の社章、商品のブランドマーク等》といったものがある。
また、『赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律施行上留意事項の件』において、赤色系統の十字及び白色系統の背景はすべて“類似”としてみなされることも定められており、今回の特典グッズもそれに該当するが…。
「この度のグッズ制作にあたり、事前にレコード会社から弊社あてのご連絡やご相談はいただいておりませんでした。
本件につきまして、現在、レコード会社からご連絡をいただき、対応について協議されていると伺っております」(日本赤十字社広報室)と、やはり椎名サイドは赤十字マークの違和感に気付く者はいなかったようだ。
「日本赤十字社では法律で赤十字標章の使用許可を受けている一組織として、標章の本来の意味をお伝えし、ご理解いただく活動を行っております。みなさまには、今後も赤十字標章について適切にご理解いただきますよう、お願い申し上げます」(日本赤十字社広報室)
騒動後、レコード会社は
「11月30日(水)発売予定の椎名林檎のオフィシャル・リミックスアルバム 『百薬の長』【UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤】に付属する特典グッズに関しまして、多くの方々からご意見を頂戴しました。
そちらを踏まえ、ただいま発売元のユニバーサル・ミュージックが対応について協議をしております。改めてご案内させていただきますので、いましばらくお待ちいただきますよう、よろしくお願いいたします。」
と、コメントを発表している。いったいどのような結末を迎えるのか――。