「あれは、自分自身に向けて言うようなつもりで、大きな声を絞り出しました」
ダークヒーローに共感「僕にも負の部分ある」
11月6日から始まる音楽劇『歌妖曲〜中川大志之丞変化〜』に主演する中川大志。製作発表時、「頑張ります!!」と、目いっぱい気合の入った声で最後を締めた際の心境をこう振り返る。
今回が本格的な舞台に初挑戦となる中川。物語は、昭和歌謡界が舞台だ。芸能界に君臨する「鳴尾一族」の末っ子で、醜い風貌のため存在を闇に葬られていた鳴尾定(中川)。彼は闇医者の施術により絶世の美男子・桜木輝彦(中川)に変身を遂げ、瞬く間にスターダムに駆け上がる。そして、一族への復讐を始めるが……。
モチーフは、シェークスピア屈指の名作にして演劇史上もっとも有名なダークヒーローを描いた『リチャード三世』。桜木輝彦も同様にダークでヒールな主人公だが、中川はどんなところに魅力を感じているのだろう?
「怒りや悲しみ、憎しみという負の感情って、ものすごくエネルギーとして強いものだなと思って。それが、光を浴びているときの桜木のエネルギーになっている気がします。光と闇のコントラストがすごく強いのが魅力かなと。人は誰でも闇の部分を持っていると思うので、ダークヒーローだけど共感できるところもいろいろあると思います」
そして、明るく好青年なイメージが強い中川だが、
「僕にも、もちろん負の部分はありますよ」
とニヤリ。
もし生まれ変わるなら、何になりたい?
「自分の家で飼っている犬。2匹いて、3歳と1歳のフレンチブルドッグ。どっちも女の子で、親子なので仲良しです。
どんなふうに世界を見ているのかなとか、僕が仕事に行っている間は何をしているのかな、どういう気持ちで過ごしているのかなとか、そういうことが知りたいなと思いました」
作品にも使える、とレコードプレーヤーを購入
桜木輝彦による唄と殺しの華麗なるショーが繰り広げられる今作。11月6日には、桜木輝彦名義でレコードもリリースされる。1年半前からボイストレーニングに通い、準備を進めていた中川。音楽は昔から好きだったそう。
「ジャンルを問わず、音楽は何でも好きです。もちろん最近の音楽も聴きますが、両親の影響もあって昔の楽曲も好きなので、昭和歌謡にもなじみがあります。山口百恵さんとか新御三家(郷ひろみ、故・西城秀樹さん、野口五郎)とか。以前は、カラオケでも歌っていました」
また最近、レコードプレーヤーを買ったそう。
「この作品のためとかではなく、もともと欲しかったので買ったんですけど。劇中で歌う楽曲が、昭和の時代のメロディーラインや雰囲気をもとに作られているので、インスピレーションのためにレコードで聴いたりしています」
レコードをかける作業も楽しいと言う。
「レコードを出して、セットして、針を落とすという作業をやったことがなかったので、それ自体がすごく新鮮で。手間がかかるのが逆に愛おしくて楽しいんです。“うわ、音が出た!!”って、それだけで感動できる、みたいな(笑)」
公演は東京、福岡、大阪の順に、12月25日まで続く長丁場。
「この作品のために、トレーニングを増やしました。体力をつけるためというのもあるんですけど、鳴尾は身体を使って表現する役どころ。そういった面も想定しながら、身体が耐えられるように筋力トレーニングや体力トレーニングを行っています。
ただ、身体的なトレーニングはいくらでもできるんですけど、生の舞台をこれだけの公演数やるのは初めてなので。2〜3時間の作品を長期間演じ続けるための、精神的な集中力や脳の体力の重要性も感じています。頑張らないと!!」
地方滞在での必需品を尋ねると、「枕ですかね」と回答。
家のマットレスごと持っていきたい(笑)
「1〜2泊くらいの短期間だと持っていかないんですけど、1週間くらい滞在するときは持っていってます。頭がちゃんと支えられるような、硬い枕が好き。ホテルによって、全然違うんですよね。睡眠がすごく大事になってくると思うので、今回も持っていくつもりです。本当は、家のマットレスごと持っていきたいくらいなんですけど(笑)」
福岡、大阪公演は12月。
「寒くなってくるので、福岡でもつ鍋が食べられたらいいなあ。まだまだ大変なご時世なので、なかなか難しいですけど」
オフのときによくやっているのは、キックボクシング。
「始めてから3〜4年くらいになります。すごく楽しいし、身体を動かしているほうが体調がいいんですよ。動かないと、逆に疲れちゃうというか、身体が重くなってしまうので。週に最低1回は行きたいなと思ってます」
舞台となる昭和歌謡界についてのイメージを、
「僕の世代から見ると、新鮮でエネルギッシュ。ファッションやカルチャーがポップでカラフル」
と語る中川。
「生バンドも入るし、すごくパワーのある作品になると思います。見てくださる方々がタイムスリップできるような、楽しい舞台になるよう頑張ります!!」
11月6〜30日/東京・明治座
12月8〜12日/福岡・キャナルシティ劇場
12月17〜25日/大阪・新歌舞伎座
ヘアメイク/佐鳥麻子(Vitamins) スタイリスト/高橋毅(VIXI) 衣装協力/ジャケット、パンツ(共にis-ness/alpha PR)