世界で唯一、核兵器が使われた被爆国・日本。多くの命が一瞬にして奪われた歴史を持つが、その悲劇が繰り返される可能性が現実味を帯びている。
「ロシアが2月に開始したウクライナ侵攻ですが、いまだ戦争は終結せず、泥沼化しています」(全国紙記者)
ロシアは新たに兵力を投入するため9月21日、予備役兵の動員を発令。同日、ウラジミール・プーチン大統領は、国民に向けたテレビ演説で、
「わが国の領土が脅かされる場合には、ロシアとわが国民を守るため、当然、保有するあらゆる手段を行使する。これは脅しではない」
と、核の使用をほのめかした。プーチンは本当に核兵器を使うのだろうか。
ビーチサンダルが支給される兵士も
ロシア情勢に詳しい、筑波大学の中村逸郎名誉教授は、
「現時点でプーチンが核兵器を使う可能性は51%で、その確度は上昇傾向にあると思っています。五分五分ではなく、デッドラインを越え、危険域に入ってきている」
その背景について、ロシア兵の死傷者は7万5000人を超え、今後は9万人から10万人に達するという推測が出ていることが関連していると話し、さらに続ける。
「多数の死者が出ている状況から、特に母親たちが自分の息子が動員令で連れていかれることを非常に懸念しています。戦線から逃げ出す兵士は、刑務所よりも酷い環境で監禁され、拷問も受ける。こういった情報が国民の知るところとなり、ロシアでは反戦機運が高まっています」(中村教授、以下同)
それだけではない。
「軍服や靴すらもなく、兵士にはビーチサンダルが支給されたという話も聞くほど、物資は不足し、兵士たちは窮地に追い込まれています。それなのに息子や夫、子どもからすれば父親が、命を落とす可能性の高い戦地へと送られており、悲しみは広がり続けている。だからプーチンは、もう兵力は使えないと考え、10月10日にウクライナ全土へ向けて83発のミサイルを撃ち込んだのです」
NATOへの復讐心、核を撃つ場所は
海外メディアによれば、ロシアは弾薬も底をついているとする報道もあるという。
「プーチンがとれる選択肢はどんどん狭まり、戦局を好転させるため、いまは核兵器に頼らざるをえない状況に陥っている」
もし核兵器を使うのであれば、攻撃範囲を局地的に限定できる“戦術核”の使用が考えられるという。
「もともとはウクライナの領土にあった『ザポリージャ原発』をプーチンは国有化しましたが、ウクライナが奪還する動きがあるようなのです。これにより、自国の財産が危機に晒されているというのを大義名分に、プーチンはぶ厚いコンクリートに守られた原子炉を破壊するため“戦術核”を使用する可能性が高まっています。
『北大西洋条約機構(NATO)』の東方拡大をやめなかったNATO加盟30か国に対する復讐心から、核を撃つならば、放射能汚染の被害がポーランド、ハンガリー、ドイツなどに及ぶ風向きのタイミングを考えているはず」
これにより、その影響は私たちにも及ぶという。
「すでにロシアやウクライナからの輸出が多い小麦などの穀物類の価格は上昇していますが、放射能がヨーロッパへ拡散すれば、日本が輸入に頼る資材や食料品はさらに入ってこなくなり、私たちの生活を、より圧迫していくことになるでしょう」
プーチンが、核の発射ボタンを押さないことを願う。