コロナ不況に物価高騰と、気がめいるような時流の一方で、いまひそかに盛り上がっているのが懸賞業界。実はここ数年で、懸賞の件数が増加傾向にあるという。懸賞歴30年の懸賞ライター、「ガバちゃん」こと長場典子さんはその理由をこう分析。
「最近は、小さな企業もSNSを活用していろいろな懸賞企画を実施。スキマ時間を利用して、おうちで楽しめる懸賞にトライする人が増えています」
景気が落ち込む前は海外旅行などの豪華賞品が当たる懸賞も多かったが、近年は日用品や食品が当たる懸賞が主流。生活費の足しにしたいと、新たな懸賞ファンが参入しているのだ。
不安な年金生活も懸賞で黒字に!
なかでも注目したいのが年金生活に備え、懸賞で稼ぐシニアたち。
「懸賞全盛期のバブル時代に、宝石などの高額賞品をたくさん当てたのはいい思い出です。直近ではテレビの懸賞で商品券が当たりました」
そう話すのは、懸賞歴39年のいちごうなぎさん。
「大きな当選品ではなくてもお米や化粧品などが当たると、日用品の出費が抑えられるのでうれしいです」
と、かつては海外旅行を当てまくったみちゃさんも語る。
「懸賞を通じて、友達が増えました。日常的にネットを使うので、時代に取り残される心配がありません」
そう言うみりどらむさんは、63歳でネットを使いこなし、懸賞ブログも綴る。
“アラ還ケーマー”の3人に、懸賞生活の楽しみ方を教えてもらった。
懸賞生活、ここがウホウホ♪
◎ 日用品を買わなくて済む
◎ 物価高騰でも
◎ プチぜいたくができる
◎ 新しい体験ができる
◎ 人とシェアして喜ばれる
◎ 頭を使うからイキイキいられる
case1. Around60の懸賞マニア
レジに並んでいるときも懸賞のチャンス!みりどらむさん(63歳)
初めて応募した懸賞で、スイートルームのペア宿泊券が当たった、みりどらむさん。以来、懸賞に熱中する日々を送っている。
「主にネットの懸賞に応募しています。毎日複数の懸賞サイトを巡回し、一日最低100件は応募するのが日課。ネットへの苦手意識はまったくありません」
スーパーのレジに並んでいるときや、電車に乗っているときなどのスキマ時間は絶好の懸賞タイム。スマホを駆使して気になる懸賞に応募。ただし、手当たり次第というわけではない。
「最近はもっぱら日用品狙い。過去には豪華客船旅や10数万円の高額家電を当てたこともありますが、今は生活に必要なものに絞って応募しています」
どの賞品を選ぶべきかと悩むことなく、時間をムダにしない効率的な懸賞が可能に。これまでお米は10回以上当選、ほかにも各地の名産品やお食事券など、実用的な賞品を次々当ててきた。
「調子がいいときは月10万円分の賞品が当たるときもあります。いまはお風呂掃除を頼める家事代行サービスや、オーダーカーテンを狙っています」
case2. Around60の懸賞マニア
お米や洗剤は買うのではなく“当てるもの”みちゃさん(62歳)
懸賞歴27年のみちゃさん。累計当選額は2868万円!
「得意なのはハガキ応募。懸賞に合わせたデザインのハガキに、さらにスタンプやシールでデコり、毎月100〜300通は出しています」
応募した懸賞は日付や応募方法などすべて記録。傾向分析にも余念がない。その結果、海外旅行や高級ホテルのエステ、レッドカーペット試写会など、日常では味わえない体験を叶えることができた。
「高級牛肉や厳選フルーツなど、普段買えないような豪華食材もゲットしてきました。ぜいたくな食事ができるのも懸賞のおかげです」
過去にはお米と洗剤を当選品でまかない、1年間買わなかった年も。同様にクリスマスケーキも、「買わずに当てるもの」と達人らしく断言。
「ケーマー仲間とは『今年はケーキいくつ当てた?』なんて話もします。ケーキや舞台のチケットは友人とシェアすると、お返しにイベントや食事会に誘ってもらえるので楽しみも2倍に増えます」
どうすれば当選するのか考えたり、過去の当選記録を振り返って応募することで脳トレにもなる、とみちゃさん。
「今後、目が悪くなってきたら、今のように細かく記録をつけるのが大変になるかも。その時々で楽しいやり方を模索しながら続けたいですね」
case3. Around60の懸賞マニア
“わらしべ懸賞”で当選の連鎖を引き寄せ!いちごうなぎさん(59歳)
来年の3月で60歳を迎えるいちごうなぎさんの、これまでの当選回数は4651回。ディズニーランドは10回以上、ダイヤの指輪や金のブレスレットなどの貴金属も当てた経験がある。いちごうなぎさんにとって、懸賞は“宝探し”だ。
「スーパーや雑誌、テレビCMやラジオなど、いたるところに懸賞のチャンスはあります。当選賞品が届くのももちろんうれしいですが、見つける過程もワクワクするんです」
さらに当選したものをシェアする楽しみもある。
「りんご1ケースとか、多く当てたときはご近所さんにおすそ分け。ランドセルを当てて甥にプレゼントしたこともあります。身近な人の喜んだ顔を見られるのも懸賞をやっていて良かったことのひとつです」
趣味の寺社巡りが当選を引き寄せたと実感したことも。長野の善光寺に参拝したとき、その道中に電話でエントリーした懸賞から、その日に当選連絡が。
「5000円の商品券をゲットしました!」
当たった金券では、別の懸賞を実施している商品を買って、また応募する。
「当選を連鎖させる“わらしべ懸賞”を目指しています。ムダがないし、縁起がいいのでまた当たる気がするんです」
アラ還!懸賞達人の当てコツ5選
懸賞は運のよしあしだけじゃない。コツをつかんで当選を引き寄せ!
1. 当たる“穴場”を探す
地域で配布されているフリーペーパーの読者プレゼントは、よく当たる“穴場”懸賞。「全国各地のWeb版FMラジオのリスナープレゼントも当選率が高いです。リスナーが限られているのでライバルが少ないんです」。そう言うみりどらむさんのオススメは、全国のFM放送が聴けるWebサイト『サイマルラジオ』。地域の名産品が当選品になることも多く、見逃せない!
2. 懸賞用のスケジュール帳を持つ
懸賞はスケジュール管理も重要。「応募しようと思っていたのに、締め切りが過ぎていた」なんてミスはもったいない。専用のスケジュール帳を使って、応募のし忘れを防ごう。
「通常の手帳とは別に、懸賞専用の手帳を作って管理。試写会やコンサートに応募したら、当選前から見に行く予定日を記入。スケジュールを空けて、当選を待ちます」(みちゃさん)
3. 懸賞グッズは常に持ち歩く
出先で懸賞を見つけたときでも、その場で応募できるよう、懸賞グッズは常にバッグにIN!
「ボールペン、セロハンテープにハサミなど、懸賞に必要なアイテムをポーチに入れて持ち歩いています。以前、スーパーで締め切り当日の懸賞を発見。その場でハガキを作成して見事当選しました。見つけた懸賞は即応募が当選の秘訣です」(いちごうなぎさん)
4. ハガキを出すなら“吉日”に
「西に黄色を置く」など、金運アップの風水を実践しているケーマーは多い。懸賞ハガキは大安吉日や一粒万倍日など、縁起の良い日に投函すると、運を味方につけられそう!
「1年に4、5回ある天赦日には、一気に60通くらい出すことも。吉日に出すと決めてハガキを書くと、普段以上に気合が入るので、当選しやすい気がします」(みちゃさん)
5. 家族が喜ぶものを狙う
懸賞生活は家族の協力が必要なので、普段から家族が喜ぶものを狙うことも大切。「夫には懸賞情報を共有したり、応募用のバーコードやシール、レシートを集めてもらったりしているので、ビールを当ててプレゼント。おトクな気持ちを分け合うことでお互い気持ちよく、懸賞を楽しめます」(みりどらむさん)
<取材・文/中村未来>