夜中に何度もトイレに起きるのがつらい夜間頻尿。今、その改善対策として「弾性ストッキング」が注目されている。
実際にその効果を検証し、推奨しているのは、夜間頻尿を改善する行動療法に詳しい泌尿器科医の曽根淳史先生。
足にたまった水分が夜間頻尿の原因に!
「夕方にふくらはぎに水分がたまって、むくんでいる人は、その水分が夜間に尿になります。日中に弾性ストッキングで足に圧をかけると、血液が下から上に流れやすくなり、むくみを防げます。その結果、夜間につくられる尿量が減り、夜のトイレの回数も少なくなるのです」(曽根先生、以下同)
方法は、ひざ下までの弾性ストッキングを朝起床後すぐから夕方まではくだけ。夜もはき続けると血流が悪くなるので、夕方には脱ぐのがポイント。
実はこの方法、専門医たちは高齢者に対する治療の第一選択肢として推奨していて、病院でも薬より先に行うべき治療としてすすめられている。
「弾性ストッキングは、病院で脚のサイズを測って適切な着圧がかかる医療用を利用するのがおすすめ。でも、すぐには病院に行けないとか、まず市販品を試したいという人は、下記の選び方を確認したうえで市販品を使用してもよいでしょう」
<市販品の選び方>
●ひざ下までのハイソックスタイプで、つま先があいていないもの。
●「むくみ改善」「血行促進」といった言葉が、パッケージに書いてあるもの。
●美容目的で就寝時にはくタイプのストッキングは適さないので要注意!
弾性ストッキングの注意すべきポイント
注意したいのは着圧。強すぎると血行不良や皮膚炎を招くことがあるので、大きめのサイズから始めるのがおすすめだという。
「足に痛みや熱を感じたら使用をやめてください。また、なかなか改善がみられない場合は、泌尿器科など専門医を受診しましょう。特に糖尿病の人は、足の末梢神経障害があると痛みや圧力を感じにくいので、はく前にかかりつけ医に相談してください」
アイテム1. 夜のトイレの悩みを解決する「弾性ストッキング」
宮津武田病院院長。日本排尿機能学会評議員、日本泌尿器科学会指導医。長年、夜間頻尿に対する弾性ストッキングの活用など行動療法を研究。
1台あればリビングもトレーニングジムに!
段差を上り下りする「踏み台昇降」。息が上がっていかにもキツそうだが、ここで紹介する「スローステップ」は、おしゃべりしながらでもできる、ゆっくりとしたテンポで行うのが特徴。スローステップを考案した福岡大学スポーツ科学部で、医療や運動競技に生かせる運動法を研究する上原吉就先生に話を聞いた。
「ゆっくりとした運動では、持久力のある遅筋という筋肉を使うので疲れにくく、ラクに長い時間続けられます。研究の結果、ゆっくりとしたテンポで行っても、十分に筋トレ効果、減量効果があることが検証できました」(上原先生、以下同)
実施時間も1日30分でOK。しかも1回10分、2~3回に分けて行っても効果があるとか。ステップ台が家に1台あれば、隙間時間を生かして効率的に運動できる。
「ステップ台は適度なクッション性があり、耐久性、安全性も高い。高さを変えられるタイプなら、体力に合わせて調整できるのもメリットです」
アイテム2. 遅筋を使うからラクなのに効果抜群!ステップウェル2
<スローステップのやり方>
●右足を台にのせ、左足ものせて台にのる。次に右足、左足の順に台からもとの位置に下りる。踏み出す足のほうが筋肉を使うので、先に台にのせる足は左右交互にする。
●テンポは10分間無理なく続けられる速さで(1秒に1歩、足を動かすくらいを目安にして増減を)。
●高さは2cmを基準に、きついようなら低くする。
福岡大学スポーツ科学部教授。専門はスポーツ内科学、循環器内科学。日本循環器学会専門医、日本高血圧学会専門医。
ポールの助けを借りて運動量がぐんとアップ
「ノルディック・ウォーク」とは、フィンランドで始まった2本のポールを使った歩行法。日本ノルディック・ウォーク連盟の副学術委員長を務め、心臓血管外科医である川内基裕先生は「上半身も動かすことで、普通に歩くよりも多くの効果が得られます」と話す。
「通常のウォーキングは下半身の運動が中心ですが、2本のポールを交互に地面に突きながら歩くと、身体の9割の筋肉を使う全身運動に変化します。エネルギー消費量が20%アップするというデータもあります」(川内先生、以下同)
また、腕を大きく動かすので二の腕のシェイプアップ効果も。ポールの支えで姿勢が安定するので自然に歩幅が広がり、ヒップアップも期待できる。
「歩行が安定し、身体の負担が減るので、高齢者や心臓疾患のリハビリにも活用中なんですよ」
アイテム3. 上半身もシェイプアップ! ノルディック・ウォーキングポール
<ポールの使い方>
●背筋を伸ばし、足を踏み出すのと同時にポールも前に出し、踏み出した足の近くに突く。手を身体に引きつけるようにしながら、次の一歩を踏み出す。
●足を踏み出すときは、かかとから地面につく。肩に力を入れないのもコツ。
JR東京総合病院心臓血管外科部長、小金井リハビリテーション病院副院長などを歴任後、現在、東京都池袋病院理事。
実験により効果的な目の温め方が判明!
目薬を何度さしても改善しないドライアイ。「実はそれは、涙の“脂不足”が原因なんです」と意外な事実を教えてくれたのは、ドライアイ外来を持つ眼科医の有田玲子先生。
「涙には1%ほどの少量の脂が含まれていて、その脂が薄い膜となって眼球を覆い、涙の乾燥を防いでいます。ドライアイの85%は、この脂が不足するタイプです」(有田先生、以下同)
この悩みを解決するには、しっかりまばたきをすることと、目を温めること。目の脂は上下のまぶたにあるマイボーム腺という組織から、まばたきの刺激で分泌される。ここが詰まると脂不足になるが、目を温めることで詰まりが解消するのだ。
「目を温めるには、濡れタオルをレンジで温めて目にあてる方法もありますが、実験の結果、まぶたが濡れると気化熱で逆に冷えやすいことが判明。効果を高めるには、まぶたを濡らさず温かさが持続し、繰り返し使える市販品が便利ですね」
アイテム4. ドライアイや疲れ目に! ホットアイマスク
伊藤医院副院長、医学博士。眼科医として、ドライアイや涙の機能不全などの治療・研究で成果を挙げている。著書や動画のわかりやすい説明が好評。
白内障のサングラスは性能に加えフレームの形が重要
白内障は、目のレンズにあたる水晶体が徐々に白く濁る病気。白内障と紫外線の関係に詳しい眼科医の佐々木洋先生は「目に浴びる紫外線の量が多いほど、白内障のリスクが高まる」と警鐘を鳴らす。
例えば、佐々木先生の調査によると、石川県能登地方など紫外線が少ない地域に比べ、沖縄など紫外線が多い地域は、白内障になるリスクが約1・4倍も高かったという。
目を紫外線から守るには、サングラスが有効だが、見逃されがちなのが側面から目に入る紫外線。そのため、サングラスを選ぶには、レンズの紫外線透過率に加え、サングラスの形状もチェックすることが大切だ。
佐々木先生も、レンズ・形状ともに条件に合ったサングラスを厳選して、屋外では欠かさず使用中とのこと。
「顔が扁平な日本人は、紫外線が目に入りやすい。大きめのレンズで、肌への密着度の高いものを選びましょう。また、色の濃いレンズでは視界が暗くなって瞳孔が開きやすくなり、目の奥に入る紫外線が多くなるので要注意。色の薄いUVカットレンズや偏光レンズは、視界もクリアなのでおすすめです」(佐々木先生)
アイテム5. 紫外線を95%以上カット!白内障ケアサングラス
金沢医科大学眼科学講座主任教授。専門は白内障の研究・治療。研究結果に基づいた眼病予防のためのサングラス開発にも携わる。
消費者庁が警告!効果のない健康グッズ
健康グッズのなかには、根拠のない効果をうたう虚偽や誇大広告が行われているものも少なくない。消費者庁では適宜調査を行い、違反事例を発表し、消費者に注意を呼びかけている。
例えば、「巻くだけで筋肉がつく」と宣伝されていた製品4点について、「根拠がない」と指摘。また、「加圧によって着るだけでやせる」とした下着も、「痩身効果に効果なし」とした。
最近ではコロナウイルス関連のものも増えた。例えば「マイナスイオンがウイルスを分解」などとうたったマイナスイオン発生器に対しては、根拠とする実験が不適切であるとし、販売会社にも再発防止命令が出された例もある。このような商品は、広告を鵜呑みにしないよう気をつけたい。
<取材・文/志賀桂子>