野菜をムダなく使い切って節約しよう(写真はイメージです)

 生活費が上昇し続ける厳しい状態が続いている。乗り越えるには「食費」をミニマルに抑えるのが効率的。「食べすぎないから健康的」「作りすぎないから自由時間が増える」など節約以外のメリットもいろいろ。賢者の知恵で家計を守れ!

“食品ロス”と呼ばれる、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品。この食品ロスの少ない家庭を目指せば、食費は確実に減らせる。

食べられる野菜を捨てていませんか?

「4割以上を占めるのは、未使用のものを食べずに捨てる『直接廃棄』です」と話すのは、食材の流通に詳しい料理人の小鉢ひろかさん。特に野菜と果物が多いという。

「例えば小松菜の葉っぱが黄色くなったとき、そのまま捨てていませんか。でも色が変わっても食べられるんです」(小鉢さん、以下同)

 スーパーや八百屋でも同じように扱われることが多い。

「問題なく食べられる野菜でも店頭に並べると、ほかの新鮮な野菜まで悪いイメージを持たれてしまうことを恐れ、値引きしたり、廃棄します」

 しかし、この野菜の見分け方を覚えておけば、値引き品コーナーを賢く利用できる。

野菜の見分けかたを覚えてかしこく買い物を(写真はイメージです)

「小松菜などの葉物野菜の葉が黄色くなるのは、もみじが紅葉するのと同じです。ビタミンCの含有量は落ちますが、食物繊維やミネラルなどは変わりません」

 ピーマンやオクラ、ゴーヤなどの果菜類は完熟すると色が変わるが問題ない。ピーマンは青臭みが消えて甘くなる。

「じゃがいもは芽が出ると嫌厭されがちですが、しっかり取り除けばポテトチップスやフライドポテトに最適。糖が減っているので焦げにくく、失敗せずに作れます」

 フルーツ類では完熟して黒い斑点がついたバナナや、やわらかくなったキウイフルーツのほうが断然甘くておいしい。高級フルーツのシャインマスカットも、黄色いものが安くなっていたら“買い”だ。

「販売のプロが適切なタイミングでシールを貼るので、うまく利用すればお得です」

 値引きされた食材をすぐに食べないときや、余ってしまった食材は、昔ながらの保存食の知恵を活用しよう。

「野菜はしょうゆや塩で漬物、お酢を使って甘酢漬けなどに。フルーツは砂糖を使ってジャムにしては。腐敗させる微生物の繁殖を抑え、日持ちを延ばすことができますよ」

捨てる部分がなく最後まで食べ切るコツ

 家庭で比較的新鮮な食材を保存する方法には、「冷凍」と「乾燥」がある。

「野菜は半日干して乾燥野菜にするだけで、3日は日持ちします。湿度が下がるこれからの季節にぴったり。うまみや甘みが凝縮し、生野菜にはない歯ごたえが生まれます」

冷凍すれば普通に保存するよりも長い時間新鮮さを保つことができる(写真はイメージです)

 また、野菜の皮や中心部の芯などの捨てる部分も食べられることが多い。

「食べるのに抵抗がある人は、野菜くずと水を鍋に入れて弱火で煮て、野菜だしを作るのもおすすめです」

 おかずにしたいときは、左上を参考にして無駄なく野菜を活用してみよう。

「食品ロスが減れば、週2回のゴミ出しを1回に減らすことも可能。ゴミ袋が有料化されている地域では、ゴミを出す回数はできるだけ減らして節約したいですよね」

【野菜くず活用法】
■いも類の皮
 土の中の菌が付着しているので、殺菌のために必ず加熱を。フライにしたり、炒めてきんぴらにするなど、全体にしっかりと火を通すようにする。
■根菜類の皮
 大根やにんじんなどは出荷前に高圧洗浄され、皮を1枚むいたのと同じ状態で出荷されるので生でもOK。硬いときは繊維を断ち切ってから食べるとよい。
■ピーマンのわた
 丸ごとしっかり焼くことで、中のわたの部分まで火が通り、おいしく食べられる。ピーマンの肉詰めを作るときは、具にわたを混ぜ込むとよい。
■ねぎの青い部分
 ねぎの青い部分は、白い部分に比べてにおいや辛みが強いので、生よりも加熱したほうが食べやすい。電子レンジで加熱するときは、ラップをしないでにおいを逃すようにする。
■きのこ類の根元
 根元の一番下の数mm以外は全部食べられる。しいたけの軸はうまみが強いが、傘の部分に比べて硬さがあるので、スープのだしにしてうまみを味わってみては。

大根の皮で副菜をもう一品!【パリパリ皮大根】

大根の皮で作れる副菜

材料と作り方(2人分)
〈1〉大根の皮100gは棒状に切り、塩2gをかけて5分おき、水けをきる。
〈2〉せん切りにしたゆずの皮適量を水にさらし、水けをふく。
〈3〉〈1〉に〈2〉と酢大さじ1、砂糖大さじ1と1/2、ゆずの汁小さじ1、塩少々を加え、冷蔵庫で30分漬け込む。

教えてくれたのは、小鉢ひろかさん
社会派料理コンサルタント。青果店にて廃棄予定の食材3tを料理に変えた『捨てない料理人』。小売店の販売促進コンサルタント、メーカーの商品開発に携わる。

取材・文/樫野早苗、松澤ゆかり