節約インスタグラマーのりささん

 生活費が上昇し続ける厳しい状態が続いている。乗り越えるには「食費」をミニマルに抑えるのが効率的。「食べすぎないから健康的」「作りすぎないから自由時間が増える」など節約以外のメリットもいろいろ。賢者の知恵で家計を守れ!

 現在、家族3人分の1か月の食費を1万5000円前後に抑えているというりささん。お米や調味料は別とはいえ、この金額には驚きだ。

妊娠を機に退職し食費節約を意識

「高校の家政科を卒業後、飲食店のキッチンで働いていたので、もともと料理を作るのが好きだったんです。結婚当初はフルタイム勤務で、節約より時短を意識しつつ、日々の献立を考えていました」

豚の角煮や茶わん蒸しなど、美味しそうな手料理が並ぶ、りささん宅の食卓

 そんなりささんが、食費の節約に目覚めるきっかけになったのが、約4年前。第1子の妊娠を機に働いていた飲食店を退職したこと。

「共働きのときは夫婦別財布で、家計管理もしていませんでした。でも、夫の給料になって収入が減り、これではまずいと焦ったんです。家計管理の必要性を感じました」(りささん、以下同)

 こうして4年前から家計簿をつけ始め、家計管理に本腰を入れて取り組むように。

月2回の買い物で節約ポイ活も使いこなす

買い物直後は満杯だった冷蔵庫。毎回、2週間で無駄なく使い切るようにしている

 まず着目したのは、食費の見直し。そのころの食費は月3万~4万円ほどだった。

 以前は仕事帰りにその都度買い物をしていた。今は買い物の回数を減らし、「ついで買い」をなくした。結果、無駄遣いがなくなったと話す。

買い物に行くのは、1か月に2回と決めています。1回に2週間分の食材をまとめて購入。1回の予算は6000~7000円に設定し、1か月で1万5000円以内に収めるようにしたのです

 買い物に行く前の日は、野菜や肉を使い切る定番メニューを作る。食材を無駄にしないで使い切ることが、節約につながると考えているからだ。

 最近の朝食は前日の夜の残り物に納豆、ご飯などの定番メニューに固定することで無駄なコストをカット。お昼はパートが終わった14時ごろになるため、おにぎりを食べるのが常だ。そのため、家族団らんを楽しむための夕食作りに力を入れている。

「ただ、育児をしながらの料理なので、前もって下味冷凍しておいたものを活用し、時短を心がけています」

「ポイ活」で予算節約!

 また、家計管理を意識してからは、ポイントを集めて行う「ポイ活」にはまり、食費の足しにしている。利用しているのは「Tポイント」。ポイントを1つに絞るのには、食料品も多く扱っている近所のドラッグストア「ウエルシア」で日用品を買うためだ。

「日用品代は1か月1万円予算で、その1万円をポイントサイトで課金してTポイントにしています。それを『ウエル活』に使うと5000円多く買い物ができるんです」

「ポイ活」で日常の予算を節約しよう(画像はイメージです)

 ウエル活とは、ドラッグストアの「ウエルシア」では毎月20日に、ポイントの1・5倍分の買い物ができるため、その日にまとめ買いをし、ポイントを最大限活用すること。1万ポイントで1万5000円分の買い物ができることになる。

「ポイント増量分の5000円をお米や子どものお菓子、調味料に充てることで、食費の出費を抑えられています」

 現在は2人目を妊娠中。3歳の子どもを連れて買い物をするのは大変なこともあり、買い出しは2店舗へ。

 1店舗はスーパーだが、もう1店舗はウエルシア以外の食品の種類が豊富なドラッグストアを利用する。

「値段を比べて、少しでも安い店で購入します。特によく使う卵や豆腐は、スーパーよりも安く売られていることの多いドラッグストアが狙い目ですよ」

下処理で食材を長持ちさせ使い切る

 月に2回の買い物は、1回目に予算がオーバーして、9000円ほどになることもある。その場合は、2回目の買い物では、野菜や卵を中心に食材を買って、食費が1万5000円以内に収まるように調整。

土曜日、2軒の店舗を回って2週間分の食材をまとめ買いしたもの。これで7037円!

 そのため、まとめ買いした大切な2週間分の食材を有効に使い切るために、帰宅してすぐに行う食材の下処理が大事な作業になる。最初に用途別に、肉や魚を小分けにしているという。

「例えば、肉は主菜用として150g、副菜に少量使う分は50gなどを目安に、小分けしてラップで包んで冷凍します。小分けした袋に、肉の部位とグラム数を書いたテープを貼っておけば、使うとき便利。いろいろな料理に対応できて、無駄なく使い切ることができます」

 また、肉や魚は長期保存ができるようにタレに漬け込んで下処理をしておく。下味をつけて冷凍すれば、値引き品の肉でも味がしみ込んでやわらかくなる。

肉や魚は長期保存できるようタレに漬け込んで下処理をするのがポイント

「予算内で買った食材をおいしく食べ切ることが大切。味つけに市販の合わせ調味料を使うと割高になるため、家にある調味料でわが家に合った味つけにしています」

 野菜は100円ショップで購入した鮮度保持袋に入れて保存。以前、野菜を腐らせたことがあるので、気を配っている。鮮度保持袋を使えば、野菜から出るガスを袋が吸収し、野菜が長持ちする。

「鮮度保持袋は野菜のサイズに合わせて、袋の大きさを使い分けます。1パック数十枚入っているので、洗って繰り返し使えばお得」

 それでも、買い物に行く前に残った野菜や肉があるときは、サラダやミネストローネなどの野菜スープ、あんかけ焼きそばの“具”などに活用。使い切って冷蔵庫を空けてから買い物へ。

「残り野菜を消費する定番メニューをある程度決めておけば、献立にも迷いません」

ホットプレート料理で無理せず節約

 夕食には、家族が喜ぶホットプレートを使った料理を作ることも多い。ホットプレートなら調理の時短ができ、疲れているときも、外食の誘惑を抑えることができる。

「ホットプレートを使えば、肉を少なめにし、野菜やご飯でかさ増ししても、見た目が豪華で満足感があります」

 最近、家族に好評なのはステーキ専門店「ペッパーランチ」風のレシピ。プレートの中央にご飯をのせて、その周りに牛肉を並べて焼き、焼き肉のタレで食べる。ほかに「チーズタッカルビ」といって、野菜と鶏肉を炒めてチーズを絡めて食べる料理は、夫も子どもも大好物。

ホットプレートなら調理の時短ができ、疲れているときも、外食の誘惑を抑えることができる

 プレートを「たこ焼きプレート」に変えて作る、焼き小籠包もよく登場する。皮は大判の餃子の皮が残っていれば代用する。中身は下味冷凍しておいたひき肉を使う。

「手軽に作れる焼き小籠包は、ホットプレートだと熱々が食べられて好評ですね」

 外食に行かなくても済むように、りささんが工夫しているのが、夫が大好きな「モスバーガー」の人気商品にそっくりなライスバーガー。

ライスバーガーも自宅で作って節約!

「作り方はいたって簡単。ご飯にしょうゆとみりん、ごま油を混ぜて、びんのふたで型を抜き、フライパンで焼きます。お金をかけずに自宅で外食の雰囲気を楽しめます」

 食費を抑えてお金が貯まり、好きなことに使えるようになった。

「節約をしてよかったと思うことは、家族旅行に頻繁に行けるようになったこと。息抜きができ、節約へのモチベーションがさらに上がる好循環になりました!」

【りさ流 食費節約ポイント】
〈1〉買い出しは2週間に1回
 買い物は頻繁に行かないで、2週間に1度、6000~7000円の予算でまとめ買いをしている。買い物に行く回数が減れば、無駄な商品を買わなくて済む。スーパーが安売りをしている土曜日に行くようにしている。
〈2〉「〇〇の素」は買わない
 合わせ調味料や加工小麦粉はなくても作れるので、買うと無駄な出費に。麻婆豆腐なら家にあるテンメンジャンやコチュジャンなどを活用。天ぷらを作るときは薄力粉や片栗粉、マヨネーズ、酢を使って衣を作り、サクサクに仕上げる。
〈3〉肉と魚はすぐ下味処理
 買い物から帰ってきたらすぐに、食材の下処理を。肉はさまざまな用途で使えるように小分けにしたり、下味をつけて冷凍保存する。魚はキッチンペーパーで水分をふき取り、1切れずつラップに包んで保存している。

お話を伺ったのは……

りささん

愛知県在住のインスタグラマー(24歳)。
夫と3歳の息子の3人家族。現在はパートだが、夫婦ともに飲食店で働く。インスタグラムで料理や下味冷凍、節約ワザについて発信。フォロワー数は2.8万人。


取材・文/樫野早苗、松澤ゆかり