骨格のゆがみ、筋肉の凝りやむくみ、体型くずれ……そんな不調の根本には、体の“軸のブレ”が大きく関係している。
ここでいう軸とは、体を動かすときに、最もムダなく大きな力を発揮できる基準点のようなもの。そして、正しい軸の取り方は、人それぞれ、血液型のように全部で4つのタイプ(4スタンス)に分かれているそう。
そんな「4スタンス理論」をわかりやすく解説した書籍『筋トレより軸トレ!運動のトリセツ』が話題だ。
著者は、新体操の元日本代表選手であり、日本体操協会の新体操強化本部長として「フェアリージャパン」の指導者も務めた山崎浩子さん。
現在はタレントやスポーツライターなど多彩に活躍中だが、62歳とは思えない軽やかな身のこなしや、衰えない美しさは驚きだ。
ふだんの動作は軸を意識して
体を軽やかに動かせる人は、きっと相応のトレーニングを毎日ストイックにこなしているのだろう……。そう思いがちだが、山崎さんは自称「ずぼらで運動嫌い」。毎日の生活でも、ストレッチや運動の時間を特別に設けることもほぼしていないという。
「手軽に痩せられるダイエットグッズをつい買うこともあるんですが、一週間続いた試しがないんです。面倒くさがりだから、結局普段通りの生活になってしまう。だから『日常の動作ひとつひとつで軸を意識する』ということだけを習慣にしたんです」
山崎さん曰く、筋トレは決して悪いわけではないのだが “自分にあった軸”を取れているかいないかだけで、得られる効果には雲泥の差があるのだという。
「4スタンス理論」を山崎さんが初めて知ったのは2008年のこと。自分のタイプの軸に沿って動かした途端に、体が軽やかになったことに衝撃を受けて以来、立つ・座る・歩くの姿勢を正しく保つことを常に意識している。
「ぽっこりお腹や猫背なども、軸のブレから。私も現役時代、練習の合間についダラッと立っていたら、先輩に『お腹が出てひょうたんみたいだよ』と言われてしまって……。それがショックで、以来お腹をキュッと引き締めて立つこと、4スタンス理論を知ってからは軸を意識した立ち方を常に心がけています」
自宅のイスや電車の座席に座るときにも、自分の軸をチェックするのを欠かさないという。
発酵食品を食べて睡眠たっぷり
日頃の美容も「軸トレ」と同じく、自分に合う方法を選ぶことが何より大切だと山崎さんは言う。
「スキンケアの代表といえば“保湿”ですが、私の肌には合わなかったんです。良かれと思ってたっぷり保湿をしていたら、かえってシミができてしまって。そうした自分の肌質に気づいてからは、保湿を控えるようになりました」
そう話す山崎さんの肌は年齢を感じさせないつややかさ。普段の食事も、ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品を多く摂るよう意識している以外には、食べたいと思うものを食べているそうだ。
睡眠時間も長め。スケジュールに余裕がある日は、とにかくたっぷり寝ている。
「自分磨きのために厳しいことは一切していません。とにかく、自然体でいることが好きですね。無理をすると、どこかにそのひずみが出てくるから。だから寝たいときに寝るし、食べたいものを食べる。負担のかからない体の動かし方をする。楽々と暮らしていく秘訣は、それに尽きるのではないかと思っています」
写真撮影/洞澤佐智子
1960年、鹿児島県生まれ。1984年にロサンゼルス五輪に出場し、8位入賞。同年引退。2004年に新体操強化本部長に就任し、2015年以降、世界選手権で5大会連続メダルを獲得(団体競技)するなど、新体操日本代表を世界トップクラスに導いた。2021年に強化本部長は退任したが、現在も後進の育成に携わり、全国で4スタンス理論を使った講習会を行っている。これまでの指導経験を交え、体の使い方を解説した最新刊は『筋トレより軸トレ! 運動のトリセツ』(日経BP)。書籍は、4スタンス理論の考案者、廣戸聡一さんが監修。
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