沢口靖子

 1999年にスタートした沢口靖子主演の人気ドラマシリーズ『科捜研の女』(テレビ朝日系)が、大人の科学ミステリー『科捜研の女2022』としてリニューアル。10月18日の初回2時間スペシャルは、世帯視聴率11・9%と好発進を決めた。

これまで放送されていた夜8時台の木曜ミステリー枠が今夏で終了し、10月から新設された火曜夜9時枠へ移動しました。今シリーズから小池徹平さんが新メンバーに加わったほか、テロップの入れ方や映像をスタイリッシュにするなど、若い視聴者を意識した作りになっていましたね」(テレビ誌編集者)

 一新した“新・科捜研”に対してSNS上では、

《映像も映画みたいに美しくとにかく凄いの一言!》

《京都チームとテレ朝の気合いを感じたわ》

 と好意的な意見が多い中、

《リニューアルしたらガリレオを意識したドラマになっちゃったよ》

《見たいのは天然マリコさんが周りをブン回す、ゆるふわ科捜研なんだよ》

 と、変化に戸惑う声も。一方、業界ではリニューアルよりも今後の行方に注目が集まっている。

「昨年10月に『週刊文春』が木曜ミステリー枠の終了と、『科捜研』が火曜夜9時枠で、“一度”放送する話があると報じたことで、シリーズの終了説が浮上することに。加えて、今年4月7日に放送されたシーズン21の最終回で“シリーズ23年の集大成”というテロップが表示されたことも、終了報道が相次ぐ一因になったようです」(前出・テレビ誌編集者)

“木曜ミステリー枠”廃止の背景

『文春』の報道どおり、木曜ミステリー枠は今夏で廃止に。人気シリーズを多数生み出した名物枠がなくなった背景には、テレビCM収入の落ち込みが関係しているようだ。

「木曜ミステリー枠で放送されていた作品の多くは、東映京都撮影所を中心に撮影が行われていました。昨今のテレビ業界の不況もあり、どこの局も制作費が削減されています。時代劇であれば固定セットがある京都撮影所を使うメリットがありますが、現代が舞台の作品であれば京都での撮影は出演者の移動費や滞在費など、余計に経費がかかるだけですからね。経費の見直しもあり、木曜ミステリー枠が廃止されたと聞いています」(テレビ朝日関係者)

コロナ禍で撮影が減り、存続の危機に陥っている東映京都撮影所

 昨年に創業70周年を迎えた東映京都撮影所。その名のとおり東映が制作する映画のほか、東映が18・08%の株式を保有するテレビ朝日の作品も多く撮影されている。

「同じくテレビ朝日も東映の株式を19・68%保有するなど、両社は資本関係にあります。テレビ朝日の社外取締役も務めていた東映の岡田裕介会長が一昨年亡くなったこともあり、両社の関係性が見直されるのでは?という噂も流れました。でも岡田会長が亡くなった後に、テレビ朝日は東映の株式を追加取得していますから、逆に関係性は強まっていますよ」(広告代理店関係者)

 京都撮影所での撮影をすべてやめてしまっては撮影所の存続が危うくなるため、テレ朝にとってもマイナスが大きいという。

京都撮影所のスタッフに仕事をつくるためにも、幅広い世代に人気のある『科捜研』だけはしばらく続けることになったようです。来年1月にネットフリックスで配信予定の森七菜さん主演『舞妓さんちのまかないさん』の撮影が京都撮影所で行われるなど、最近は配信メディアにもスタジオを貸し出しています。それだけ台所事情も苦しいのでしょう」(東映関係者)

上川隆也の『遺留捜査』は終了したのに

 そうはいっても、立ちはだかる“京都の壁”は高く……。

「京都で撮影を行うために必要な高額な経費問題が、テレ朝社内では根強く残っています。同じ京都で撮影していた上川隆也さん主演の『遺留捜査』シリーズは終了させているわけですから、上川さんら『遺留捜査』チームに示しがつかないという反発もあり、社内でもシリーズ続投については意見が分かれる結果になっています」(前出・テレビ朝日関係者)

 昨年9月に公開された『科捜研の女』劇場版の興行収入は、5億4000万円とクリーンヒット。放送外収入でもテレビ朝日に貢献している。

「再放送でも根強い人気がありますからね。今はスポンサーが重視する13歳〜49歳を対象とした“コア視聴率”や個人視聴率を意識した番組作りが求められていますが、リニューアルした初回放送の個人視聴率は6・6%。コア視聴率も低くはありません。固定ファンが多い作品ですから、多少経費がかかっているとしても終わらせるのはデメリットのほうが大きいと思います」(前出・広告代理店関係者)

 コラムニストで、『科捜研』の大ファンとしても知られるペリー荻野さんも「終了させる理由がない」と語る。

「新設された火曜9時枠に移動したこともあり、これまでのホームドラマ感が薄まりシリアス路線になるなど、新しい『科捜研』をアピールできていたと思います。今シリーズから小池徹平さんが加わるなど、枠を移動して新たに頑張っていこうという強い意志が感じられましたし、これだけ人気のあるコンテンツをわざわざ終わらせる理由はないでしょう」

マリコの“キャラ変”に不満

 京都で撮影しているメリットについては、

劇場版もヒットするなど、テレ朝を代表する人気シリーズ『科捜研の女』

「ロケ地などで他作品と差別化もできますし、長年、作品を作りあげてきた京都撮影所のスタッフだからこそのノウハウもあるので、大事にすべきだと思います。『科捜研』はシーズンが終わるたびに、“さよなら”的なメッセージが出るのですが、木曜ミステリー枠の廃止も伴って、終了するのでは?という話が出たのかもしれませんね」(ペリー荻野さん)

 一方、リニューアルで不満を感じた点も。

沢口靖子さん演じるマリコは科学に関すること以外は世間知らずで、おとぼけさも魅力のひとつでした。初回は本格ミステリー要素が強まり、マリコのおとぼけさがなかったのは少し寂しかったですね。でも回が進めば、マリコの愛すべきキャラクターも復活していくのでは?と期待しています」(ペリー荻野さん)

 リスタートを目前に公開されたウェブメディアのインタビューで、

《これまで作品を見たことがないという方たちにも楽しんでいただくためにも、変化は必要だったと思います》

 と力強く語っていた沢口。東映京都撮影所を存続させるためにも、ここがマリコの頑張りどころ!?

ペリー荻野 時代劇研究家、コラムニスト、ラジオパーソナリティー、放送作家。愛知教育大学在学中に中部日本放送でラジオパーソナリティー兼放送作家として活動を開始
 
1985年のNHK朝ドラ『澪つくし』のヒロインを演じた沢口靖子、共演の川野太郎

 

 

1985年のNHK朝ドラ『澪つくし』のヒロインを演じた沢口靖子、共演の川野太郎

 

若き日の沢口靖子と吉永小百合の貴重なツーショット

 

 

沢口靖子

 

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【出演】
金丸デスク(副編集長)

【パーソナリティ】
木村彩乃(フリーアナウンサー)

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