《この度、BTSが兵役の義務を履行するための具体的な準備に着手しましたことをお知らせいたします》
その知らせは、世界中のファンに衝撃を与えた。
国全体の議論に発展
「世界的な人気を誇る7人組の男性グループ『BTS』の所属事務所は、韓国の男性に義務づけられている兵役の入隊期限が迫っていた最年長メンバーのJINさんが、近く入隊することを発表。ほかのメンバーも順次、兵役に就く予定で、所属事務所は“3年後の'25年ごろにグループとしての活動を再開したい”としています」(スポーツ紙記者)
JINの入隊に関しては、国全体の議論にまで発展した経緯がある。
「韓国では通常、男性は18歳から満28歳の誕生日を迎えるまでの間に、2年間の兵役に就かなくてはならない。しかし、'21年に施行された“BTS法”とも呼ばれる改正法によって、大衆芸術の優秀者に限り、期限を30歳になる年の年末まで延期できるようになりました。
これはBTSによる国への高い貢献が認められた特例措置でしたが、延期であって免除ではない。12月に30歳の誕生日を控えているJINさんのため、免除制度を新たに拡大する議論もありましたが、最終的には期限を待たずして入隊することになりました」(同・スポーツ紙記者)
過去を振り返ると、人気グループ『BIGBANG』は'18年にメンバーが相次いで入隊。リーダーのG-DRAGONが兵役を終えた際には大勢のファンが出迎えた。
同じ'18年には、俳優のチャン・グンソクが、兵役の代わりに公的機関で勤務する『社会服務要員』として訓練を受けた後、ソウルの消防当局で勤務したこともあった。
しかし、BTSの兵役履行については、一部のファンが《政府の人たちは、自分がやったことの意味を思い知らなくてはならない》と、免除政策を取らなかった国に抗議して韓国製品の不買運動を呼びかける“ボイコット”の姿勢まで見せた。活動休止による経済的損失は数千億円ともいわれているが、それでも履行を決めた裏には、深い事情があって……。
7人そろっての活動再開に追い風
「BTSメンバーの兵役免除については、韓国内で意見が二分していましたが、免除反対派の中でも“なぜBTSだけ特別扱いなんだ”と、特に激しい怒りを示していたのが、兵役に参加している息子を持つ母親たちなんです」
とは、韓国の兵役制度に詳しい作家の康熙奉氏。
「彼女たちの意見は強固なもので、いくらBTSが国に貢献していても、世論を統一することは難しい。“BTS法”によるJINさんの兵役延長の期限は今年末までで、残された時間的にも免除の可能性は低い。ギリギリまで粘って嫌々兵役に参加する感じが出てしまうと、激しい批判に晒されることも考えられました」(康さん、以下同)
“母たちの怒り”もあって発表された兵役履行だが、これは賢明な判断だったという。
「国家政策である“'30年万博誘致”に向けた釜山コンサートを10月15日に実施した後、時間的余裕を持って兵役に参加することで、“国のために働く”という印象を持たせることに成功しました。今回の決断は、ベストタイミングだったといえます。兵役の期間はもともと21か月でしたが、今は陸軍や海兵隊は18か月に短縮されていますから、7人そろっての活動再開には、これも追い風でしょう」
これまでK-POPグループは、メンバーがバラバラに兵役に参加することで、全員そろっての活動が困難になっていた背景があるが……。
できる限り最良の選択をした
「今は2人でペアを組んで兵役に参加する“同伴入隊”という制度もあります。ほかのメンバーたちも年齢に関係なく、JINさんに合わせてスムーズに兵役を行っていけば、'25年の再スタートは十分可能です。場合によっては、もっと早い時期に全員で活動再開することもできるでしょう」
とはいえ、メンバーが一気に兵役に参加すれば、ファンは寂しい思いをするのでは?
「韓国の各軍には、兵士の意識を音楽によって鼓舞する“軍楽隊”が存在します。BTSメンバーであれば、志願すれば隊に入ることもできるはずなので、何人かは入隊するのでは。民間の音楽活動を支援するための公演も行っているので、ファンの前でパフォーマンスを見せる可能性もあるでしょう。
軍楽隊は、活動の様子をインターネットでたびたび報告しています。入らなかったとしても、今はSNSがあるので、休暇の際にはメンバーが近況を報告してくれるはず。兵役が始まってからも、メンバーの姿が完全に見られなくなるわけではないでしょう」
活動休止中も、見守ることができるのは安心。不買運動などを行う一部のファンについてはこう語る。
「中にはそういったファンの方々もいるかもしれませんが、批判の声も考慮しつつ、できる限り最良の選択をしたと思います。BTSの活躍は韓国の方々にとって誇りですし、今回の兵役に関しても、国民の義務を果たしているという意味でおおむね好意的に受け止められているでしょう」
さらにパワーアップして戻ってくる7人から、兵役期間中も目が離せない!