スーパーマーケット研究家がセレクト!地元スーパーの推しグルメがスゴい

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 コロナ禍で遠出を控えていた読者の中にも、久々の旅行を計画している人が多いのでは?観光地めぐりも楽しいけれど、週刊女性がおすすめしたいのは地域住民に愛される「地元スーパー」。その魅力をスーパーマーケット研究家の菅原佳己さんはこう語る。

手間を超えた美味しさがある「地元スーパー」の魅力

「その地域で生まれて、地元民が日常的に食べている『地元食』や地元メーカーの食品を多く扱い、限られたエリアだけで展開している。そんなご当地の魅力にあふれるスーパーは、祖父母から孫の代まで長く愛されてきたお店が少なくありません。その理由は、地元ならではの歴史や食文化が凝縮されているから。

 例えば、岐阜県高山市のスーパー、『ファミリーストアさとう』では『塩丸いか』という地元食が人気です。ゆでたイカの胴体にパンパンに塩を詰めたもので、2時間ぐらいかけて塩抜きしなければ食べられない。だけど、独特の風味や味わいがあって、きゅうりやわかめで酢の物にすると、ほかには代えられない逸品になる。手間を超えたおいしさがあるのです

 塩丸いかは冷蔵技術の発達していない昔、雪深い地域で新鮮な魚が手に入りにくかったため保存食として生まれ、「郷土の味」に定着した。

「食を通して地域の食文化や歴史を伝える、おもしろいスーパーが全国には数多くあります。その中から今、私が注目するお店を紹介します!」

プロが厳選したスーパーのおすすめ地元食3つ

相沢食料百貨店(北海道)
北海道稚内市中央3-5-8 営業時間9:00~19:00

ほたておこわ弁当842円(写真提供:菅原佳己さん)

ほたておこわ弁当 842円(税込)

※人気の「自家製鮭の粕漬焼」などが購入可能なネットストアも展開。

「地元の人気店を集めてハンバーガー・フェスを開いたり、コストコの商品を置いてみたり、企画を立てるのが上手。シニアだけでなく若いお客さんの支持も集めています。人気のお弁当は20年以上前から続くロングセラー。崩れて商品にならないホタテの貝柱を、店長のおばあちゃんがおこわにしたのが最初だそう。地元の素材を使っているお惣菜も、家庭的な味つけで、ものすごくおいしいんです。それでいて価格が抑えめなのは、スーパーならでは」(菅原さん、以下同)

エンドー(山形県)
山形県山形市長町2-1-33 営業時間10:00~19:00、日・月曜定休

げそ天390円~(写真提供:菅原佳己さん)

げそ天 390円~(税込)

※ネットストアでお取り寄せ可能。「エンドーのゲソ天」で検索を。

「店に入ると、正面にげそ天を注文するカウンターが。左側にテーブルと椅子があり、その周囲に魚や肉売り場が並んでいるんです。なぜげそ天が看板商品なのか。山形の蕎麦店は、サイドメニューに必ずげそ天があります。そこで寄り合いを開くことも多かった。そんな土壌があったので現社長が“酒を出し、げそ天で勝負しよう”と思い立ったそう。油っこくなくてサクサクのげそ天の味はカレー、イカ墨など11種類。店内で食べるのはもちろん、テイクアウトもOKです」

ひまわり市場(山梨県)
山梨県北杜市大泉町谷戸2008 営業時間9:30~19:30

ひまわり市場の歴史的メンチカツ540円(写真提供:菅原佳己さん)

歴史的メンチカツ 540円(税込)

※三が日のほか、年6日の定休日あり。ワインはネットストアでも販売。

「松阪牛7割、鹿児島黒豚3割を使った、その名も『歴史的メンチカツ』が看板商品。決して安くはない価格、そのうえ土日限定の抽選販売なのに、お客さんが全国から訪れるほど。これに合わせたいのが、甲府の老舗ワイナリー・サドヤと作った『ベル・エキップ甲州』というオリジナルワイン。名物店長による売り口上の域を超えた、古舘伊知郎ばりのマイクパフォーマンスも必見! 八ヶ岳の大自然を前に味わうメンチカツは、ここでしか味わえない醍醐味ですね」

プロが厳選したおすすめスーパーの地元食4つ

フレンドフーズ 下鴨店(京都府)
京都府京都市左京区下鴨北園町10-6 営業時間10:00~21:00

井上佃煮店のちりめん山椒750円(写真提供:菅原佳己さん)

ちりめん山椒(井上佃煮店) 750円(税込)

「京都産の大豆で作ったくみ上げ湯葉、京野菜の漬物など、質の高い地元食の品ぞろえが豊富。なかでもすごいのが、135年の歴史に幕を下ろした老舗『井上佃煮店』の味を復活させたこと。

 1度は京都から姿を消した名店の味でしたが、フレンドフーズの社長は佃煮店の社長と娘さんを説得、店に招き入れたのです。ちりめん山椒は井上佃煮店のブランドのまま、フレンドフーズで売られています。地元民に信頼され京都中からファンがやってくるお店です

ジミー 那覇店(沖縄県)
沖縄県那覇市銘苅3-8-5 営業時間9:00~21:00

ジミー那覇店のアップルパイ1780円(写真提供:菅原佳己さん)

アップルパイ 1780円(税込)

※人気の焼き菓子を中心にネットストアでも購入可能。

「外壁に描かれているのはJimmy'sの文字。店内に入るとアップルパイの焼ける香りが漂ってきて、アメリカを感じさせます。戦後、米軍基地で働いていた現社長のお父さんが“沖縄の人にもアメリカの味を食べさせたい”とベーカリーから出発したそうです。いまや沖縄では、アップルパイと言えばジミーといわれるほど。デリカテッセンも魅力的で、ロティサリーチキンから沖縄の郷土料理まで幅広く網羅されています。那覇店併設のレストランで食べられるので足を運んでみてください」

ファミリーストアさとう(岐阜県)
桐生店/岐阜県高山市桐生町2-271 営業時間9:00~21:00、元日休業

塩丸いか972円(写真提供:菅原佳己さん)

塩丸いか 972円(税込)

※高山市内に7店舗を展開。塩丸いかは2ハイ入り、ネットストアでも購入可能。

「岐阜県高山市は、かつては“陸の孤島”と呼ばれたほど山深い地域。だからこそ限られた食材を活かし、個性あふれる地元食が数多く生まれています。地元で7店舗を展開する『ファミリーストアさとう』は、そんな地元食の宝庫。塩丸いかはもちろん、マツコ・デラックスさんが絶賛した『あげづけ』などのお惣菜はぜひチェックを」

末広ショッピングセンター(高知県)
本店/高知県土佐郡土佐町田井1353-2 営業時間9:00~19:30

すえひろおばちゃんのはいからケーキ322円(写真提供:菅原佳己さん)

すえひろおばちゃんのはいからケーキ 322円(税込)

※味はゆず、文旦など特産品を活かした全6種。ネットストアでお取り寄せ可能。

「2020年に高知県が主催する『高知のうまいもの大賞』で入賞した蒸しパン。直径14センチでボリューミー、ゆずやショウガ、文旦など地元の食材を使って作られています。ほかにもお惣菜や加工品、お酒など多くの自社オリジナル商品があるので、展示会などでお目にかかったとき、スーパーではなく食品会社の社長だと思っていたほど。高知市内から高速で1時間ほどの町に2店舗あるんですが、本店の隣には宴会場もあって、コミュニティーセンターとしての役割も担っています」

教えてくれたのは…菅原佳己さん
スーパーマーケット研究家、一般社団法人「全国ご当地スーパー協会」代表理事。全国のご当地スーパーを訪ね歩き、埋もれた日常食の発掘とその魅力を各メディアで発信している。『47都道府県 日本全国地元食図鑑』(平凡社)ほか著書多数。