2022年10月24日、目黒区内の駅近くの駐輪場に10代女性を無理やり連れ込み、わいせつ行為をしようとしたとして強制わいせつ未遂の疑いで、同区内に住む田中秀和容疑者(35)が逮捕された。
事件が起きたのは8月で、田中容疑者と被害者女性は面識がなく、同区碑文谷署の取り調べに対して、「別の駅で女性を見つけ、同じ電車に乗って後をつけた」などと供述しているという。容疑者の職業は人気ゲームやアニメ作品の曲を手がける作曲家ーー。
「田中さんは“オタク”界隈では、アニメや人気ゲームなどのアニメ関連作品には欠かせない“神クリエイター”として知られています。たとえアニメに興味はなくとも、テレビCMで流れる『アイドルマスター シンデレラガールズ』や『ウマ娘 プリティーダービー』の名前は聞いたことあるでしょう。
他にも、元々は『モーニング娘。』などのアイドルが好きだったそうで、つんく♂さんのようなプロデュース業への憧れもあったみたいですね。多くのアイドルグループにも楽曲提供をしています」
と、アニメ事情に詳しい専門誌ライターが明かすように、自身も“資質”があったのだろうか。アニメやアイドルファンに支持される楽曲を次々と生み出していたようだ。
その一方で、10代女性に対してわいせつ行為をする“裏の顔”も持っていたのだろうか。事件を起こした8月以降も変わった様子もなく、田中容疑者はツイッターで自身の作品報告をしたり、女性アイドルの投稿をリツイートするなど通常運転だった。
お蔵入りだけはご勘弁いただきたい
そんな“カリスマ”のまさかの逮捕劇に、ショックを受けているのが『アイマス』や『ウマ娘』などのゲームユーザーや、アニメ作品のファンらだ。ネット上では逮捕の一報をうけて、
《楽曲はどうなるんだろうか?配信停止や削除もあるのかな》
《アイカツ!シリーズやウマ娘に影響が出るのはいやだ。それらの曲が聴けなくなることは本当にいやだ!》
《田中秀和氏の楽曲に魅せられた者として、せめて既存曲のお蔵入りだけはご勘弁いただきたい》
などと、田中容疑者が関わった作品やコンテンツの販売・配信停止といった“お蔵入り”を心配する声が多く見受けられる。
彼のようなクリエイター、はたまた芸能人や監督らが何らかの罪で逮捕された際に、たびたび起きる「作品に罪はない」論争。個人が犯した罪と、制作した作品は“別物と考えるべき”とする論理であり、同様にこの論理が振りかざされている。
「しかし、今回は被害者がいる事件です」とは、性犯罪事情に詳しい犯罪ジャーナリスト。確かに「作品に罪なし」論争が目立つのは、大麻や覚醒剤などで逮捕されるケースではある。
優先すべきは被害者女性の心配
「10代の女性が見知らぬ男に怖い思いをさせられて、後に容疑者の素性を知ったことで、彼女が作品を目にしたときにフラッシュバックを起こしたり、PTSDを発症する可能性もある。
それに、もしも田中容疑者に“余罪”があったとして、犯罪行為をした時点で、それは捕まっていないというだけで遡って“犯罪者”と見るべきだと思います。その時点で逮捕されたとしたら、以降の作品が生まれなかったかもしれません」
作品のお蔵入りを懸念するファンに対して、《何よりも優先すべきことは制作した楽曲が云々なんかよりも、被害者である女性のケアだろ。何勘違いしてるんだ?》と、まずは“被害者女性を心配すべき”とのネットユーザーによる論争も起きている。
果たして、『アイマス』や『ウマ娘』はどうなるのだろうか。前出のライターによると、
「彼が楽曲提供するアニメ作品で活躍する多くが、夢に向かって頑張っているような10代の美少女キャラクターなわけで、その10代女性へのわいせつ行為はイメージが悪すぎますよ。すぐにゲーム配信停止、アニメ放送中止とはならないでしょうが、田中さんが担当した楽曲部分の差し替えは避けられないのではないでしょうか」
ファンの夢をも壊してしまったようだ。