突然の芸能界引退から9年――今年4月、『文春オンライン』のインタビューに登場し、現役時代とは大きく印象が変わった現在の姿が話題を呼んだ五十嵐隼士(36)。静岡県浜松市でステージバー『コンクルーズ』の店長を務めている彼が、10月上旬に東京・お台場にあるバーベキュー施設で、久しぶりにファンと触れ合うオフ会を開催。電撃引退の真相や浜松に移り住んだ理由などを改めて本人に聞いた。
元『ウルトラマン』俳優・五十嵐隼士の今
「フジテレビ系で放送されていたドラマ『ビーチボーイズ』で、反町隆史さんが演じていた桜井広海というキャラクターが好きで、あんな男性になりたいと思っていました。高校3年生のとき『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』に出場したんですが、実は当時交際していた彼女と僕の母親が組んで、内緒で履歴書を送っていたみたいで……。
結局、決勝まで進むことはできなかったのですが、コンテストを受けたことで、反町さんのような“演じる側”に興味を持ったことが、芸能界を目指したきっかけですね」
さまざまなオーディションを受けていく中、'04年に『第1回D-BOYSオーディション』で準グランプリを受賞し、同年10月にD-BOYSの一員に。デビュー2年目の'06年には特撮ドラマ『ウルトラマンメビウス』(TBS系)の主役に抜擢。'08年には人気ドラマ『ROOKIES』(TBS系)でメインキャストの1人を務めてブレイクを果たした。
「人気作品に出演させていただいたことは光栄ですが、その後、周囲から『ウルトラマンメビウス』と『ROOKIES』の役のようなことばかり求められるようになって……。イメージ商売なので、芸能界にいたころはみなさんの期待に応えられるように頑張っていましたが、次第に“誰も五十嵐隼士の人間性に興味がないのでは?”と悩むようになっていきました」
ブレイクとともに環境が大きく変わっていくなか、プライベートの友人たちが心の支えだったと振り返る。
「遊び仲間は誰も僕を芸能人として見ないから、(『ROOKIES』の役の口癖だった)“ニャーをやって”とは言わないんです(笑)。でも、当時の僕にとってはそれがとても心地よかった。彼らと夜の街で遊んでいるうちに、年齢や仕事内容も違う方たちと出会うようになり、考え方も変わっていきましたね」
順調に見えた俳優活動だったが、2013年、27歳のときに電撃引退を発表する。
「『ROOKIES』などの素晴らしい作品に出演させてもらいましたが、それらの仕事は僕自身の力ではなく、同じ事務所に所属する人気俳優の“バーター”で得たものだと思っていて。このまま芸能界にいて30歳ぐらいで売れなくなったとき、そこから第2の人生を歩むのは手遅れなんじゃないかなと考えるようになったんです。
20代のうちなら芸能界以外の世界でもやり直すことができると思ったので、当時のマネージャーさんに引退したい旨を伝えました」
所属していた音楽ユニット『D☆DATE』のライブ直前に引退を伝えたこともあり、事務所スタッフは戸惑っていたという。
「これからステージで頑張ろうとみんなでレッスンをしているところだったので、そりゃドン引きしますよね(笑)。ライブ終了後に改めて所属事務所と話し合う場を設けてもらい、決まっていた仕事をすべてこなして、1年近く時間をかけて引退させていただきました」
引退後は各地を転々とし、現在はバーで
引退後は父親が経営する電子部品の会社に入社。会社の別部門として、六本木にしゃぶしゃぶ店をオープンさせたが苦戦した。その後、父の会社からも離れ、沖縄でバーをオープンすることに。
「沖縄のバーもうまくいかなくて東京に戻ろうとしたときに、俳優仲間だった仁科克基くんに“(現在のバーの)オーナーと一緒に仕事をしてみたら?”とアドバイスを受けたんです。もともとオーナーのことは以前から知っていて“すごい人だな”と思っていたので、現在のバーを紹介してもらい浜松に移ることに決めました」
オーナーからは、日々大きな刺激をもらっているようだ。
「人として信用できるのはもちろん、いろいろな面白いアイデアをどんどん思いつくんです。この人と一緒なら、笑って人生を過ごせるなと思ったのと同時に、しゃぶしゃぶ店や沖縄のバーを経営していたころの僕はいかに低レベルな経営者だったか、ということに気づかされました」
現在は浜松でバーの店長を務めているが、オトナが楽しめるラグジュアリーなバーベキュー施設を、来春のオープンを目指して市内に建設中だという。多くの人から刺激をもらうためにTikTokでの配信も始めるなど、今年に入り活動の場を広げている。
「『文春オンライン』での写真が、俳優時代とすごくギャップがあったみたいで、太ってからのほうが仕事は増えていますね。今年の8月には仁科克基くんプロデュースの朗読劇にも出させていただいたし、この体形を活かしたダイエット企画にも挑戦中です(笑)。TikTokは静岡県外の視聴者も多いので、なかなかお店に来ることができない人のために今回オフ会を開くことにしたんです」
バーの店長ということもあり、生活はすっかり昼夜逆転。
「夕方の6時ごろに店に入り、朝5時ごろまで勤務。閉店してから朝7時ごろまではTikTokの配信をしているし、その後もドラマなどをチェックすると朝9~10時ぐらいになってしまう。そこから寝るので起きるのは夕方前。こんな生活をしているので、今は彼女もいません」
恋愛からは少し遠ざかっているが、決して寂しくはないという。
「今は恋愛より友達の輪を広げるほうが楽しいですね。TikTokを始めたときは“47都道府県に彼女を作る”と宣言したのですが、47都道府県に友達を作ってどこに行っても楽しめる環境を作れたらいいなと思っています。オフ会も友達づくりの一環。12月にも大阪でオフ会を行うので、興味を持ってくれた方は男女関係なくぜひ遊びに来てください!」