昭和、それはアイドルの時代――。
そんなアイドルたちも令和の現在ではアラフィフ・アラ還世代以上になり、昭和後期に活躍した“アイドル四天王”こと、中山美穂と浅香唯、工藤静香は52歳のアラフィフ世代、南野陽子は55歳のアラ還世代になった。
当時から美しく、今なお美人顔である4人だが、9月19日に放送された『しゃべくり007』(日本テレビ系)で久しぶりに地上波に出演した中山美穂は、「変わらず美人だけど印象が変わった?」と、少し雰囲気の変わった様子がネットで話題に。
浅香唯は2年前にライザップのCMで9kg近くのダイエットを公開し、最近出演した音楽フェスでも元気な姿を見せるなど80年代アイドル枠で活躍中。
工藤静香は娘2人と一緒に熱心に芸能活動中だが、10代の頃と変わらない超スリムなスタイルを維持し、一番年齢は上の南野陽子はマダム感はやや漂いながらも、品の良い美しさを保っている。
そこで今回は80年代に大活躍した「昭和アイドル四天王」たちの美の秘訣をリサーチ。
美容整形外科『銀座高須クリニック』の若佐文医師にアンチエイジングや若見え美容整形術などを伺いました。
“アイドル四天王”の若見え具合をチェック!
――昭和・平成・令和と、三世代に渡って今なお活躍されている中山さん、浅香さん、工藤さん、南野さんですが、ズバリ、今尚お若く見えるビジュアルを保たれているのはどなたでしょうか?
若佐先生「一番お若く見えるのは、肉付きや骨格、顔のパーツで判断すると浅香さんですね。次いで丸顔の南野さん、そして少し顔が骨っぽくなった中山さん。最後は、10代の頃から大人っぽい顔立ちの工藤さんですが、変わらないという意味では維持されているのかもしれません」
ダントツ若見えの浅香唯
――確かに浅香さんは、少し太ったというときも体格の変化は見えましたが、お顔は変わらない、張りのある印象です。
若佐先生「頬はしっかり、お肉が張っており、でも、もたつきや疲れを感じさせる二重あごはなく、シャープなフェイスラインが保たれている。例え体重が増えてもこのメリハリのあるフェイスラインがあれば若く見えます。
それに口角がキュッと上がったハッピーフェイスなのもすてきです。それと、笑顔でもほうれい線とマリオネットラインが繋がらず、これも老け見せない大事なポイント!」
――シワだけでも悩みなのに、つながるかも大事なんですね……。
若佐先生「あとは目元もぱっちりされていて、二重のラインも綺麗ですね。やはり彼女は痩せすぎず太りすぎずの体型をずっと保っており、健康的な体重であることが結果的に美容にも良い効果をもたらしたのだと思います」
――なるほど!中年以降はつい体重を計っては増えたことに一喜一憂しがちですが、問題はフェイスラインやハリなんですね。
若佐先生「30代を過ぎれば少し太って当たり前ですし、それが肌のハリを保つためのクッション役になりますから。なので“太ったからとにかく痩せなきゃ!”と焦るのはアラサー以降では間違い。逆に老け顔を作ってしまいます。そういう意味では少しぽっちゃりした浅香さんと南野さんは、正解だと思います」
南野陽子のチャームポイント“ほくろ”
――南野さんは浅香さんの次点でしたが、その差はどのようなものでしょうか?
若佐先生「ほうれい線がやや目立つのと、フェイスラインも40代の頃に比べるとボケてきている印象があるかな。でも少し目立つ程度なのでので、たまにウルセラ(HIFU)などで引き締めてあげるとより若々しく見えると思います。
ほうれい線も不自然にならない程度にヒアルロン酸など注入してあげるといいかもしれませんね。しかし、ほうれい線などを全部消してしまうとのっぺりした、『いかにも注入顔』になってしまうので、あまり気にせず、ドクターのアドバイスを聞きながらが、少しずつ様子を見る程度でいいと思います」
――たしかに、やりすぎてパンパンになってしまう方もいますね。
若佐先生「それでは逆に変な印象になってしまうので、少しのシワは気にしない程度でいいと思います。それにほうれい線は表情の動的なシワなので、にっこり笑ったら絶対にできるものですから、全部なくすというのはかえって変! 若干のシワを残すことで自然な美に仕上がりますよ」
――ちなみに、南野さんのチャームポイントである顎のほくろですが、歳を重ねていってだんだん大きくなっているような……?
若佐先生「はい、ホクロって年を経るごとに大きくなるんです。平坦で小さいホクロだとチャームポイントですが、5mmを超える大きさになったり、膨らみも出てくると、それが逆におばさんぽく見えてしまうという場合もあるので、悩まれている方は小さくしたり、取ってしまうのも良いかもしれません」
――ホクロもアンチエイジングの対象なんですね。ところで話はまた「体重」に戻りますが、中山さんは元々お痩せになってましたが、さらに痩せたというか、顔がこけて見えますが、これはダイエットによるものでしょうか?
若佐先生「ダイエットで体だけでなく、お顔の脂肪も落ちた可能性はありますね。20代の印象は美女、30代は妖艶……40代をさかいにメディア露出が復活したあたりからなんとなく骨っぽさが目立つようになった印象です。
特に頬骨が目立ち、鼻筋がくっきりと少し骨ばった印象を与えます。元々目鼻立ちがハッキリされていてお綺麗なのですが、骨っぽさが目立つと、老けた印象に繋がることがあります」
――確かに、太った痩せたではなく骨っぽさが目立ちますね。
若佐先生「人間って体型にかかわらず、歳を重ねると脂肪が落ちてきて、骨のボリュームも落ち、全体的にたるみが目立ってくるものなんですけど、脂肪が落ちてきたことにより、骨っぽさ、特に頬骨が出てくることでやつれた印象に見えてしまう。
先日のテレビ出演では骨っぽさは目立つけれども、フェイスラインやお身体は少し太って見えたので、視聴者のみなさんに変わった印象を与えたのではないでしょうか」
――顔は痩せるけど、骨は目立つ! 確かに若見え1位の浅香さんは頬がふっくらとしてますね。
若佐先生「鼻筋の骨っぽさ、頬骨の骨っぽさ、目周りや眉毛の部分の凹みなどが目立つと一気に老けて見えます。“赤ちゃん顔”を究極の若見え顔とするなら、やはり凹凸の少ない丸い輪郭は若く見える秘訣。年齢を重ねると目鼻立ちよりも輪郭がパッと見の印象を決めます。そういった点で浅香さんは欠点がないように思います」
――そういった意味では浅香さんは、先生が以前おっしゃっていた白銀比(※)に当てはまりますか?(※日本のカワイイカルチャーの象徴・ハローキティや木造建築物である法隆寺の金堂や五重塔にも使われている比率のこと。縦横のバランスが1:1.4の比率)
若佐先生「そうですね。浅香さんは白銀比そのもので、日本人がかわいいと思う比率になっています。そもそも白銀比は年齢をあまり感じさせない比率ですし、南野さんもどちらかと言うと白銀比よりのお顔立ちです」
中山美穂タイプにはボリューム感UPがおすすめ
――とは言え、中山さんはアイドル時代トップクラスの美しさで、私も美人だなと憧れていました。もし、中山さんタイプの女性がなにか対策をするなら、どのような方法がありますでしょうか?
若佐先生「こめかみや頬骨の下など、骨のボリュームが減っている部分に骨膜状にヒアルロン酸を注入し、自然にリフトアップ、ボリュームアップしてあげるのがいいと思います。カクッとしてる部分をなくして、お顔全体をスムーズに卵型に繋げるイメージです。
まぶたも少し垂れて重たげに見えるので、少し二重の幅を広げてあげたり、サーマクールアイなどで皮膚を引き締めるのも効果的ですね。あとは二重顎の部分をウルセラ(HIFU)などでキュッと引き上げてあげるのがいいかな」
――もたついた部分を思い切って脂肪吸引するのはいかがでしょうか?
若佐先生「脂肪吸引は適応かどうかをしっかり見極める必要がありますね。脂肪は財産ですからとりすぎは要注意です。特に頬の脂肪吸引は慎重に判断する必要があります。過剰に取ってしまうと、かえって顔がこけてしまいます。
少しだけ脂肪を減らしたい程度でしたら、脂肪溶解注射などで徐々に減らしていくといいかと思います。中山さんは、もともと目鼻立ちはしっかりされている方なので、輪郭を整えるだけでだいぶ変わると思います」
――ちなみに「人中が長いと老けて見える」と聞いたことがありますが、それは本当ですか?
若佐先生「鼻から下が長いタイプの面長な顔は確かに老けて見えやすいです。特に人中が長いと締まりがない印象になります。若い時は大人っぽくて色っぽいのですが、中山さん、工藤さんも面長なタイプですね」
――人中を短縮する方法はありますか? できれば手軽なものも教えてください。
若佐先生「手軽にしたいという方は、『人中を短縮するボトックス注射』や『上唇に少しヒアルロン酸を注入』する、注入系の方法で人中を狭く見せることができますよ。もっとしっかり結果を出したいという方はやはり切開が効果的ですね。皮膚はあまりとらずに中の筋肉をしっかり引き上げてあげると傷跡も最小限に抑えられます」
――注入系でできるなら私も試してみたいです! では、10代から大人顔だった工藤さんの顔タイプはいかがでしょうか?
若佐先生「彼女もとてもおきれいですが、サーフィンがご趣味ということで、それによる日焼けが肌の老化を進めているように思います。老化の原因の70%は“光老化”といって太陽が原因なんですね。アウトドア好きの方は光老化が進んでいるため、皮膚が薄くなって、シミが多く、シワっぽくみえがちになります」
老化の一番の原因は紫外線!
――やはり紫外線対策は大事なんですね。
若佐先生「紫外線対策は誰もが手軽に毎日できる、最大のアンチエイジング策だと思います!それと、工藤さんは口元横の緊張が強いタイプですね。これがほうれい線とマリオネットラインが繋がると、とても老けた印象になります」
――デビュー時から口横に少し表情シワがあった印象ですね
若佐先生「他の3人にも『ちりめんジワ』と言う、細かくて浅いシワはありますが、それに比べ、工藤さんは深いシワがあるように見えます。これは60代になるとより深くなってしまうので、老け見えには要注意です」
――工藤さんは昔から細く、スタイルが良いですが、同時に顔の脂肪があまりないように見えます
若佐先生「年齢を重ねると脂肪がないことは老けに直結してしまうので大問題です。そもそも、ちょっとぽっちゃりしている人でも年々顔の脂肪も骨も痩せてきます。そういった意味では『脂肪は財産』なんです! 脂肪がなくなるとハリ感がなくなり、シワっぽい感じにますます見えてしまいます」
――とは言え、痩せ型の方は元々脂肪が少ないので難しいですよね。工藤さんのようにスリムな方をお若く見せるにはどうしたら良いでしょうか。
若佐先生「ボリューム不足、こけている部分に脂肪注入やヒアルロン酸を注入し、ふっくら見せたり、糸リフトで引き上げるのも良いかもしれませんね。紫外線で乾燥が目立つシワっぽいお肌の質感を変えるのであれば、幹細胞の中にある成長因子を細かく細かく水光注射やポテンツァで打ち込んであげると打ち込んであげると、お肌自身がふっくらみずみずしい印象に蘇ります」
――かつて日焼けブームなどありましたが、若い頃の肌管理って大事ですね
若佐先生「とはいえ、元アイドルの方もこれを読んでるみなさんも、今この瞬間が一番若いので! 今からでもしっかりUVケアをしましょう!これから冬本番ですが、夏以外も日焼け止めはマストですよ!」
今回お話を伺ったのは……
若佐文(ワカサ アヤ)先生:
久留米大学医学部卒業、久留米大学病院、久留米大学医療センター、嬉野医療センターに勤務。その後大手美容外科クリニック渋谷院院長を経て、令和4年より銀座高須クリニック勤務。二重整形くま取り等目周りの施術が得意。その人の美しさを最大限引き出すため丁寧なカウンセリングを行っている。日本美容外科学会会員。