ドラマ新『クロサギ』で主演の平野紫耀(左)前作で主演の山下智久(右)

 10月21日TBS 系ドラマ「クロサギ」新シリーズが始まった。主演のKING & Princeの平野紫耀は素顔の“天然キャラ”を封印し、詐欺師を騙す詐欺師「クロサギ」を熱演している。

 憂いを秘めた瞳とハスキーボイスが役柄にぴったりと好評で、平均視聴率(関東地区、ビデオリサーチ調べ・以下同)は世帯9.2%、個人5.3%だった。順調な滑り出しだ。

「クロサギ」は2003年から週刊ヤングサンデー(小学館)原作・夏原武、作画・黒丸で連載を開始し、以後「新クロサギ」「新クロサギ完結編」とシリーズ化。

 詐欺師に騙されたことで一家心中に追い込まれた主人公が「クロサギ」と名乗り、金銭を餌にしてだます騙す「シロサギ」、男女関係を餌にして騙す「アカサギ」を標的に被害者の金を取り戻すというサスペンスドラマだ。

前作・クロサギと比べられる

 一方、2007年に放送された山下智久版と比べて「平野には山Pのような影が足りない」「全体的に軽い感じ」と何かと前作と比較される声も多いようだ。

 ヒロイン・吉川氷柱演じる黒島結菜(25)も“問題作”といわれたNHK朝ドラ『ちむどんどん』の印象を引きずっているのか、ネット上ではどこか軽い印象を受けると厳しい声が。

「黒島結菜は目の表情や演技力がやっぱり無かった」

「怖いくらいに無表情」

「山Pと堀北に比べると華もないし、なんでリメイクしたんだろう感」

「川口春奈は帰蝶様もネーネーも紬もそれぞれキャラ確立してたのに、黒島結菜は変わりませんでした。」

 ちむどんどんでも恒例になっていた「#ちむどんどん反省会」のハッシュタグをつけてドラマの辛口意見が書き込まれていたが、クロサギでも「#クロサギ反省会」なるものが登場している。

黒島結菜を擁護する動き

 誹謗中傷とも取れる反省会タグの増加で、ファンからも抗議の動きが見られる。

「クロサギ面白かったしみんな演技上手かったと思うけど。何を反省するの?w」

「#クロサギ反省会とかいうタグわざわざ作っていちいち追いかけて叩いてるお前のこと誰が好きなん?」

 あるファンは「事務所に対して要望を送りました。」と続き、

「今、メディアや一部のネット民が黒島結菜さんに対して行っている事は明らかなイジメ嫌がらせ行為であり、有名税なんて言葉では到底許されることではありません。」

「#ちむどんどん の時点でも異常でしたが、黒島結菜さんへの非難や誹謗・中傷が次の作品(舞いあがれ/クロサギ)にまで流出している現状に耐えられなくなったので、微力ながら彼女の事務所に守っていただけるようお願いをしてきました。」と、黒島への批判に対し擁護する意見も多い。

黒島と対照的な主演・平野紫耀への評価

「天然キャラのイメージがある平野さんが、ダークサイドの多いクロサギを演じきれるのか不安視する声もありましたが、そのギャップがハマった感じがします」(テレビ局関係者)

 ネット上の声を見ても、自然な演技に絶賛の声が集まっている。

「クロサギで初めて平野紫耀さんの演技を見ましたが、コロコロと表情が変わる掴みどころのない役をとても自然に演じていて驚いた」

「平野紫耀ってこんなに演技うまかったっけ?って本当に驚いた。

「平野紫耀の演技スッと見れて好きだな〜」

 前作・山Pの奇妙な雰囲気とは異なり、人間味溢れる平野の演技に今後も注目したい。

実はチャラかった。山Pと堀北の幻影

 リメイク作は常にオリジナルと比較される宿命にあるということだ。

 この頃の山Pは本人の弁によるとイヤイヤ期。事務所社長のジャニー喜多川のアドバイスも聞かずほとんど疎遠だったという。

 現在は小説家として活躍する木皿泉さん脚本の「野ブタ。をプロデュース」では、まじめなのに浮いている彰の設定を、台本を無視してチャラ男に変換して、そのまま最終回までやりきった。

 旧「クロサギ」にもその名残りがあり、山Pはアドリブを連発していたが、共演の山崎努の教えもあり、そのころからやっと演技に真剣に取り組むようになったという。

 その後は、『コード・ブルー』『アルジャーノンに花束を』などのシリアスな役で演技派のイメージがついた。ちなみに山崎と山Pの師弟関係は現在も続いており、今年放送された「クロサギ」と同じ作者の夏原武原作の「正直不動産」(NHK)でも再共演を果たしている。

 さらに平野の課題は特殊な専門用語が並ぶセリフを覚えること。

「サンデー毎日」では、もともと横文字が苦手で、台本を開いたら分からない言葉だらけで苦戦していると語っている。

昨日もリビングを2時間ぐらいぐるぐる歩きながら、ずっと台本を音読していました。先日の撮影でも、セリフをきちんと覚えて完璧な状態で現場に行ったはずが、一晩寝たら全然出てこなくて、かなり焦りましたね」とセリフ覚えに苦戦しているようだ。

 一方、山Pは「正直不動産」の撮影現場では、台本を一切見ずに完璧に不動産用語を覚えていたという。

「金田一少年」に続きジャニーズが引き継ぐドラマになるか?

 初代・堂本剛、二代目・松本潤と、歴代「金田一少年の事件簿」(NTV)は今年、「なにわ男子」の道枝駿佑が五代目となってその歴史が受け継がれた。原作の「金田一少年」のシリーズは現在「金田一37歳の事件簿」として、大人になった金田一一の物語が続いている。

 一方、「クロサギ」の方は「クロサギ・再起動」(ビッグコミックスピリッツ)が9月から連載スタートしている。

 こちらの場合は「名探偵コナン」方式で、最新の詐欺手法を紹介しながらも、クロサギや氷柱の年齢はずっとかわらないままだ。

 この世に詐欺師がいるかぎり、時代を経てもまた新たなクロサギが登場するかもしれない。

 
高良とスーパーに向かう足取りは軽く、黒島はウキウキした様子だった
5月上旬、スーパーのレジで寄り添いながらお会計をする黒島と高良

 

『花のち晴れ』撮影の合間に監督と一緒にモニターをのぞく平野紫耀

 

杏の自宅で料理をしたあと、庭でくつろぐ黒島結菜(本人YouTubeより)

 

ドラマの撮影に臨む平野紫耀(18年『花のち晴れ』)

 

『ちむどんどん』を最後までやり遂げた黒島結菜