11月4日から映画『窓辺にて』(今泉力哉監督)が公開される。第35回東京国際映画祭のコンペティション部門にも選出されたこの作品で、主演を務めた稲垣吾郎にインタビュー!
映画『窓辺にて』主人公に共感
稲垣が演じるのは、妻の浮気に思い悩む主人公・フリーライターの市川茂巳だ。
「今回、演じていて共感がすごく多かった。具体的に言っちゃうと、茂巳は妻の浮気にではなく、“浮気されてもショックを受けない自分”に思い悩むんです。その部分にかなり共感しちゃいましたね」(稲垣、以下同)
おお、いきなりの核心トークがキター!?
「まぁ主人公とちがってボク自身は独身だし、結婚観は相変わらずですけど。結婚はね、今後したくなったらしますよ。あ、もう遅いかな?(笑)」
取材班が聞きたいことをサラリと明かす、オトナなゴロさん。ありがとう! 役柄に話を戻すと……。
「いままでね、役に共感するって意味がわかんなかったんです。過去によく“役と稲垣さんの共通点は?”って聞かれたけど、共通点なんかないよ。(舞台『No.9-不滅の旋律-』で演じた)ベートーベンの気持ちなんかわからないし(笑)」
映画『十三人の刺客』で演じた“人殺しのお殿様の気持ち”なんかわかるワケないよね、とゴロさん。
「だって共感する必要もなかった。職業として、役者をやっていたから。だから今回はビックリしました! あまりにも茂巳がボクだったから」
本作は今泉監督のオリジナル脚本だ。
「描かれているのは監督の中にもある気持ちだったみたいで、監督とはすごくわかり合える気がしました。そうやってわかり合うのが正しいことなのかはわからないけど……」
主人公に共感が強かったせいか、ゴロさんと茂巳のフィット感たるや……!
この気持ちは自分だけじゃないって思う
「“他人に理解してもらえない人の気持ち”ってあるじゃない。ボクにはすごくある。この映画ではそれを描いていて、そこがわかる人にはたまらない映画なんです。“この気持ちって自分だけじゃないんだ”って思えたら好きになれると思う。
強いメッセージで力を与えたり、救いや癒しを与える作品じゃない。ただ好きになってもらいたい。ボクが好きな作品だからかもしれないけど」
「夫婦で語り合う12分くらいの長~い1カット! ボクの顔はほぼ映ってない。12分間、横顔くらいと背中だけ(笑)。でも、カメラを意識せずに演技ができたから、それがよかったのかも。あと、セリフに力があった。言葉の力って大きいです」
光のきれいさも見どころのひとつ。
「光の入り方は本当にきれい。ヨーロッパ映画みたいな色合いもいい。ボクね、年齢とともに“光”をすごく意識するようになった。光の大切さを感じて生きてる。趣味で写真をやっているせいかもしれないし、植物が好きなせいかもしれないけど。今いるスタジオの光も、カーテン越しの光も、順光も逆光も。雲の切れ間から出る薄明光線
……天使のはしごに感動したり、木漏れ日を追って散歩したりね」
映画では冒頭から美しい光のシーンがあるので、どうぞお見逃しなく!
限りなく“稲垣吾郎み”強めの魅力的な主人公・茂巳に会いに、ぜひ一度は映画館に足を運んでみて!
「最近のゴロさん」は?
Q.本作では元小説家でフリーライターの役どころ。最近読んだおすすめの本は?
仕事で本を読むことが多くて、それに追われてしまうけど、プライベートでは『同志少女よ、敵を撃て』が面白かった!本を読むのは朝とか午前中。そのほうがセリフも覚えられるし、活字は朝で夜は寝る派(笑)。夜、本読んで寝落ちとかあんまりないですね~。仕事モードになっちゃうからかな?
Q.カメラが趣味のゴロさん。作中で出てきたカメラは私物?
私物で撮ろうと思ったら、現場で壊れちゃった!だから(スタッフの)スチールカメラマンさんに借りて撮りました。フィルムカメラは好きですね。解像度バキバキじゃなくて、アナログ感があって雰囲気がいい。雑な言い方をすると“エモく”なるじゃない(笑)。
監督もフィルムが好きで、この映画も35ミリフィルムで撮ってるんですよ。
Q.パフェを食べるシーンや、パチンコを打つシーンも。プライベートでは?
甘いものは食べないですね、甘くなければイケるかも……いや、稲垣吾郎がパフェを食べるとか、パチンコをやるとか、違和感しかないでしょ~!(笑) ボクも初めてスクリーンに出る人間ではないので、今回はこの異和感もひそかな見どころかも。監督らしいコミカルな表現を楽しんで。ほかにも、スゴイ場所にいるボクが見られますよ!
美しく、ちょっぴりおかしい大人のラブストーリー。編集者である妻は、人気の若手作家と浮気をしている。そのことを知りつつ過ごしていたが、ある日、高校生作家の久保留亜と出会い……。
監督/今泉力哉 出演/稲垣吾郎、中村ゆり、玉城ティナほか