今市隆二 撮影/矢島泰輔

「コロナ禍を経験して、人と会うということが本当に大事だと感じました。インターネットを通してつながることはできるけれど、直接触れ合って話さないと真意が伝わりにくいことが多いように思ったんです」

 三代目 J SOUL BROTHERSのボーカルとしてデビューして12年。ソロプロジェクトをスタートさせて約5年がたつ今市隆二。

“密なライブ”をしたかった

 グループとしても、ソロでもドーム、アリーナクラスのステージに立ち続けてきた彼が、今年6月からソロでのホールツアー『RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2022 “R
ILY'S NIGHT”』をスタートさせた。会場には親子、友達……、幅広い年齢の男女が集まってくる。

「自分でも驚きました。小さいお子さんからご年配の方。男性も多く来てくださって。ライブ中、会場のみなさんの中から抽選で選ばれた方の質問にお答えするトークコーナーを設けているのですが、特に印象に残っているのが70代のおばあちゃん。

 “ずっと応援しています”という言葉から熱量がすごく伝わってきました。旅行も兼ねてか、あえてご自宅から遠いライブ会場を選んでチケットを購入してくださっているらしくて。“来年は、来られないかも”“そんなこと言わないでください”なんていう会話を誰かを介してではなく、直接できて本当にうれしかったです

 “密”になることが許されない時間を過ごしてきたからこそ、少しでも客席との距離が近くなる“密”なライブをしたかったと言う。

「自分から出向いて全国のみなさんに会いに行くということを今回のツアーのテーマにしています。正直なことを言えば、最初、会場のみなさんの質問に答えたり、サインをしたポスターをプレゼントするコーナーを設けたりすることにピンとこなかったんです。

 これまで続けてきたライブでは、それぞれのステージの世界観を、起承転結をつけて届けてきました。今回のライブは、そういったステージとは違うので。でも、周囲の評判も良くて。やってよかったなと思っています」

 会場に集まったファンの質問には、恋愛や結婚についても。

「わりと聞かれましたね(笑)。どんなタイプが好きですか?とか。笑顔がすてきで、明るい方って答えたのかな。ごめんなさい、ちょっとおぼえてないです(苦笑)。仕事でも、どんなことでもいいのですが、リスペクトできる女性はすてきだなと思います。それと、料理が上手に越したことはないですよね(笑)」

ソロツアーで出くわした三代目メンバー

 三代目JSB、ソロ活動の楽曲ともに制作にも参加している。11月2日にリリースする4枚目のソロアルバム『GOOD OLD FUTURE』の収録曲でも、作詞・作曲を担当している。

「アルバムのタイトル“GOOD OLD FUTURE”は造語で、“古き良き未来”という意味です。日本の音楽シーンやファッション、カルチャーが大きく変わっていくなかで、もともと好きだったヴィンテージに、より惹かれていく自分がいました。

 それは、古き良きものが、再評価されながら輝き続けていると感じたから。今回のアルバムを制作するうえで一度、原点に立ち返る。リバイバルすることで新しいものを生み出せる。であれば、改めて自分が好きなものをやるべきだと。だから、全体的にR&Bのエッセンスをちりばめています」

 リード曲のスローバラード『CASTLE OF SAND』は、作詞で参加した。

今市隆二 撮影/矢島泰輔

「求めれば求めるほど、砂の城のように崩れ去っていく。大人の恋愛を表現しました。実体験ではないです(苦笑)。これまでなかった、砂漠をテーマにした曲ですね。この『CASTLE OF SAND』は6/8(ハチロク)ビートといわれるリズム。ソロデビュー曲の『ONE DAY』も同じビートです。そういう部分にも“原点回帰”なところがあります

 三代目JSBのステージでは見ることができないダンスも披露しているソロツアーは、アルバムを意識したセットリストに変え第二章に突入。12月7日の神奈川県民ホールまで続く。三代目JSBメンバーもこれまでの会場に足を運んでいる。

「健ちゃん(山下健二郎)が京都公演に来てくれましたね。あと、東京公演で偶然、登坂(広臣)とエレベーターで会いました。今回のライブは誰かを意識することなく、自然体でいたいので、メンバーたちが来ることを事前に知らせないでとスタッフに伝えてあります」

グループの中でいちばん落ち込むタイプ

 メンバーのソロ活動は、おのおのが自身の未来を見据えながら、挑戦したいと思うことを表現している。

「それぞれの活動については、ファンのみなさんと同じタイミングで知ることも多いです。“シングル出すんだ”とか。岩ちゃんもソロでアルバムをリリースして、ツアーが始まりますよね。やりたいと思っていたことだと思うので、応援したいです」

 年が明ければ、グループ活動がスタート。改めて、表現者・今市隆二として進む道がどんなものか聞くと、

「続けられるまで、歌い続けたい。それは、昔から変わらないです。自分の歌、声、生きざまに触れ、支持して応援してくれる人がいる。そういう方々に向けて発信し続けていくことがいちばん重要だと思うので、努力し続けたいです」

今市隆二 撮影/矢島泰輔

 活動していく中で、心が折れそうになることもあると言う。

「何度もくじけそうになりました。でも、折れない決意をしている自分がいます。“グループの中でいちばんドーンと落ち込む”と言われながらも、その出来事に正面から向き合い、耐えながら早く立ち上がる強さを身につけてきた。だから、この12年ステージに上がり続けることができたと思う。振り返って、感謝している経験もありますよ。それと、こうして折れなかった自分を、少し誇ってもいいかなとは思っています」

大好きな野球 
 最近は、野球できてないですね。もともと、自分が身体を動かしたいから始めたチーム(監督を務める草野球チーム『中目黒リュージーズ』)なんですが、もう少ししたらちょっと動きがありそうです。ただ、東京ドーム(での試合)を目標にしていることは変わらない。メジャーの大谷翔平選手は、すごいですよね。歴史上の人ですから、カッコよすぎる。同じ時代を生きることができてうれしいです。

今回のツアーで取り入れたこと
 
ランニングですかね。ランニングで汗をかきまくると、心身共に健康になる。汗をかくって、マジでいいですよ。日ごろから汗を流しているダンサーやスポーツ選手に、性格が明るい人が多い気がする。それって、汗をかいて運動していることが影響しているんじゃないかと思っています。

ニューアルバム『GOOD OLD FUTURE』11月2日リリース【CD+DVD(スマプラ対応)】4950円【CD+Blu-rayDisc(スマプラ対応)】4950円【CD(スマプラ対応)】2750円
 

 

今市隆二 撮影/矢島泰輔

 

今市隆二 撮影/矢島泰輔

 

コンセプトライブ『RYUJIIMAICHICONCEPTLIVE2022“RILY'SNIGHT”』東京ガーデンシアター