テンポがよくて、痛快。『ファーストペンギン!』の評判が上々だ。
へこたれない、ひるまない主人公を熱演
「漁業を扱うドラマってすごく珍しいので、どんなふうに届くかなと思っていたんですが、放送が始まってみると、漁業の世界とともに、主人公の和佳(奈緒)の言動にもすごく興味を持ってもらえていて。“勉強になる” “ファーストペンギンに自分もなりたい”という反響は、すごくうれしいですね」
寂れた港町に移り住んだシングルマザーの和佳は、漁師の片岡(堤真一)から浜の立て直しを頼まれる。漁業協同組合や仲買を通さない鮮魚直売“お魚ボックス”を提案するも、古い慣習の中で生きる漁師らは外圧を恐れ、おじけづく。そんな中“イカレドタコ!!” “クソひょっとこ!!”と入れた喝は初回から話題に。
「あははは。ただ、和佳はいつもそんな性格ではなくて。出会った新しい世界で、自分の志のもと“やる!!”と決めたことのためにあそこまでやった。私自身、すごく心が動かされるところでした」
誰に手のひらを返されようともへこたれない。どんな壁にもひるまない。和佳の愚直なまでの頑張りは漁師たちの心を少しずつ動かし、お魚ボックスは軌道に乗り始めたかのように見えたが……。
「和佳は決してスーパーウーマンではなくて。心が折れるのは自分がひとりだと思ってしまったときだし、子どもや仲間……大切の人やもののためなら強くなれる。これからも、怒濤の展開が毎話待っていて。
次回(5話)は片岡さんの過去と抱えているものが描かれると同時に、琴平先生(渡辺大知)の謎も明らかに……!! お魚ボックスに関わっていく人たちのつながりを、温かく見守っていただけたらうれしいです」
連ドラの撮影中とあって、多忙な日々。
「毎日帰宅すると喜んで迎えてくれて、朝も眠そうなのにちゃんと玄関まで見送りにきてくれて。夜は一緒に寝ています。何よりの癒しです。ウチで飼ってるチワワ(♀・3歳)なんですけど」
“ウオタニサン”に癒される日々
その名も“魚谷燦”。魚の字は、今作に関係が!?
「いえ、そのずっと前につけた名前なんですが、改めてすごい運命を感じています(笑)。それに、ウオがウチに来てくれてから、私の運気は上がっている気がしていて。だから今作もウオが運んできてくれたんじゃないかって、母は言ってます(笑)」
ドラマのタイトルになっている“ファーストペンギン”。最初に行動した1羽に皆が続くペンギンの習性から、リスク承知で未知の領域に挑戦する人を意味する。勇気を出して飛び込んだ経験を尋ねてみると、
「やっぱりこのお仕事ですね。17歳でスカウトされたとき、母は私の性格を知っているうえに、このお仕事を怖がって反対したんです。それでも“やりたい!!”と思ったのは初めてだったし、今、飛び込まなかったらもうチャンスはないと思って」
そんな勇気の決断から10年。本作で民放GP帯連ドラ初主演を果たしている。オファーを受けたときには、
「“私がやっていいの?”というか。目標にするのもおこがましいくらいでした。でも将来、もし子どもができたときに“お母さんね、水曜夜10時のドラマの主演やってたの”って言えるのかな、とも思って(笑)。子どもに“お母さん、すごい”って言ってもらえるのかな、なんて想像を巡らせて。それはすごく大きかったと思います。
今は、作品の真ん中に立たせていただき、現場全体で一喜一憂できる日々が楽しすぎて、一生懸命すぎて。この作品を走り終えた自分の中には、ものすごく前向きなものができあがっている気がします」
そして息子・進(石塚陸翔)が可愛くてたまらないと目を細める。
「母性本能、すごく刺激されています(笑)。いつかはカッコいいお母さんになりたいですね。やっぱり、和佳は相当カッコいいお母さんだと思うので。
私自身、今は母親と一緒に住み、娘を思いっきりやっているんですけど。将来は母が今、自分にしてくれているように、時には子どもの支えとなり、時には送り出してあげる……そんな関係性を築けたらいいですね」