11月21日(現地時間は20日)に開幕するサッカーワールドカップ(以下、W杯)カタール大会に臨む、日本代表メンバー26人が選出された。大迫勇也選手(神戸)や原口元気選手(ウニオン・ベルリン)らの落選はあったものの、森保一監督が選んだのは順当とも言える面々、のように見えたのだが……。
発表会見直後より、ネット上では“森保ジャパン”にケチをつけるかのような猜疑の目が向けられることに。
「選手のサプライズ当落と同様に、毎回ウワサされる“スポンサー枠”ですね(苦笑)。サッカー協会のスポンサー企業が契約する、また広告代理店などが“推している”選手が優先されるという“都市伝説”ですが、今回槍玉にあげられたのが南野拓実(モナコ)と、柴崎岳(レガネス)。
2人に対して、“説得力のない人選があるのは事実”“結果出した選手に譲って”などと、森保監督の人選を疑うような声が上がっています。さらに南野選手に至っては、元代表の内田篤人さんも予想メンバーから外していただけに、ある意味“サプライズ”だったということでしょう」
スポーツ紙・サッカー担当記者が明かした「スポンサー枠」は、一時はツイッターのトレンド入りするほどの騒ぎとなり、かつて『FC東京』などでプレーした、元U-21日本代表の幸野志有人選手(現オーバーノイラント)が反応。
《スポンサー枠だとか言ってる暇な声だけデカい馬鹿ばっかりで本当に醜いですね。》と自身のツイッターでネット民を煽ったことで、さらに火に油を注ぐ事態となった。
そんな最中の11月3日、選手がW杯で背負う背番号が発表される。渦中の南野拓実選手がエースナンバー「10番」を、そして柴崎岳選手に託されたのは、中田英寿や遠藤保仁ら歴代の中心選手が背負った「7番」だった。
アディダス契約の選手が「10番」
「南野選手も柴崎選手も、これまで代表でつけてきた番号、という意味では理解できる面はあります。ですが、本戦でのスタメン予想には名を連ねない両選手。特に“10番”がピッチに立たないのは寂しいものがあり、ならばスタメンが期待される鎌田大地選手(フランクフルト)に、というファンの気持ちもわかります。
ここでまた疑念を持たれるのが“アディダス枠”。“10番は同社の契約選手に背負わせる”という“スポンサー枠”と並ぶ都市伝説ですが、南野選手の背番号はこの忖度を目立たせてしまった格好ですね」(前出・スポーツ紙記者)
南野選手は2022年現在、アディダス社と契約を交わしている。
そんな、にわかに騒がれる“スポンサー枠”説に拍車をかけたのが、かつて日本代表を率いたバヒド・ハリルホジッチ氏だ。2022年4月にサッカー情報サイト『Football Tribe Japan』が配信した記事によると、同氏がクロアチアメディアのインタビューに応えた際に、2018年ロシア大会直前での解任劇についても話したようだ。
《大物選手たちと契約しているスポンサーが、私が(彼らを)ワールドカップに連れて行かないかもしれないと聞いていたのだ。それにそのスポンサーは日本サッカー協会に出資していた。日本では、お金を出す人が物事を決めるんだ。だから、私が一部の選手を(ロシアW杯に)連れて行かないかもしれないという話を聞いて、私をクビにした》
つまりは“スポンサー枠”の選手を代表メンバーから外そうとしたところ、ハリルホジッチ氏は日本代表監督の座から下された、と訴えたのだ。
「当時は、解任劇には“ビジネス絡み”の情報も錯綜していました」とは、サッカー事情に精通するスポーツジャーナリスト。
“スポンサー枠”とされた香川と本田
「そのハリルから外されそうだった選手というのが、10番を背負っていた香川真司と、“キング”として君臨していた本田圭佑だったと聞いています。4年に1度開催されるW杯はもはやイチスポーツ大会ではなく、オリンピックと並ぶ、いやそれ以上に世界から注目されるビッグマーケットの見向きもあります」
もちろん、ハリルホジッチ氏にしてみればチームの勝利を最優先とする、また自身の戦術を世界にアピールする場として捉えていたのだろう。“ビジネス”はもちろん、周囲の意見を聞き入れることはなかったようだ。
「ただ、スポンサーは趣味でチームや協会に出資しているわけではなく、ビジネスとしてリターンを求めるのは当然のこと。ハリルの後を急きょ引き継いだ西野(朗)さん、そして後任の森保さんとサッカー協会関係の日本人が監督に就いたのも、田嶋幸三会長をはじめとした、協会の忖度が働いた結果なのかもしれませんね。
“スポンサー枠は絶対にない”とは言い切れない部分もありますが、南野選手や柴崎選手がチームに必要ない選手とも思えません。本戦で苦境に立たされた時、“彼らがチームを救ってくれる”との判断で選ばれたと信じましょう」(同・ジャーナリスト)
西野朗監督が指揮をとったロシア大会では、香川選手や本田選手の活躍もあって決勝トーナメント進出を果たした日本。南野選手らもいい意味で期待を裏切ってほしい。