「これまで、ずっと彼女に会うのを避けてきました」
男性が静かに語るのは、中森明菜について─。
8月に新事務所『HZ VILLAGE』へ移籍し、再始動を宣言した明菜だが、その後の音沙汰はないまま。
「年末の『NHK紅白歌合戦』出場も囁かれますが、どうなるか……。今後の予定は、明菜さんが過去に所属したレコード会社から12月21日にベストアルバムが発売されることだけ。ただ、新事務所と旧事務所『ファイス』間の“引き継ぎ”がうまくいっていないよう。旧事務所主宰のファンクラブは、今も新規の入会手続きができる状態です。ベスト盤の発売も企画は移籍前に出ていたはずなので、新事務所はベスト盤の詳細を把握できていないのでは。権利関係が不明瞭なままでは、復帰への影響も懸念されます」(スポーツ紙記者)
以前、週刊女性が新事務所へ問い合わせた際には、
「『ファイス』に新たな商品企画を許諾することはありません。既存の契約及びCD含む商品の取り扱いは、『ファイス』及びレコード会社等と話し合って決めていきます」
と、回答していたが……。
そこで今回発売するベスト盤の制作に携わった冒頭の男性に話を聞いてみた。『少女A』を手がけ、明菜を一躍スターへと押し上げた初代音楽ディレクターの島田雄三氏だ。
「ベスト盤はデビュー40周年記念として7月1日に第1弾が発売されて、12月発売の第3弾で最後になります。レコード会社からライナーノーツの執筆依頼をされたので引き受けましたが、明菜の近況については何もわかりません。『ファイス』に発売の許諾を取ったとは聞いています」
明菜はベストアルバムに関わっていない
だが、事務所移籍に伴い許諾先も変わるはず。新事務所『HZ VILLAGE』に改めて聞いてみると、
「ベスト盤の発売については、弊社は関わっていませんし、レコード会社と話し合いを行ったこともありません。ファンクラブ移行については、前事務所へは『ファイス』のウェブサイトやファンクラブ会報での告知を提案していますが、前向きな返答をいただけていない状況です」
やはり、版権の引き継ぎばかりか、ファンクラブの移行もうまくいっていないよう。かつての古巣が、復帰への“足かせ”のひとつとなっているようだが……。
「弁護士が間に入り、整理されることで明菜にとって前向きな結論が出ると期待しています。彼女を娘のように思っていますし、育ての親としては少しでもいい環境にいてほしいですから」
そう話す前出の島田氏。明菜の復帰について、こんな思いを続ける。
「40年たった今も、これほどまでに求められる歌手はほかにいませんよ。さまざまなつらいことがあり、明菜はいっぱい傷ついた。だからこそ、音楽業界全体で彼女を守っていくべきなんです。ただね、苦しんできた明菜に会って、なんと声をかければいいのか、私は今もわかりません……。彼女の復帰を、静かに見守っていきたいと思います」
島田氏は、かつて少女だった明菜を思い出すかのように、目を細めた─。