10月31日を迎えて、歌舞伎役者の市川海老蔵改め市川團十郎が誕生。同日には、彼が長年更新している海老蔵ブログも團十郎ブログに改名となった。
「歌舞伎の世界では、襲名公演直前に行われる“顔寄せ手打式”をもって名跡が変わることになっています。初代・團十郎は江戸歌舞伎の基礎をつくったとされ、梨園の中でもっとも格式が高い名前とされていますので、満を持しての大名跡の復活ですね」(スポーツ紙記者)
手打式の日、東京の歌舞伎座では総勢104名の歌舞伎役者が集結して2日にわたり『十三代目市川團十郎白猿襲名披露記念 歌舞伎座特別公演』も開催。長男の堀越勸玄くんも八代目市川新之助を受け継ぎ“親子W襲名”を果たすも、周囲の関心は別のところに向けられてしまう。
性加害の香川照之、不倫の片岡仁左衛門も壇上に
「手打式の壇上に、市川中車こと香川照之さんがいたのです。彼は9月上旬に3年前の性加害が報道されたことにより、レギュラー番組や複数のCMを降板になるなど大騒動に発展しました。本人もバツが悪いのか終始暗い表情で、居心地は悪そうでした」(手打式参加者)
さらに翌日の11月1日には、別の手打式出演者が話題をかっさらってしまう。
「人間国宝にも認定された上方歌舞伎の大御所、片岡仁左衛門さんが37歳年下の女性と不倫関係であったことが週刊誌で報じられました。仁左衛門さんといえば、なにかと世間を騒がせている團十郎さんの素行を良く思っておらず、今回の襲名公演にも出演を渋っていたといわれていましたから示しがつかないですよね」(同・手打式参加者)
スタートからつまずいてしまった團十郎。悪い流れは襲名公演のチケットの売れ行きにも影響が表れているようだ。
團十郎と松竹の“足並みが合わない”
「前評判では即完売といわれていましたが、11月7日からの襲名公演まで残り1週間という時点で、まだ席がかなり残っていました。このままだと12月の襲名公演も苦戦しそうですね」(梨園関係者)
ここまで盛り上がりに欠けるのはなぜなのか。
「歌舞伎の興行を仕切っている松竹側との足並みがそろっていないのが大きいと思います。團十郎さんは今回の襲名公演にあたって、独自でプロモーションを仕掛けようと広告代理店とタッグを組みましたが、途中で頓挫。ただでさえ襲名公演の配役が難航して準備の時間がなかったことも重なって、十分な宣伝ができなかったのです」(同・梨園関係者)
寒々しい話題が続く歌舞伎界だが、希望の光もある。
「若手の歌舞伎役者の活躍が著しいのが救いですね。特に松本白鸚さんの孫である市川染五郎さんは大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演し、端正な顔立ちが受けて人気急上昇。17歳という若さにもかかわらず今年、歌舞伎座で主演を張りました。香川さんの息子である市川團子さんも父親のスキャンダルに負けず、メキメキと成長中。スタイルの良さを活かしてファッションモデルにも挑戦しています」(同・梨園関係者)
歌舞伎の枠を超えて活躍する若手勢。この人気を受けて、松竹側は新たな計画を立てているようだ。
イケメン歌舞伎役者が話題の中心となる、下剋上時代も
「今後は團十郎さんをあてにせず、若手のイケメン歌舞伎役者にスポットライトを当てた公演やイベントを増やしていくようです。松竹は『滝沢歌舞伎』を筆頭に、ジャニーズ事務所と長年懇意。これまで培ったアイドルビジネスのノウハウも活かすのでしょう」(芸能事務所関係者)
一見、伝統芸能である歌舞伎を軽んじているように見えるが、松竹の歴史を振り返れば当然の判断だという。
「そもそも團十郎さんも含めて襲名公演というのは、周囲から認められたから行われるのでなく、歌舞伎興行の話題の起爆剤として企画される極めてビジネス色が強いイベント。先々代の'62年、先代の'85年も歌舞伎人気が低迷していたタイミングで実施されました。
今回、團十郎さんの襲名公演が思うような収益につながらなければ、いま注目が集まっている役者中心の企画を立てるのは当然。近い将来、歴史ある名跡の團十郎より、イケメン歌舞伎役者が話題の中心となる、下剋上のような状態が起きるかもしれませんよ」(歌舞伎役者)
己の道を突き進む團十郎だが、新たな勢力が迫ってきているようだ。