食欲の秋、でも少し気を抜くとあっという間に体形にも変化が! さらに、季節の変わり目で疲れもとれない、なんてことないだろうか? そんな人におすすめなのが「酢もやし」。もやしをお酢に漬けるだけの簡単なおかずだが、実はうれしい効果が盛りだくさんなのだ。
お酢×もやしでダブル効果が!
「高脂肪・高カロリーのファストフード、塩分・油分多めのテイクアウト弁当など、現代人は栄養が偏りがちで、生活習慣病のリスクが高まっています。酢もやしはそんな現代人の食生活の改善が期待できます」
そう話すのは、自らもお酢生活を続けている医師の石原新菜さん。
「お酢の主成分である酢酸は、血液をサラサラにしてくれるほか、血糖値上昇の防止、中性脂肪や内臓脂肪の減少、高血圧予防、さらに骨粗鬆症の予防や貧血の改善などにも期待できます。しかも、クエン酸は疲労回復を促してくれます。お酢だけでもこんなに素晴らしいパワーがありますが、もやしが加われば、相乗効果で最強の常備菜となります」(石原さん、以下同)
もやしといえば、料理のかさ増しや添え物に使う程度で、主役になれないイメージだが、実は栄養もいろいろ入っているという。
「もやしは安いし細長くて色白なので、あまり栄養がないと思っている人は多いかもしれません。でもまったく違うんです。もやしは豆から発芽した状態の野菜なので、良質なタンパク質の宝庫。発芽玄米やスプラウト同様に、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素が凝縮されています。
もやしに含まれるビタミンB1やアスパラギン酸は、疲労回復を助けてくれますし、ビタミンCは抗酸化作用があるので免疫力がアップ。カリウムも豊富なので、むくみや高血圧の予防につながります。もやしはコスパのいい、素晴らしい食材なのです」
安いときなら1袋30円ほどのもやし。酢もやしなら1食約10円で食べられる。家計に優しい食材のもやしはお酢と一緒にとることで、お互いが持つ栄養成分の吸収力がアップする。
「しかも、お酢に漬け込むことでかさが減り、たっぷり食べることができるのもポイントです」
伊藤かずえさんも実践し12kg減!
テレビ番組の企画でダイエットにチャレンジしたタレントの伊藤かずえさんも酢もやしでダイエットに成功している。
かつてはプールに定期的に通ったり、夕食にトコロテンだけを食べ続けたりと、熱心にダイエットを続けていた伊藤かずえさん。しかし残念ながらどれも成果なし。ようやく成功したのが、この「酢もやしダイエット」だ。
食事に酢もやしを取り入れてから、最初の数週間は体重の変化はなかったものの、1か月ほどたつと徐々に減り始めて、3か月を過ぎるころには、なんと12kg減。
変わったのは体重だけではない。ダイエット前は106mg/dlだった中性脂肪値が、60mg/dlと大きく下がり、血管年齢はなんと28歳と判定された。精神的にもイライラしなくなったのだそう。
1日3食少しずつ漬け汁も活用を!
いいことずくめの酢もやしは、作るのも超簡単。石原さんが実践しているのは、容器に入れたもやしに、かぶるくらいのお酢を入れるだけ。
「いろんなレシピがあると思います。砂糖が気になる人はお酢だけにしたり、はちみつに変えたり。もやしは買ってきてから1~2日で傷みはじめてしまうので、できるだけ早く使うのが基本ですが、酢に漬け込んでおけば、お酢の殺菌作用によって長持ちします。いつでもすぐに食べられるのもうれしいですね」
もやしは生のままだと食中毒の懸念もあるので、さっと湯がいたり、レンジで温めてから漬け込むと安心だ。
酢もやしの保存期限は2週間以内が安全だが、石原さんは「1か月は余裕で持ちますよ。わが家では3か月ものもあります(笑)」と話す。
ただし、もやし全体がしっかり漬かるよう注意を。酢に漬かっていない部分があるとそこから腐ってしまう。保存容器はプラスチックだとにおいが残ることがあるためガラスがおすすめ。
また、お酢は一度に大量にとるのではなく、少量を継続的にとるほうが効果的だ。
「朝食のサラダのドレッシング代わりに、昼食はラーメンやうどんに加えて、夕食は冷ややっこにトッピング……というように、3食ごとに少しずつ使うのがおすすめです。毎食が難しいという場合は得たい効果に合わせるのも手です。
例えば、ダイエット効果を狙うのなら、夜よりもエネルギー代謝が活発な日中に、生活習慣病が気になるという人や腸内環境を整えたい人は夜に食べるといいでしょう。また食事のとき、最初に酢もやしを食べれば、血糖値の上昇を抑えてくれるので、糖尿病予防に効果的です」
そのまま食べるだけでなく、野菜炒めなどに加えてもOK。ヘルシーになるうえ味も引き締まる。
石原さんは漬け汁も捨てずに活用することをすすめる。
「もやしの栄養成分が溶け出ているので、この汁も栄養満点。焼きそばやラーメン、スープなどにちょい足ししてみてください。少し酸っぱいですが、炭酸で割って飲むのもおいしいですよ」
ただし、容器に残った漬け汁に、さらにもやしを追加すると、お酢の殺菌効果が薄れ、カビや菌が発生してしまうのでNG。
石原さんは、アレンジ酢もやしとして、ローリエや唐辛子などを一緒に入れて“味変”も楽しんでいる。
「飽きがこないだけでなく、健康にも効果的。なかでも唐辛子のカプサイシンは脂肪を燃やしてくれるので、ダイエットをしたい人や冷え性の人にはおすすめです。また薄切りしたニンジンと一緒に漬け込めば、もやしに足りないβカロテンも補えます。
ニンニクを入れてもOK。ニンニクのアリシンという成分が、もやしのビタミンB1の吸収を助けるので、エネルギー代謝がアップし、疲労回復、滋養強壮にはバッチリです」
低コストで手軽に美と健康が手に入る酢もやし生活。試してみる価値あり!
酢もやしのスゴイ健康効果
・疲労回復
もやしに含まれるビタミンB1やアスパラギン酸と、お酢のクエン酸を一緒にとることで、疲労回復にダブル効果が期待できる。
・肥満防止
低カロリーで食物繊維を含むもやしと、中性脂肪を減らす働きがあるお酢の組み合わせは、ダイエットに最適! また酢もやしを最初に食べれば、空腹による食べすぎの抑制にも。
・血圧低下作用
酢酸には血圧を安定させる機能や血管を膨張させる機能があるため、血液サラサラに。もやしのカリウムも血圧を下げる効果があり、一緒にとると効果倍増。
・高血糖予防
酢酸は腸内のインクレチンというホルモンの分泌を促して血糖値をコントロール。食物繊維を含むもやしも、糖の吸収をゆるやかにし、食後の血糖値上昇を抑制してくれる。
・骨粗鬆症予防
もやしに含まれるカルシウムは、骨をつくるのに不可欠。お酢と一緒にとることでカルシウム吸収率は約50%アップし、骨粗鬆症の予防につながる。
石原先生おすすめ!カンタン酢もやしの作り方
材料
・もやし……250g
・お酢大さじ……2杯
・砂糖……大さじ1と1/2
・塩……ひとつまみ
【作り方】
耐熱容器にもやしを入れてふんわりとラップをし、600Wのレンジで2分加熱する。ゆでる場合は20秒〜30秒でOK。その後、よく水けをきってから清潔な保存容器にもやしと調味料を入れなじませて完成。
《Point》使うお酢は穀物酢でも米酢でもお好みのものでOK。石原先生のおすすめは黒酢。長時間発酵させているので、ビタミン類やアミノ酸類が多く、腸内環境にも◎
もっとおいしく!ちょい足しアレンジ
酢もやしをおいしく食べるために、編集部が考えたアレンジレシピを紹介!
(1)納豆に酢もやしをプラス ふわふわ食感が楽しい!
納豆にちょい足ししてよく混ぜると、ふわふわに。「納豆は発酵食品なので腸内環境もよくなります。夕食時に食べるのがおすすめ」
(2)お酢代わりに餃子にオン ニンニクとの相性ばっちり!
「疲れた」と感じたら、ニンニク入りの餃子にトッピングを。「もやしのビタミンB1は、ニンニクに含まれるアリシンと一緒にとると吸収力がアップするので疲れ知らずに」
(3)ごまをふりかけると香ばしさで食欲アップ!
ごまのちょい足しで食欲倍増。「ごまには、良質なタンパク質、食物繊維、鉄分、カルシウム、ビタミン類がたっぷり」
(取材・文/江頭紀子)