突然の発表と意外性、そして想像以上のガチぶりに多くの人が驚いた、タレント・フワちゃんのプロレスへの挑戦。
約5か月間に渡るその挑戦の経緯は『行列のできる相談所』(日テレ系)で放送された。もともと憧れはあったとはいえ、普段の雰囲気とはまったく違い、真剣にプロレスに挑むフワちゃんの姿を見て、最初は「話題作りでは」という目で見ていた人も、考えを改めたのではないだろうか。
フワちゃんのすごい振り幅
「フワちゃんの日ごろのキャラからして、もう少しおちゃらけたような軽いノリで練習や試合にのぞむのかと思ったら、終始ガチで取り組んでいて、スターダムでの試合も、負けはしましたが“タレントさんがちょっとやってみました”というものではなく、驚きました。さらに本気で取り組めば、けっこういい感じの選手になれそうな気もしました」
と、元プロレス担当のスポーツ紙記者は言う。
思いのほか感動的な展開となり、多くの視聴者に感動を与えたフワちゃんのプロレス挑戦。「真面目なキャラの人がやっても『がんばったね』とはなるでしょうが、あそこまでの感動は生まれなかったと思います」と語るのは放送作家のひとり。続けて、
「ふだんタメ口でちょっと失礼な態度を取ったり、真剣な姿をみせないフワちゃんが、あそこまで必死に先輩にくらいつく姿をみせた。その振り幅の大きさと、真摯に取り組んでいく姿が胸を打つことになったと思います」
そして、その挑戦が「ちゃんと形になったことも大きい」とみる。
「あれがしょぼい感じになったら、いっせいに叩かれることもあったかもしれませんが、プロレスファンも『すげえな』という感想をもらしたほどでしたからね」(同放送作家)
今回のフワちゃんに限らず、本業から離れた「本気の」挑戦をするタレントや俳優は少なくない。
「女子プロレスだけをとってみても、AKB48グループのメンバーが、プロレスをテーマにしたドラマ『豆腐プロレス』(テレ朝系)に出演し、このときも現役アイドルでありながらかなり本気でプロレスの特訓をしていたことがうかがえました。ドラマにも出演していたSKE48の荒井優希は、昨年から本格的にプロレスに取り組み、2足のわらじを履きながらも今年の夏にタッグ戦で王座を獲得するという結果を残し話題になりました」(前出・スポーツ紙記者)
バラエティーでも“笑いなし”でいい
かつては山田花子も入門、LiLiCoやグラビアタレントの愛川ゆず季が“グラレスラー”として活躍したり、赤井英和の娘・赤井沙希もモデルや女優活動を経たのちにプロレスデビューを果たしている。逆に北斗晶やジャガー横田など、プロレス界からタレント界に進出するなど、芸能界とプロレス界との相性はかなりよさそうだ。
いっぽうで、ダンプ松本をテーマにしたNetflixの主演ドラマ『極悪女王』の撮影中に、ゆりやんレトリィバァが負傷するなど、プロレスはガチであれ、ドラマやフィクションの世界であれ、常に危険と隣り合わせだ。基本に忠実に真剣に取り組むことが大きな前提であることには間違いなく、その真剣の度合いを問われると、「おもしろければいいじゃん」という時代ではないと、前出の放送作家は言う。
「バラエティーで扱うからといって、昔よりも笑いを盛り込む必要はないんです。番組がやらせました、というのはもう昔の話。本人がやりたいという思い、その思いが伝わるような姿を見せていく。番組的には本人の気持ちを大事にしたほうがいいというところはあります」
試合後「本物のプロレスラーになりたいと思った」と発言したフワちゃん。この先ガチ展開があったとしたら、ユーチューバーとしての試合の見せ方など、女子プロレス界に新たな道が開ける可能性もありそうだ。
〈取材・文/渋谷恭太郎〉