《近いうちにね。かなりのベテランの野球経験を持っていて、ジャイアンツにはとても必要な戦力として、新たな選手を近いうちに発表しようという風に計画してます》
11月11日のFA(フリーエージェント)宣言選手への直接交渉が解禁される前日の10日、『読売ジャイアンツ』球団公式インスタグラムのライブ配信に出演した原辰徳監督。《(視聴者に)ニュース投げようかな》とリップサービスしては、新たに選手の入団が決まったことを示唆したのだった。
慌てて“デーブ”大久保博元一軍打撃チーフコーチが制したことで名前は伏せられたもものの、ファンは大物FA選手の獲得発表を楽しみにしていたのだが……。翌日に契約合意が明らかにされたのは、今シーズンで『ソフトバンクホークス』を退団した松田宣浩内野手だった。
「たしかに“かなりのベテランの野球経験”を持っている選手で、大方の予想通りではあったのですが、“もったいぶってそこ?”という(笑)。まあ、今のジャイアンツには“必要な戦力”であるのは間違いないと思います。
そして松田選手の獲得発表は同時に、巨人が今年のFA争奪戦で“白旗”を上げた、つまりは“獲得が難しい状況を露呈している”と見る向きもチラホラと」(スポーツ紙・野球担当記者)
2022年のFA宣言選手で去就が注目されている“目玉”選手は、『埼玉西武ライオンズ』森友哉捕手に『北海道日本ハムファイターズ 』近藤健介選手。『福岡ソフトバンクホークス』千賀滉大投手は、兼ねてから公言していたメジャーリーグ挑戦を明らかにしていることから国内市場に降りることはないだろう。
そして覇権奪回が至上命題の巨人軍が熱望しているというのが、首位打者のタイトル経験もある“打てるキャッチャー”森捕手。先の『侍ジャパン』との強化試合前の練習時に、原監督自ら手招きして森捕手を呼び込んでは何やら“密談”する意味深な姿も見受けられた。
「森は俺のもの」とばかりに他球団を牽制するような原監督だったがーー、
若手は“巨人ブランド”に関心がない
「森の獲得に動いているのは、彼の地元・大阪に本拠地を構える『オリックスバファローズ』も同様で、すでに4年16億円以上の大型契約を用意しているといいます。彼の性格を考えると伸び伸びとプレーできる環境にあるオリックスが本命視されていて、片や規律が厳しいとされる“紳士球団”は窮屈に映るかも。
また、これまでも大金を積んでFA戦士を獲得してきた一方で、結果を残せない“外様”には冷たい印象も受けます。そもそも今の若い選手は“巨人ブランド”に関心はなく、“何がなんでも巨人”という時代でもありません。実際、誘われながらも断りを入れる選手が増えていますからね」
前出のスポーツ紙記者によると、手薄とされる投手陣を立て直すべく、『阪神タイガース』の西勇輝投手、岩貞祐太投手もターゲットだったというが、両選手共に早々と残留を決めている。
どうも“袖はあるのに振れない”状況になりそうな、他球団の選手から敬遠される“不人気球団”のレッテルを貼られていそうな巨人だが……。
「だからこそ、“負のイメージ”を払拭してくれそうな松田選手に白羽の矢が立ったのでしょう」とは、現場で取材を重ねるスポーツジャーナリスト。
5年ぶりのBクラスとなる4位でシーズンを終えた巨人は、CS(クライマックスシリーズ)進出すらも逃す屈辱を味わった。そんなチームに対して原監督は、続投が正式決定した際にシーズン統括として「優勝できるチームではなかった」と言い放った。
「全権監督としてチーム編成も握る一方で、常に結果が求められるプレッシャーを受ける、ファンからもシビアな目で見られる原監督。そんな指揮官の管理下のもとで、“ミスすれば外される、打たなければ落とされる”と意識してしまうのか、特に若手選手はおとなしく萎縮しているようにも見えました。
本来ならば、キャプテンの坂本勇人が選手をフォロー、チームをまとめる仕事を求められるはずが、今シーズンはそれどころではなかった」(前出・ジャーナリスト、以下同)
坂本勇人の“女性トラブル”隠しか
もとより怪我で戦列を離れがちだった坂本勇人選手だったが、順位を争う大事なシーズン終盤の9月に醜聞を報じられる。『文春オンライン』によって、男女の関係にあった女性を妊娠させて中絶を強要したという、おおよそ“紳士”とは言い難いトラブルをすっぱ抜かれたのだった。
ところが、坂本選手本人から騒動への謝罪や説明はなく、原監督をはじめ、球団も“示談済み”としてスルーを決め込んだことで、世間からは大きなブーイング。以降、チーム内には重い空気が流れ、坂本選手自身もどこか元気のない様子だったようだ。
「そんな暗いチーム事情を改変すべく、秋季練習からチームに合流したのが“陽キャ”で知られるデーブさん。広報的な役割も担っているみたいで、取材に来ている記者を笑わせていますよ」
そして常勝軍団・ホークスでレギュラーを張り続け、侍ジャパンでもムードメーカーとしてチームを盛り上げてきた松田選手の入団だ。
「ベンチでも率先して声を出す、ガッツあふれる元気印なプレースタイルと、練習にもストイックに取り組む姿勢はチームを明るくし、そして若手のお手本になることは間違いない。原監督としても今のジャイアンツに欠けている、むしろFA選手よりも必要な戦力として見ているのでしょう。
それに全盛期を過ぎたとはいえ、彼ほどのビッグネームがチームに加われば、仮にFA選手を獲れなかったとしても一応の面目は保てますからね。ただ松田に加えて、『広島東洋カープ』から長野久義も戻ってくるだけに、やはり若手の出場機会が減るのは避けられませんが(苦笑)」
来シーズンの東京ドームでは坂本選手も、チームも元気な“熱男”パフォーマンスを見せてくれることだろう。