2012年『R-1ぐらんぷり(当時)』でノーシードながら準優勝し、「ワイルドだろぉ?」という決めゼリフが炸裂する漫談芸がウケて人気者となったスギちゃん(49)。
息子2人だと“モンスター化”するぜぇ
ワイルドが売りのはずなのに、'15年に結婚したワイルド配偶者と'17年生まれのコスギちゃん、'20年生まれのミニスギちゃん(家族の呼び名はSNS上のもの)の4人家族の“チャイルド中心の育児日記”がSNSで話題に!
「息子2人になって、よりいっそう大変になりましたねぇ。1人だとおとなしくしていることもあるけど、2人そろうとモンスター化しちゃう。楽しい!が強くて、全然じっとしてない。かと思うと、突然スイッチが切れて寝る。でもそこで寝ちゃうと夜に目を覚ますから、昼間はちゃんと運動させないといけない(笑)。
俺はサラリーマンと違って昼間も家にいることが多いから、子どもが一番騒がしい時間を知ってるんで、子育てしてる方の大変さがわかるんですよ。もうすごいですからね、男の子が2人だとドーンと体当たりしてきたりして。さすがにワイルド配偶者には無理なんで、俺がいるときは受け止めてあげるようにしてるんです。あとはおむつ替えたりとか、ホント、一部補うくらいですけどね」
スギちゃんの子育てのポリシーは?
「俺が所属してるサンミュージックって、ネタについて何も言わない事務所で、のびのびやらせてくれるから、時々とんでもない才能のヤツが出てくるんですよ。
だから俺も子育ては自由奔放で、ケガしなければいいかなと、のびのびサンミュージック風でやってたんですけど、やっぱり止めるところは本気で止めて、注意しつつ、後でフォローを入れるのがいいのかなぁなんて最近思ってて。
というのも、ワイルド配偶者が周りに配慮するタイプで、『あなたがよくても、子どもが言われるよ?』と言われて、たしかにそうだなって。そうやって子育ては夫婦で話し合って決めてますね。
ただ俺は『子どももそのうち自分でわかるだろう』と思ってるんです。というのも、俺が3兄弟の末っ子で自由に育ったから、今のワイルドスギちゃんになったと思ってて。もちろん危ないことや、やっちゃいけないことは怒られたけど、実家のガラスは割れたりしてたなぁ(笑)。だから子どもが興味を持ったことを応援してあげたいなと思ってるんです」
ワイルド配偶者に頼りっぱなしだったぜぇ
しかし最初から育児に積極的に参加していたわけではなかったというスギちゃん。
「コスギちゃんが生まれたときは仕事が忙しくて、ほとんど家にいなかったんですよ。それであるとき家にいたら子どもがすごい泣いて。でもミルクもあげたし、おむつも大丈夫、けど全然泣きやまない。それで困って、ワイルド配偶者に『泣きやましてよ』と言ったら『私だってわからないよ』と言われてビックリしたんですよ!
もう俺が勝手に『お母さんは子どものことを全部わかってるもんだ』と思い込んで、頼りっぱなしだったんですね。そうか、お母さんにもわからないことがあるんだ、じゃあなんで泣いているのか一緒に考えよう、と。俺も知りたくなったんです。そこからですね、子育てにちゃんと向き合えるようになったのは」
コスギちゃんの出産には立ち会い、お包みを巻くのを手伝うなどしたそうですが、ミニスギちゃんのときはコロナ禍でお見舞いに行けなかった。
「ワイルド配偶者が出産で入院したとき、コスギちゃんと初めて父子2人で過ごしました。そのときに自転車を買って、2人でいろんなところへ行きましたね。それでミニスギちゃんが生まれた後、病院まで父子2人で自転車で行って、駐車場から『外見て!』って連絡して。部屋から顔を見せてもらって……それがミニスギちゃんとの初対面でした。今でもはっきり覚えてますねぇ」
コスギちゃんが幼稚園入園時にはスギちゃんが一緒に面談に行ったそうですが、心配のあまり余計なことをしてしまったんだとか。
「緊張していたのか、先生から質問されてもコスギちゃんは黙ってるんですよ。でも家ではちゃんとできてたから、俺が横で『ほら、◯◯だよ』とつい教えてしまって。そしたら先生から『子どもに言わせてください』って怒られちゃって。それで、ちょっと親がやってあげすぎてたのかなと反省したんです。
それからは何か頼みにきても『自分でやってみなよ、できるだろ?』と言うと、結構ひとりでやって、できると楽しくなって、また新しいことを始めるんですよね。そうするとミニスギちゃんもやりたくなって、一緒になってやってます。それを見てると、大人がやっちゃいけないんだなって。いやもう、子育てはひとつひとつが勉強ですよ!」
子育てはなんでも思い出だぜぇ
最近では子どもたちの成長を感じることもあるそう。
「今年は初めて運動会に行って他人の子が走ってるのを見ているだけで涙が出てきて……コスギちゃんがリレーでバトンを受け取って、コースの中を走って、次の人へバトンを渡したのを見て、ちゃんとできるんだな、ってまた泣いて(笑)。
子どもは日々変わっていくのが面白いですね。今は『ガンダム』が大好きだけど、ちょっと前は『鬼滅の刃』が大好きで。ユーチューバーが炭治郎のまねをしているのを見て『やりたい!』と言うので、小さな刀のオモチャを買ってきて、そこに俺が自分でテープを貼り付けてね、広い場所で『水面斬り!』って遊んでました。そうやって一緒に遊んだり、望みを叶えてあげるのも楽しいんですよ。
もちろん子育てはイライラするときもありますけど、それは“今”しかないんですよね。だからなんでも思い出だと思ってます。今後は子どもたちと一緒にやりたいことがたくさんあるんですよ。それには元気で長生きしないと!」
涙もろくなったスギちゃん、ほかにも印象的な出来事をあげる。
「ワイルド配偶者が子どもにお父さんいなくて寂しくない?って聞いたら“お父さんは仕事を頑張ってるから”って言ったってのを聞いて、もぉうれしくて仕方なかった。子どもなりにちゃんと理解して我慢してくれてるんだと思ったら子どもって本当に可愛くて尊いと思えて頑張れる」
スギちゃんのように父親が子育てに積極的に参加してもらうには、どうすれば?
「俺が子どもがなんで泣いているのか知りたくなったみたいに、やっぱり興味を持つことでしょうね。でも家庭によっていろいろあるだろうし、俺なんかが偉そうには言えないですけど……仕事するのもいいけど、その気持ちをちょっとでも家族に向けてあげたらいいんじゃないかなぁ。
えっ? 逆にこんなチャイルド中心でマイルドな生活をしていると、仕事に支障が出る? いやいや、スギちゃんはワイルドなんだぜぇ、と言い張りますよ! これからもずっと『ワイルドだろぉ?』と言い続けるぜぇ!」
スギちゃん“配偶者”呼びの秘密
ブログ記事上でワイルド嫁はんの呼称が年々変わっていることが話題になったスギちゃん。「奥さん」、「嫁」、「妻」呼びを経て今の「配偶者」呼びになった経緯を教えて!
「配偶者の呼び方は年とともに変わってきてて。最初は奥さんで、よく使われる嫁には息子の妻という意味があることを知って、それも違うなぁと。妻もなんか自分には合わなくて……それでいい言葉ないかなと探したら“配偶者”があって。
しかも夫婦2人という意味も含まれていて、まだ誰も言ってない、じゃあワイルドスギちゃんのワイルド配偶者だね、ってことでそう呼ぶようになったんです」
お話を伺ったのは……
お笑い芸人。'73年8月24日生まれ、愛知県出身。'95年よりお笑い芸人として活動を始め、'01年『メカドッグ』として『電波少年』(日本テレビ系)などに出演。'12年の『R-1ぐらんぷり』(フジテレビ系)で、準優勝。ワイルドスギちゃんが人気を博す。『迷宮グルメ 異郷の駅前食堂』(BS朝日毎週火曜日22時30分から)にレギュラー出演中。
取材・文/成田 全