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 病院で薬を処方される際、ほかに服用している薬があれば医師に相談するが、いつも口にしている健康食品について報告したことがある人は少ないのでは。

 ところが、“飲み合わせ”のよしあしは、『健康食品×薬』でも起こりうる。

健康効果があるものは副作用もあると心得て!

 薬と健康食品やサプリメント(以下、サプリ)との飲み合わせに詳しい医師の久代登志男先生は、「服薬するときは、日常的に口にしている健康食品やサプリを医師に伝えることが非常に重要」だと指摘。

 複数の薬の飲み合わせによって、その効果が強められたり、逆に弱まったりすることを“薬物相互作用”というが、健康食品×薬でもこの“相互作用”が懸念されるからだ。

「高血圧や糖尿病の薬など、飲み続けている薬はもちろんのこと、風邪や胃腸炎など、一過性の疾病で医療機関にかかって薬を処方された場合でも、健康食品との相互作用は気をつけなければいけません」(久代先生、以下同)

 例えば青汁。ビタミンKを多く含むため、血液凝固防止薬(ワーファリン)と併用すると薬の効果を弱めてしまう。また、健康のために口にしている食品も気をつけるべきものがある。

 風邪や膀胱炎、気管支炎の際に処方される抗生物質によっては、牛乳や乳製品と一緒にとると、薬の効果が弱くなることがあるので注意が必要だ。

食品・健康食品と血液凝固防止剤(ワーファリン)のキケンな飲み合わせ

「健康効果を期待して口にするものは、期待する効果以外の効果、つまり副作用も出ると考え口にしたほうがよいと思います。その副作用のひとつが薬との飲み合わせによる好ましくない相互作用です」

 継続的に飲んでいる薬がある人は、新たに健康食品を取り入れる前に併用可能か確認するのが望ましい。健康食品の商品名を伝えるのではなく、内容成分がわかる資料を持参して相談を。

「医師もすべての成分を把握しているとは限りませんから、そういう場合は薬剤師に頼るのも手です。特に、市販薬や健康食品について詳しい“健康サポート薬局”に認定された薬局の薬剤師さんは幅広い知識を身に付けているので、チェックしてもらえると思います」

 医療機関にかからず、薬局で市販薬を購入する際も薬剤師に相談するのが無難だ。

自身が日常で取り入れている健康食品を把握し、しっかり医師に相談を

健康食品は暴飲暴食の免罪符にはならない

 どの程度の健康食品を口にすると、薬との相互作用が懸念されるのか。久代先生は、薬と健康食品の種類にもよると前置きしつつ「1度でも併用すると何らかの症状が出ることがある」と警告する。

「血圧を下げるといった効果がきちんと認められた特定保健用食品は、注意が必要です。血圧を下げる作用が期待できるわけですから、降圧剤と併用すると薬とのWの効果で血圧が下がりすぎ、立ちくらみなどを起こしてしまう可能性があります」

トクホ(特定保健用食品)と薬のキケンな飲み合わせ

 また、自然食品を加工して作る青汁も成分が濃縮されているため、健康によいからと目安量を超えて摂取すると、相互作用の影響をより大きくしてしまう危険がある。

「野菜を食べるのが苦手で青汁や野菜ジュースを飲む人は多いですが、野菜を食べなくてもよいということにはなりません。複数の食品を手軽に摂取できることによる効果と副作用の両方を考えて、頼りすぎないように付き合うことをおすすめします」

 便秘や下痢、皮膚に発疹が出る、だるさや食欲不振などの症状が続く場合は、飲み合わせが悪いと疑って、かかりつけ医に相談するのがよい。

 ところが問題は、自覚症状が現れない場合だ。

「軽度の肝機能障害が起きた場合など、自分ではわからないことのほうが多い。症状が出るころには悪化しているということも。ですから、悪い相互作用が起きないように併用前に飲み合わせを注意しなければなりません」

 さらに、高齢になるほど副作用の影響が強く出る危険性が高まるので、親世代に健康食品やサプリを贈る場合は、服用している薬をきちんと把握しておくのがよい。

「近年、相互作用が起きづらい薬も開発されていますが、新薬でも飲み合わせがすべてクリアになっているわけではなく、注意が必要なのは変わりません」

食品・健康食品と薬のキケンな飲み合わせ

美容のためのビタミン剤も飲み合わせに注意!

 一方、健康のためではなく、美容のために飲むビタミン剤などのサプリも薬との相互作用の例外ではない。例えば、多量のビタミンAは抗生物質と併用すると激しい頭痛、ビタミンCは利尿薬と併用すると腎・尿路結石が起きる危険性がある。

「ビタミンA、ビタミンCといった水溶性のビタミンは多量に摂取しても尿で出てしまうから大丈夫と思われがち。しかし、長期に飲んでいたものを突然やめると、腎臓は急に排出量を減らせないので、結果としてビタミン不足に。

 薬との飲み合わせとは直接関係がありませんが、いずれにしろ目安量を超える量の摂取は、健康被害の危険が高くなることを知ってください」

 健康を意識し、自分なりに考えて食品やサプリを摂取することは悪いことではない。しかし、自分が期待する効果以外の作用が起こりうること、たくさん摂取すればよいというものではないということをきちんと理解しておくべきなのだ。

飲み合わせ確認アプリ&サービスも続々登場!

 医薬品の一般名と健康食品の成分名などから自分で飲み合わせを調べられるサービスが登場。日本健康食品・サプリメント情報センターが運営する「薬とサプリの相互作用チェッカー」の専用サイトに加え、サプリを販売する山田養蜂場やファンケルも専門窓口を開設。基本的に無料で検索や相談ができるので、気軽にチェックを。

 山田養蜂場は2011年から「薬と健康食品の飲み合わせご案内サービス」を開始。電話やWEBで薬と健康食品の併用について相談できる。「薬剤師、管理栄養士、サプリメントアドバイザーといった専門スタッフが対応します。自社製品だけでなく、他社製品の相談も可能。服用の薬が変わるたびにご相談くださる方やご両親の薬についての相談もあり、“安心して飲める”と評価をいただいています」(広報担当・森山さん)TEL 0120-00-3838

山田養蜂場は2011年から「薬と健康食品の飲み合わせご案内サービス」を開始。
教えてくれたのは……久代登志男先生●内科・循環器医。日野原記念クリニック所長。人間ドック健診専門医・指導医。健康食品やサプリメントの成分についてアメリカで編纂され、WHOも認めた『ナチュラルメディシン・データベース』の日本対応版の監訳者の1人。『高血圧を下げる特効ワザ&最強食事術』など著書多数。

(取材・文/河端直子)