『アンドリューのエッグタルト』のエッグタルト(本物)

 10月下旬、JR鳥取駅の商業施設に期間限定で出店していた洋菓子店『アンドリューのエッグタルト』が、エッグタルトの食品サンプルを誤販売したという報道があった。

 この『アンドリューのエッグタルト』では今年1月にも、同様のミスが催事の売り場で発生。たび重なる誤販売を受けて、売り場ではどれがサンプルなのかをアルバイトに伝えたり、売り場に管理職がいない際には、現品だけで営業するなど、再発防止に努めていたようだが……。

 この2件の事故を起こした『アンドリューのエッグタルト』を販売しているフランチャイズ加盟会社に詳しく聞いてみると……。

「この度はこのような事故を起こしてしまい、大変申し訳ございません。今回の事故を受けて、会社としても大変反省しております。10月に事故が起きた鳥取の売り場は、売上もかなり高く、忙しい現場だったため、事前にどれがサンプルかは確認していましたが、ついサンプルを渡してしまいました。事故以降は販売員の方たちがサンプルには絶対に触れられない売り場を作っています。催事での販売となると、どうしても派遣会社さんを使わなくてはならないので、それに対するマニュアルも強化していく予定です」

 会社としても今回の事故を重く受け止め、再発防止に励んでいるようだ。そして、サンプル自体にも事故の要因があったようで……。

SNSでは「むしろそのサンプル欲しい」

「初めてサンプル作成を依頼するときは、型からの製作になるので、4か月ほど時間を要したと思います。一度型を作ってしまえば、それを繰り返し使って製作しますから、そのあとは大体1か月ほどででき上がります。使用していたサンプルは安価な“くり抜き”タイプで、製作費は1個1000円ほど。大量生産が可能なのですが、高価なものよりも、重量が軽く仕上がるんです。そうすると本物との区別がつきづらくなり、これも事故が起きた原因のひとつとなりました」(エッグタルト販売会社・以下同)

 しかしながらこの事件を受け、SNS上では《むしろその食品サンプル欲しいんですが》《現品より確実に高価でハイクオリティな食サンなら逆にお得かも》という食品サンプルのクオリティーを称える声が相次いでいる。このサンプル製作には販売会社もこだわりを持っていたようだ。

食サンを誤販売された客の反応

「こだわったのが、“手作り感”ですね。『アンドリューのエッグタルト』は一つ一つ手作りしています。だから形や色味、焦げ具合などの個体差もかなりあるんです。その中で一番頻出する焼き色や形を研究して、それに近づくように心がけました。また、催事では焼きたてではなく、冷えたエッグタルトを販売します。焼きたてと冷めたものでは色合いも若干違う。そういう微妙な差にもこだわりました

 魅力的な売り場をつくるためのサンプルへのこだわりが、今回の事故を招いてしまったのかもしれない。

 そしてサンプルを誤販売されたお客さんたちの反応はというと……?

今回の事故では幸いお客様からのクレームはありませんでした。“食べなくて逆に良かったです”などとおっしゃって頂けました。返金処理の準備もしていたのですが、そういった対応をすることもありませんでした」

 と、大事には至らなかったよう。今回の事故では5個のサンプルが誤ってお客さんに渡ったが、全て回収することができたそうだ。

 今回の催事売り場でのエッグタルト1個の値段は290円で、サンプルには3倍以上の費用をかけている。そのこだわり同様、3度目の事故が起きないよう、安全策にもとことんこだわってほしい。

 
『アンドリューのエッグタルト』の本物のエッグタルト(左)と、誤って販売されたサンプル

 

洋菓子店『アンドリューのエッグタルト』で誤販売されたサンプル

洋菓子店『アンドリューのエッグタルト』で展示されていたエッグタルトのサンプル

 

 

精巧に製作された『アンドリューのエッグタルト』のサンプル