TVerでの見逃し配信が1週間で1000万回再生を突破するなど秋ドラマの話題を独占中の『silent』(フジテレビ系)。恋愛ドラマにもかかわらず、放送後にはSNSで考察を楽しむファンも多い。耳の聞こえない夫と健聴者の妻による“リアルsilent夫婦”ユーチューバー『みゆみゆチャンネル』の解説を交えながらドラマをより楽しむ7つのポイントを紹介!
ウラ話1「名前の由来」
川口春奈と目黒蓮のキャスティングが決まった後、“当て書き”で執筆されたという今回の脚本。
「目黒さんの誕生花と、川口さん演じる紬の誕生花はともにサクラソウです。目黒さん演じる佐倉想(さくら そう)は2人の誕生花が由来になっているのでは? とネット上で話題になっています」(スポーツ紙記者)
花言葉も“初恋”や“若い時代と苦悩”という意味だけに、作品のテーマにもピッタリ。青羽紬、桃野奈々(夏帆)と主要人物には青とピンクをイメージする名前がついているが、2色を混ぜるとサクラソウの紫色に!
ウラ話2「実在するロケ地」
架空の街や店で描かれる作品が多い中、紬と想が再会を果たす小田急線の世田谷代田駅や紬が働くタワーレコード渋谷店など、実在するスポットが登場するのもポイントだ。
「実際にある街や店だからこそ、視聴者も作品の世界観をイメージしやすく、より多くの共感を生んでいるのでしょう」(テレビ誌編集者)
放送後はロケ地を訪れる“聖地巡礼”を行うファンが急増中。紬と想たちがたびたび訪れるカフェのロケ地『アネアカフェ松見坂』は平日でも2時間待ちの行列ができ、世田谷代田駅では目黒のアクリルスタンドや写真を持参して撮影をする若い女性の姿が目立った。
ウラ話3「“青”に隠された意味」
紬の名字が“青羽”だったり、紬や奈々の服に青色が多いほか、湊斗(鈴鹿央士)の部屋のソファ、第5話で奈々がうらやましそうに見つめるハンドバッグなど劇中では青色のアイテムが数多く登場する。SNSでは《世界ろう連盟のロゴの色だからでは》という指摘も。青色にはどんな意味があるのだろうか?
「世界ろう連盟と国連のロゴの色ということで、青色は平和を象徴しています。毎年9月23日の国際手話言語デーには、すべてのランドマークや公共施設を青色でライトアップするイベントを世界的に開催しています」(全日本ろうあ連盟の担当者)
悪い人がまったく出てこない“平和”なストーリーにもピッタリ!
ウラ話4「スピッツの歌詞」
脚本を担当する生方美久さんはスピッツファンを公言しているほか、今年3月には、
《スピッツの『楓』みたいなお話書いてるので毎日泣いてます。むだな涙にならないように努力します》
とツイートしている。
「第1話では高校時代の想が紬の耳にイヤホンをつけて聴かせたのが『魔法のコトバ』。“また会えるよ 約束しなくても”という歌詞が、8年後に偶然再会を果たす2人にリンクしていました」(前出・スポーツ紙記者)
同じ1話には『楓』も登場。やはり“さよなら 君の声を抱いて歩いていく”という歌詞が、耳が聞こえなくなってしまう想と重なってしまう……とSNSで話題に。登場人物の名前にもスピッツの曲が関係しているようで、
「桃野奈々は『桃』『ナナへの気持ち』から。湊斗は『みなと』が由来では? と、考察合戦になっていますね」(ネットニュース編集者)
ウラ話5「SNSの活用」
公式ツイッターでは、撮影のメイキングなどを積極的に公開している。
「第5話のカフェで想が紬への思いをノートに書いて伝えるシーンの文字は、目黒さんが実際に書いたものだとか。第7話で紬が奈々と正面から向き合う6分以上のシーンはワンカットで撮影されたことが明かされるなど、ファン垂涎のエピソードを紹介するとあり、フォロワー数は54・8万人を突破しています」(前出・テレビ誌編集者)
視聴者による考察の多さもドラマの人気を後押しする形になっているようだ。
「1度見ただけでは気づかなかった演出の意味などをファンのツイートで知り、見返す人が多いことも見逃し配信の再生回数が好調な理由です」(前出・スポーツ紙記者)
裏な話6「リアリティーを追求した演出」
第5話で紬が湊斗と電話するシーンは、撮影クルーをふた手に分け、実際に電話をしながら撮影したという。
「当たり前のことに思えるかもしれませんが、電話シーンで実際に電話をして撮影することはほとんどありません」(テレビ局関係者)
奈々が普段リュックを背負っているのは、手がふさがると手話でコミュニケーションを取るろう者にとっては不便で、ハンドバッグを持つことが少ないため。
「確かに手に物を持つと手話ができなくなるので、持つ人は少ないと思います。ただ、おしゃれのために歩きづらい靴を履く人がいるように、やや不便でもハンドバッグを持つろう者もいます」(みゆみゆチャンネルさん)
ウラ話7「緻密な伏線」
何げないシーンがストーリーの鍵を握る伏線になっていることが多いのも特徴だ。
「第3話で湊斗がてんとう虫をベランダから逃がすシーン。てんとう虫は幸せのシンボルですが、第7話では図書館で想が抱っこをしてあげた子どもが手にした絵本の表紙のイラストがてんとう虫でした。紬の気持ちが湊斗から想に移ったという意味を表しているのでは?との声も」(前出・テレビ誌編集者)
第1話でも耳が聞こえた高校時代に、想が紬に対して何げなく発言した「うるさい」というセリフが、1話全体のキーワードになっていた。
「紬ちゃんの誕生花が想の名前の由来になっているサクラソウだったり、多くの伏線がちりばめられているなと感じました。また登場人物の行動を一方的に見せつけられているのではなく、視聴者ひとりひとりが考えさせられるような作りになっていることで、自然に涙があふれたり、多くの考察が生まれているのだと思いました」(みゆみゆチャンネルさん)
・ろう者が感じた『silent』の魅力
想の妹・萌(桜田ひより)の手話がとてもリアルに感じました。昔、ろう学校の友達のきょうだい(健聴者)と話した際、手話とジェスチャーが混ざったような話し方をしていたのを思い出しましたね。
ろう者と手話を覚えていく健聴者の手話の表現がやや異なっていて、過去に見たどのドラマよりリアリティーを感じました。奈々が想にほかのろう者を紹介しようとするシーンがありましたが、これもよくあることで、実際にろう者と交流された人が脚本を書いたのではないかと感じさせられました。(みゆみゆチャンネルさん)