1990年から1996年にかけて『週刊少年ジャンプ』にて連載された、井上雄彦による漫画『スラムダンク』。その最新作となる映画が12月3日に公開予定となっている。タイトルは『THE FIRST SLUM DUNK』。
「連載終了から25年以上の月日が流れていますが、その人気は今でも絶大。井上先生が映画化を発表したツイートには、38万いいねがつきました。当時、日本では人気がそれほど高くなかったバスケットボールをメジャースポーツに押し上げ、発行部数が累計1億2000万部以上を誇る国民的作品の最新作には、国内外から高い注目を浴びています」(エンタメ誌ライター)
公開1か月前となった11月4日には、YouTubeにて“『スラムダンク』特番”を放送。特報映像の初公開に大いに沸いたファンもいれば、一方でこんな声も……。
「連載当時、テレビ朝日系列で『スラムダンク』のアニメも放映されていたのですが、当時のキャスティングを引き継ぐのではなく、声優交代を発表したのです。これには往年のファンが大激怒し、前売り券発売後の発表だったことも相まって、SNSでは大炎上しました」(同・エンタメ誌ライター)
公開前に思わぬケチがついてしまった形だが、裏を返せば期待値の高さの表れともいえる。過去には4作の劇場版を世に送り出している『スラムダンク』だが、最後の劇場版が公開されてから27年がたった今、最新作はどのようなテイストになるのだろうか。これまでの劇場版では、原作漫画には描写のない、いわゆるサイドストーリーが描かれてきたため、ネット上では映画の展開を予測する“考察合戦”が繰り広げられているのだが……。
これまでの劇場版と大きく異なる点
「これまでの劇場版との関連性はまったく考えなくていいでしょう」
そう話すのは『スラムダンク』に関する考察系YouTuberのサラシナさんだ。
「これまでの劇場版は監督、脚本共に原作者の井上先生ではありません。自ら考えたストーリーではなく、それぞれ違う脚本家の方が担当されているので、井上先生が考えている『スラムダンク』とは少しズレがあると思っているんです。さらにファンの目もシビアで、過去の劇場版は『スラムダンク』として認めていない人もいますね」
今回は、これまでの劇場版と大きく異なる点がひとつある。
「ほかならぬ原作者の井上先生自らが脚本を担当しています。そのため映画のストーリーを原作に絡めることも可能です。そうすると、アニメ化には至らなかった“山王(さんのう)戦”やその後のストーリーが描かれる可能性が出てくるわけですから、往年の『スラムダンク』ファンにとってはたまりませんよ」(サラシナさん、以下同)
今回の映画の本筋は“山王戦”にはない
“山王戦”とは、原作漫画で最後に描かれた試合のこと。主人公・桜木花道が所属する湘北高校とインターハイ3連覇中の山王工業高校の熱戦が、単行本7巻分に渡って繰り広げられている。『スラムダンク』ファンから圧倒的支持を誇るこの試合はしかし、未だアニメ化されていないため、“幻の山王戦”とも呼ばれている。
“山王戦”では、“左手は添えるだけ”という名言と共に桜木の活躍が印象深いが、どうやら今回の映画では“桜木は主人公ではない”と囁かれているようで……。
「映画の内容については、特報映像やポスターからネットで予想されているように、宮城リョータを主人公に据えたストーリーなのではないでしょうか。特報映像で描かれていたシーンが完全に『ピアス』を連想させるものでしたし、ポスターでも真ん中に宮城リョータがいますからね」
『ピアス』とは、1998年に『週刊少年ジャンプ』に掲載された、井上先生による読み切り作品。主人公の“りょうた”という少年と『スラムダンク』の宮城リョータには共通点が多いことから、同一人物ではないかと言われてきた。その『ピアス』に登場する海辺の情景と、うりふたつな描写が特報映像にも登場し、かつ宮城リョータ目線の映像が多かったため、「主人公=宮城リョータ」説が有力視されている。
「宮城リョータを中心にどのようなストーリーを展開していくのか、という点については、やはり“山王戦”を山場に持っていくという展開が本命だと考察界隈では囁かれています。特報映像でも試合のシーンがありますが、その描写はコアなファンなら間違いなく“山王戦”のものだと気付くでしょうし、多くのファンが映像化を待ち望んでいる試合でもありますから」
しかし、サラシナさんは、今回の映画の本筋は“山王戦”にはないと予想しているという。
「私は、映画の終盤に“山王戦”を取り上げるではなく、序盤から試合が始まるんじゃないかと考えているんです。というのも、井上先生はすでに漫画でこの試合を描ききっているので、その部分だけを単純に映画化することはあまり想像できません。それよりもむしろ、インターハイが終わった後に、宮城リョータが新キャプテンになってどう湘北を導いていくのかというストーリーの方がしっくりきますね。映画の一番の盛り上がりを“山王戦”に持ってきても、漫画で描かれている以上、展開も勝敗も知ってしまっているじゃないですか」
炎上の原因となった“声優交代”も、一種のメッセージと捉えることができる。
「今回の声優交代発表があるまでは、この映画が最後の『スラムダンク』だと思っていました。連載終了時に井上先生が描けなかった“忘れ物”をこの映画で終わらせるという意味が込められているのかなと。ただ見方を変えると、声優が変わり、特報映像は“新しい『スラムダンク』”をアピールしているようにも見えますし、この先も続いていくのではという期待感を持たずにはいられないですよね。井上先生は、“~部作で完結させる”というような決め打ちはしないでしょうが、描きたいテーマはすでに頭のなかにあるのだと思います」
炎上や考察合戦を押しのけて、“俺たちならできる!”と思っているのは、ほかならぬ作者なのかも?
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【出演】
TK(芸能記者)
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【パーソナリティ】
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